転校生
「キーンコーンカーンコーンッ♪」
チャイムが鳴り響く。
どうやら四限目までの授業が終わり、
昼休み、昼食の時間になった。
湖池は弁当を取り出し、食べようとしていた。
すると何やら隣の席の転校生がわざとらしく話してきた。
「ねえねえ、賢吾〜。私の作ったお弁当はどう?」
それを無視する湖池。
何せさっきまで面倒くさいことの連続だった。
ー4時間前ー
「えぇぇーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
驚く湖池。
「どうしたー?湖池?知り合いなのか?」
西片が聞く。
「し、知り合いって……言うか………なんと………言うか……………。」
「許嫁です!」
湖池がこまっているとメラが爆弾発言をした。
「えーーーーーーーーーーー!?」
「嘘!?」
「湖池が!?」
当然こうなる。
「どう言うこと?デビッドさん。詳しく教えて!?」
西片が1番気になっている。
「はい。私と賢吾は…。」
そう話し始めるとクラスの生徒は喋るのをやめない。
「賢吾だってよ。これはもうほぼ確定じゃない?」
「マジかよー。でも許嫁ってならな……。」
「こんなロマンチックな展開あるのね!」
「キャー!もうドキドキが止まらない!」
すると西片が何故か張り切る。
「ちょ、ちょっと!みんな静かにして!」
みんなが話すのをやめ、真剣な目で彼女を見つめる。
「私は賢吾は、小さい頃。ずっと一緒にいました。毎日遊び、毎日話し、毎日笑っていました。それを見た親同士が勝手に、合意で結婚の約束をしたのです。まぁ、それは私が外国へと引っ越すことになったからでしょうが。」
せつない、感情を醸し出し。あたかもずっとあなたの事を思っていました。と言わんばかりの演技。
「そ、そんな事が……。でももう大丈夫。彼は今ここにいるわ…………。」
西片が泣いている。
それも西片だけじゃない、クラス全員が泣きそうになっているではないか。
「お……おい!メラ……そんな嘘通じる訳………」
そうごまかそうとしていた湖池であったが、
後ろの立花に肩を掴まれ、泣きながら言った。
「賢吾ぉぉー。お前ってやつはー。この数年、辛かったろうにぃぃぃーーーー。」
(爺か、テメェーは。)
大げさな立花にいらだつ湖池。
しかし、そう言うがメラの言うことが嘘ということは変わらない。しかし、もうそんな事を言い出す空気ではなくなっていた。
「ウググググッッ!」
虎のような唸りをし、メラを睨む。
メラはそれに気づくと怖がるように目を背ける。
まあ、芝居なのだが、
「そ、それじゃあ…席だな。デビッドさんの席はもう……湖池の隣でいいか?小堺?」
本来、湖池の隣の席は小堺なのだが、こんな話を知ったら担任の西片も湖池の隣の席を譲ってもらいたいと思ったのだ。
「あ、いいですよー。」
何故か小堺の言葉が軽い。
そう言うと別の空席の所へと移動していった。
同時に教卓前からゆっくりと席に歩いてくるメラ。
そのままゆっくりと席に着く。
「おい。どう言う事だよ。お前が学校へ転校してくるなんて俺でさえ、今知ったんだけど?」
コソコソと話す。
「当たり前ですよ。言ってないのですから。だいたい、あなたと天使がばったり会った時に私もいれば心強いでしょ?」
「先に言えよ!なんのためのサプライズだよ!そりゃー心強いけど。」
「まぁ、いいじゃないですか。可愛い私が学校でも見れるのですよ?しかも制服姿。」
「別に見たくな………イッテェー!」
ある言葉を言いかけた瞬間、メラが湖池の足を踏む。
「ん?どうした……湖池?そんなにデビッドさんに会えて嬉しいのか?」
「え?………別にそんな訳じゃ………イッテェー!」
もう一度踏む。
「どうした?そんなに好きなのか?」
「べ、別にそんな訳………。」
といいかけ、チラッとメラを見る。
すると上から見下すような目をしてこちらを睨んでいる。
「そんな訳ありありですよ!もー可愛すぎて可愛すぎて!」
「も〜あなたったら〜♡」
そうごまかすと、メラが調子に乗ってまた教室をざわつき始めさせた。
そんな感じのやり取りが4時間ぶっ通しだったのだ。
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彼にとって、こんな疲れる午前中は初めてだった。
「ところで本題だけど。先ほど魔界本部からここの学校に天使界の幹部が潜入しているとの情報が入ってきたわ。」
と唐突に元のメラに戻るのでびっくりする湖池。
「ま、まじかよ。ならより慎重に動かないとな。」
「ええ、より意識してください。」
「も、もし、ばれたとして、メラはそいつに勝てるのか?」
心配そうにメラに聞く。
「相手によって変わりますが。多分勝てる可能性は30%くらいです。」
「え……………そ、そんなに幹部って強いのか?」
「はい。幹部というのは上級クラスの事を表すのですが、私はその一つ下の中級クラス、かなり厳しいですね。」
「ま、まじかよ……。もし、ばれたらどうする?」
「撤退するしかないですね。万が一危ない時は私があなたを死んでもお守りします。補助ですからね。」
「わ、わかった。気をつけるよ。」
そう、話が終わると弁当の食べかけを再び食べ始める。
「ん!この唐揚げ上手いな!なんか隠し味とかあるの?」
「はい!そりゃーもうカエルの唐揚げですので!」
その途端に吐き出す湖池。
このあと、このようなくだりが続いたそうだ。