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試し書き  作者: デルタ
3/22

あの世の世界

あの世の世界に来てしまった湖池は

自ら悪魔と名乗るメラと共に

ここ、悪魔大学校の長い廊下をとぼとぼと歩いていた。すれ違う悪魔はみんな人間に見えた。


「今の奴も悪魔なのか?」


人の目を盗んでメラに聞く湖池。


「ええ、そうですよ。」


メラは平然と答える


「と言っても、みんながみんな悪魔って訳ではないですよ。」


「どーゆーこと?」


「悪魔は現実世界とこの世界を行き来して、人間をこの世界に連れてこられる。まぁ、殺さないといけませんが。」


表情何一つ変えないメラが怖く見えた。


「それで、連れてこられた人間はここで戦闘の訓練を受けて鍛えていきます。」


「へ………?なんのために?」


そう聞くとメラは足を止め、湖池を見つめながら告げた。


「我々の敵。【天使】との戦いに備えてです。」


悪魔と天使は敵同士。

どちらかが消滅するまで止まらない戦い。

そんな戦いに湖池は参加することになっていたのだ。


「まてまて!ここってあの世だろ?戦いって……もう1度ここで死ぬのか?」


「ここで死んだらまた新しい命となって現実世界へと送り込まれる。」


それはつまり……


「………延々に続くじゃないか。そんなの。終わらないじゃないか。」


「別にいいじゃない。また生き返るのだから。」


メラがそう冷たく言うと

湖池はとてつもない腹が立った。


「よくない……よくないよ!それじゃあ命の大切さがないみたいじゃないか!」


湖池が焼けにこだわるのは訳があった。


「湖池さんの気にさわったのなら、今の言葉は謝ります。すみませんでした。」


深々とお辞儀をし、メラは再び歩き出す。


「ああ、こっちも言い過ぎた。ごめんな………。」


湖池もメラに続く様に歩き出す。


「もう一ついいか?」


「はい?」


「なんでメラは俺を選んだんだ?」


「私達に協力してくれるのですか?」


「ああ。誰かがやるなら俺がやった方がいいからな。

で?なんでなんだ?」


「それはあなたがとても退屈そうでしたし。面白い性格してるからですかね?」


そうメラに言われた湖池はガクッと肩を落とす。


「確かに退屈だったけど。入学式がだぞ!」


「何故、今ガクッと肩を落とされたのですか?」


「いや、もっと『あなたがかっこよかったから!』とか言ってくれるのかと………。」


「調子に乗らないでください。このゴキブリ野郎。」


「ひ…………ひどい…………。」


彼の悪魔の日常は始まったばかりだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここが今日からあなたに住んでもらう部屋となります。」


メラと湖池が「120号室」と書かれた扉の前で話している。


「ほほー。ここが。」


そう言っていると扉が開いた。


そこには畳16畳と言ったところか、

一人部屋にしては十分な広さだ。

しかし。物が何も置いてない。


「あれ?ベッドとか、机は……?」


「あ、すみません。まだ説明してませんでしたね。

ここはあの世の世界。頭で思えば何でも出てきますよ。」


「は………?」


「例えばベッドを頭の中で想像してみて。」


と言われるので言われた通りに思い描く。

と、そこにはとても高級感溢れるベッドがいつの間にか置いてあった。


「うぉぉー。本当だすげー。」


「反応が薄すぎて逆にキモいです。」


「ひどいよ……。さっきから…………。」


そんな調子でアンティーク製の机と椅子。電灯にはシャンデリア。おまけにティーカップなどを部屋に飾り。とてもリッチな部屋に仕上がった。


「こんなところかな?」


「はい。っと、そろそろお眠りの時間ですね。また詳しいことは明日説明しますので。それでは。」


扉の前で深々とお辞儀をしてまるでメイドの様に退出した。


一人になった湖池は高級ベッドに飛び込み

いろいろな思いを抱きながら呟く。


「あーあ。明日起きたら現実世界に帰っています様に。これは夢であります様に。」


そう願い眠りについた。

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