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試し書き  作者: デルタ
7/22

訓練1 「ロビーにて」

ー午後5時ー

湖池とメラは時間通り、魔界へと自動転送された。

また、あの世へと戻って来たのだ。

もちろん、目の前には悪魔大学校がそびえ立っている。


「では行きましょうか。」


そう合図すると、2人は悪魔大学校に向かって歩き出した。

中へ入るとまたあの長い廊下を進む。


「メラって好きな食べ物とかあるの?」


湖池が暇つぶしに質問する。


「どうして急にそんなこと聞くんですか?」


「特に意味はないけどー………。」


「あ。わかりました。もうすぐ補助が変わってしまうので、私と離れるのが恋しいのですね?」


「それはない……。」


「あ。それとも、好きな食べ物を聞いて、私にプレゼントするとか?」


「そこまでは考えてなかった……。」


メラはあれわこれわと考えつくも、表情が全く変わらない。湖池は遊ばれているのだ。

そんな風に話しているとあんなに長かった廊下もあと少しとなり、奥を見ると左右、二手に別れていた。

一旦そこで足を止める2人。


「賢吾さんは訓練施設へ行くので、ここを左ですね。」


「……ってことは……?」


「はい。私はここを右ですので。賢吾さんはここをまっすぐ行くと渡り廊下に出ます。あとは行けば分かるでしょう。」


と、この先の道案内もご丁寧にしてくれるメラ。


「私は、今日天使を倒した事とあなたの報告をしに行きますので。では、後ほど。」


そう挨拶を交わすとメラは言ってしまった。

しっかりと見送り、気合を引き締める湖池。

また再び歩き出すのであった。


渡り廊下に出た湖池はそこで驚きの光景を目の当たりにした。

そこには、先ほどいた校舎と同じくらい、

いや、少し大きいくらいの建物があった。


「……こ……これが……訓練施設……!?」


まるで小説に出てくるギルドのようで

湖池はもの凄く鳥肌が立つ。

自分も今日からここで強くなるんだと思うと、

ワクワクがとまらない。

思い切って、扉に近づいてみると、扉が自動で開く。

それさえも驚いてしまうほどだ。


訓練施設の中にはたくさんの悪魔がおり、一般の服装の悪魔もいれば、装備を装着している悪魔もいた。

その光景に見とれ、どんどん奥へ行こうと体が勝手に動くが、突然アラームがなる。


ビー!ビー!ビー!ビー!


