訓練3 「初めての武器」
始まりの間にいた2人は今、
ようやく武器を作ろうとしていた。
魔女のファーモがまず、武器を作る上での説明をし始める。
「まず、武器を作る時だが、僕の手と湖池、君の手を合わせる。これによって君の知能や運動能力、そして、悪魔と天使の誰しも持っている《バース》だいたいこの《バース》の量でその者が強いか分かる。この三つを僕が読み取り、泉にメモリーを流し込む。すると自動に泉がそのメモリーにそって最も相性が良い武器を生み出してくれる。」
ファーモができるだけわかりやすく湖池に説明する。
「《バース》はともかく、俺はどっちかっていうと運動の方が頭使うより得意かな?」
「私もそうね!」
マリアが便乗する。
「次に武器の種類についてだ。種類は大きく分けて、5つに分かれる。まず、[剣]。これは誰でも簡単に使いこなせる。確か、メラもそうだったよな。次に[弓矢]。援護の役割になるがやはり属性をつけると強いぞ。属性も泉が君てくれるからな。
後、[槍]。これは何と言っても広範囲に攻撃出来るのが1番の長所だな。[杖]これは回復とかまぁ、遠距離攻撃だな。[双剣]は両手に武器を持つからやはり筋肉が必要となってくるな。ちなみにマリアも双剣だ。と、言ったところだ。」
「へぇー!どれもこれも面白そうだな!」
「まぁ、詳しいことは訓練して行けばわかるだろう。」
そう言うと、ファーモは本を出す。
「もちろん、僕の武器は[杖]に分類されるのだが、これはまた、杖とは違う。この[魔法玉]とう武器だ。」
と言うとエメラルドのような大きな玉が宙を浮き、
クルクルと回っている。
「このように5種類に分類しない武器はこの世界にたくさんある。君も見つけてみたまえ。」
そう告げると今度は玉だけでなく、自分の体も浮かし、湖池のところまで来て着地する。
「さぁ、そろそろ始めようか。」
手のひらを湖池の方に伸ばす。
「お……おう。」
その手のひらに重なるように合わせる。
すると、何やら呪文を唱える。
《メモリー・コア》
2人の手に暗号のような読み取れない文字が映り、湖池の手からファーモの脳の方へ吸い込まれていく。
ドクンッドクンッとファーモの心臓の鼓動がすごく聞こえてきた。
しばらくすると文字が途切れる。どうやら終わったようだ。
《メモリー・オン》
そう唱えると魔法玉が泉にメモリーを送り込む。
5秒もかからいない速さで送り済ませた。
「これで後は泉の前で待っていれば、そこから武器が浮き上がってくるよ。」
そう聞いた湖池は泉の前まで行き、ワクワクしながらそれを待った。
すると、ピピピピピピッとアラームのような音がする。それはファーモの魔法玉からであった。
「何か湖池君の検査で異常があったみたい。調べてみるわ。」
そう言うなり魔法玉を調べだすファーモ。
「異常!?なんか俺やばいの?」
隣にいるマリアに聞く。
「分からないです。こんな事なった事ないから。」
そう悩んでいるとファーモが驚きの声を上げる。
「なぬ!!??」
「どうした!?」
「その異常がわかりました。」
「な、何だったんだ?」
「《バース》が500と言う数値を示しました。こ、湖池………。お前は一体………。」
500………?
湖池はこの数字の意味がわからなかった。
がわかる奴は他にもいた。
「500ぅぅ!??なんかの間違いじゃない?」
「私がこの仕事でエラーを出した事は一度もないの!」
「何だよそんなに凄いのかよ俺。」
少し照れてる湖池。
「凄いってもんじゃないですよ!大体の悪魔の《バース》の基準数値は100位なのですよ!それに比べて賢吾さんは5倍!!驚くのもいいとこですよ!」
マリアは驚いているも冷静に説明してくれた。
「何だよそれ!神じゃん俺!」
「こりゃぁ。育て甲斐がありますね!賢吾さんの補助でよかったです!」
そんな2人にファーモは突然話を変える。
「確か昔、そんな数値を出した奴がいるって魔女の先輩が言ってたような……。」
「え、なに?賢吾さん以外にもそんな凄い人が?」
「うん。確か何て名前だっけなぁー。忘れた。今その悪魔は何してるか知らないけど、多分その悪魔はここを大きく変えたと思うよ。」
「へぇー。」
そう頷くマリアが少し思いつめた顔をしていたような気がした。
そんな中、賢吾の武器が泉から浮いて来た。
「うぉー!きたきた!きたぞ俺の武器!」
そう2人に言いながら浮いてくる武器を待った。
すると、その武器が何かはっきりとわかった。
「うぉー!おー!おー。おー………?」
それは、真っ黒い棒といったただの棒だった。
「は?なに、これ……。」
それを持つなり考える。
「そ、それは!!」
ファーモがそれを見るなり
慌てて近寄る。
「これは5種類の中にない武器。[鎌]の中の武器。
ー陽炎ーだな!噂には聞いてましたが、まさか泉が持っていたとは。」
「鎌?どこが?ただの黒い棒にしか………。」
適当に握り振ってみると
ビュンッと刃が出てきて鎌になった。
刃といっても透明で水色だ。
「おお!かっこいい!」
「後は属性だな。えーと、[炎][氷][雷][草][毒][闇]とあと、[無属性]があるけど。」
「やっぱり、闇かな!」
そう言うと闇の本を取り出し
《闇よ。彼に力を!》
と唱える。
「これであなたは闇属性の力を手に入れたわよ。」
「そーいえば今日あった天使が「能力」とか使ってたけど。」
「あぁ、忘れてた。[能力]は、ここではつける事が出来ず、自分で身につけるしかできないのよ。能力はだいたい、全体の3割位の人しか目醒めないから、運が良ければってとこね。」
「そっかー。誰しも持てるってわけじゃないのか。まぁ、この陽炎だけでも十分いいけどな。」
目を光らせ、自分の武器に見とれる湖池。
ふと、何かを思いつきマリアにそれを問いかけた。
「マリア、こうやって武器も手に入れたし、この俺とバトルしないか?」
すると、マリアはフッと鼻で笑うと
「賢吾さん流石に補助としての厳しさっていうのをわからさせてあげますよ。」
と上から物を言い、
ファーモに別れを告げ、
始まりの部屋を出る2人であった。