第1話 白いマントの骸骨
初めての投稿です。時間がかかりそうですが、続けられるか心配です。
目覚めたら、黄金の光の中にいた。「ここが魂の世界?いや、天国か?」
そう言えば俺は、趣味の渓流釣りを楽しんでいて、橋の下で、釣った魚の処理をしていたっけ。そのとき何か橋から落ちてきたんだ。
ああ・・思い出した 女学生だった 確かに受けとめたよね あれで死んじゃったのかな?
99才6ヶ月の身体じゃ50kgもない娘さんを抱きとめる事もできないのか。4mもない橋から身投げしても死なないと思うのに、代わりに俺が死んじゃったのか。
あと6ヶ月生きてたら市長にお祝いしてもらえたのに、ちょっと惜しいなまあ天国に来られたんだからいいか。
そんなことを考えていたら、目の前の黄金の光の中に白くぼやけた部分が出てきた。
なんだと思っていたら 白いフードのマントを纏った骸骨が現れた。
「なんで天国に骸骨が居るんだ!」思わず叫んでしまった。
「失礼な赤子じゃな。我は魔術の深淵を極めんとする探究者ヨシアじゃ。3000年を人の身で魔術の探究に努め、時の束縛から解放されるためにアンデッドのリッチとなりて2000年。人は我のことを大魔導師ヨシアと呼んでいるぞ。まてまて、なんで生まれたばかりの赤子が我の姿を見て我の思念を理解できるんだ?」
「さっきから赤子赤子って何言ってるんだ。私は これでも99歳6ヶ月まで生き抜いて天寿をまっとうした人間です。だからこの黄金の光の世界に魂を呼んで頂けたんじゃないのですか?」
「そうか、そなたは異世界からの転生者か。それならば止められるかもしれん。いやいや、よく聞くのじゃ。ここは天国とか黄金の光の世界とかではない。ここは、『マース』という魔法と剣、魔獣と冒険の世界じゃ。この黄金の光は、そなたの体から放出されている聖光じゃ。目も開いていない生まれてすぐのそなたは、神々に匹敵する魔力を持っている。じゃが、このまま聖光を放出し続ければ、3日後には魔力を使い果たし、生後3日でその一生を終えることになるじゃろう。これは、アンデッドを忌み嫌う光の女神の奸計じゃろう。生まれたばかりの赤子の娘に魔力制御など出来る訳がない。」
「ちょっと待って、今、変なこと言わなかった?赤子の娘?」
「そうじゃ。そなたは赤子の娘じゃ。そんなことはどうでもいい。時間がないのじゃ。我の本体は、そなたの聖光の中には入れん。すぐに浄化されてしまうじゃろう。今は思念体のみをそなたの傍に飛ばしている状況じゃ。これでは魔法も使えん。そこで、闇の魔法で本体を覆い包む障壁を纏いそなたの傍に転移する。それで耐えられるのは、10分くらいじゃろう。その間で、細やかな魔術操作などできんから、5000年の我の記憶すべてを記憶転写魔法でそなたの魂に書き込む。その間、そなたは一切の抵抗をしてはならん。身体の力を抜いて、全てを吸収するようにしてくれ。そうすれば、全魔力属性を持ったそなたになら、瞬時に聖光放出を制御可能となるじゃろう。そなたの生き残る道はそれしかない。解ったか。」
そんなこと言われても・・・と思ったが、自分では何も出来ないので、
「解った。」
と答える。瞬時に白いマントの骸骨が居た部分に暗黒の球体が出現し、頭の中に恐ろしい勢いで情報が飛び込んでくる。わずか100年足らずの俺の記憶の100倍以上の知識が流れこんできたのだ。目が回った。いや、瞼は閉じたままなんだけど。
「おい、しっかりしろ!だいじょうぶか?」心配そうな?白いマントの骸骨がいた。
「うう、なんとか発狂しなくてすんだようです。」
「そうか、成功したようじゃな、すまぬが時間がない。聖光の放出を止めてくれぬか。」
「あ! やってみます。」ただ念じただけで、黄金の光は消えた。