我に返り、パニックになる湖池。

その原因はゲートであった。

そのアラームを聞きつけ、係員の悪魔が来た。


「君、パスは?」


「……パス……?」


どうやらここのゲートを通過するには、パスを機械にインストールしなければならないらしい。

と言っても、何のことか分からない湖池は戸惑う。


「パスを知らないってことは………新入りか?」


「は、はい……そうです。」


「名前は?」


「湖池 賢吾です。」


「湖池…コイケ………。」


係員は名前を聞くと手持ちのタブレットのような電子機器で湖池の名前を探した。


「あ、あった。」


ホッとする湖池。


「じゃあね。これからここへ切るときには必ずパスがいることになるから、今から作るね。」


「あ、はい!ありがとうございます。」


そう了解すると、係員はポケットからレジのスキャナーのようなものを出した。


「よし、はい、手を出して!」


「え……え?」


何が何だか分からないがとりあえず手を出す。

すると湖池の手にそのスキャナーを照らし合わせてる。ピッピーっと機械音を鳴らすと手にバーコードのような物が書いてある。


「オッケー。出すときはそこをワンタップ。隠すときはツータップするんだ。わかったね?」


係員はそう言うと急いで仕事場に戻る。

とりあえず、ゲートを通過してみよう。

そう思い、装置に手をかざす。すると、


《湖池様ですね。確認しました。お通り下さい》


と、機会が喋った。

恐る恐るゲートを通過する。

今度はアラームは鳴らず、無事に追加できた。


「あ、そうだ。………確か…2回だったよな……。」


そう呟くと手を広げ、バーコードの所を2回タップする。すると、透き通るようにそれは消える。


「よし、行こう!」


ゲートを抜けるとそこは大きなロビーになっていた。

そこにも楽しそうに話す悪魔や飲み物を飲んでリラックスしている悪魔がいる。

しかし、来てみたはいいものの、どこへ行けばいいのかは分からない。どうすればいいのか。

そんな事を考えていると、後ろから声をかけられた。


「ねぇ!君が湖池君?」


振り返るとそこにはこれからお世話になる補助が立っていた。が………。


「………え?メ、メラ……?何でお前こんな所に……。報告しに行ったんじゃないのか?」


それはメラにとても似ていた。いや、メラじゃないか。と思い安心した。


「ん?私はマリアよ?メラは双子の姉だよ!」


元気いっぱいに反対するがどう見たってメラだ。


「何それ?また俺をからかってんの?」


もう騙されない、そう気を張る。


「だから!本当にメラじゃないの!双子の妹のマ・リ・ア!!」


「性格を変えようとしても無駄だぞ!メラ、もうお前の負けだ!」


何度も言ってくる彼女に厳しく当たる湖池。


「ひ、ひどい……。お姉ちゃんから聞いてた人と違いすぎる……。」


「お姉ちゃん…!?おいおい、メラ。まだそんな大根芝居続けるのかよ。」


ケラケラと腹を抱えて笑う湖池。


「もういい!そんなに信じれないのなら、今からお姉ちゃん呼ぶからねっ!」


「はいはい。どうぞお好きにどうぞ。次は1人2役演じるのね。」


「ウググググッ!」


そう言うと携帯電話のような物を取り出し、電話をかける。


「………あ!もしもし?お姉ちゃん?今、湖池君に会ってさ、私が双子の妹って信じてくれないよのー。…………」


「あはははっ!本当に1人2役演じてるっ!あはははっ!メラさんもやるときはやるんですねっ!あはははっ!」


お腹が痛くなるほど大いに笑いまくる湖池。

電話中それに気付き、むっとするマリア。


「今からここに来て!お願いっ!」


そう言うと電話を切った。


「あれれれっ?もう終わり?あれは最高におかしかったよ!あはははっ!」


笑いがとまらない。


「へぇー。なにがおかしいですってー?」


その声がしたん、湖池の後方から物凄い殺気が感じられた。

ビクッと背筋を伸ばし、振り返ると、そこにはメラが立っていた。


「あ………あれ………?メ、メラ?」


「賢吾さん。あなた、私の妹をいじめたと言うのは本当ですか?」


「そ、それは………」


「言い訳はいいですから……ほら………」


と、人差し指を地面に指す。

それを察して、正座をする湖池。


「噂によれば、マリアを私の妹だという事を認めずに笑っていたそうですね。」


「す、すみません。本当に2人が似すぎていて勘違いを…」


「私が起こっているのはそんなことではありません!」


そうメラが入った途端、マリアと湖池はきょとんっとした顔でメラを見つめた。


「マリアにはいじめて何で私にもそう言う気遣いが出来ないのですか。私ばかり、賢吾さんに言っててもそろそろ飽きてしまいますよ。」


そんな理由で怒っていたとはつゆ知らず、

マリアはさらに落ち込んでしまう。


「お、お姉ちゃん………。」


「まぁ、マリアもマリアよ。会議中に電話してくるなんて。今夜は火あぶりの刑かしらね。」


そうゆうメラが楽しそうに見えたのはいいとして、

湖池の背筋が凍りついた。


「怖いお姉ちゃんだな!ま、マリア、気にするな俺がお前を助けてやるからな!」


マリアを庇う湖池。


「いつもこうなんです。何か気に触る事をすると、いつも怖い事をするのです。」


「やめろっ!ひどいぞメラ!」


「それに嫌がるマリアの顔と声といったら…………。」


無表情で言われるともっと怖い。


「ゲス野郎か!マリア。苦しかったろうに……。」


「何他人事みたいに言ってるのですか?次は賢吾さんの番ですよ?」


「はぁ!?絶対に嫌だ!」


「大丈夫ですよー。マリアも一緒ですから。」


「どこが大丈夫なんだよ!」


3人のおかげでロビーがとても騒がしかった。


「いいんですよこれで。お姉ちゃんが楽しければ。」


「優しいなマリアは……。」


「まぁ、私ドMなので。」


その一言は今までのマリアに対する湖池の心配を台無しにした。


「………ん………?」


「ドMなんですよ!まぁ、お姉ちゃんのせいですけど。」


「えへへへ。」


「………もういい。この姉妹本当にもういい……。」


と言って崩れ落ちる。

双子の姉妹についていけない湖池であった。

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