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日々暑さ増す今日この頃。

学園はもうすぐ夏休みに入ります。


この世界にはエアコンも、それに近い魔法も無いので暑い日は暑いし、寒い日は寒い。


暑さに関しては火の鳥である私には関係ないというか、問題ない。

寒い日はさすがにどうなのかな?まだ経験してないから分からない。


リアンは暑さに強いのか周りが暑い暑いと呻いている中、かえって暑くなるんじゃないかな?一人涼しい顔で勉強中。


「なんで暑くないんだよ?……秘訣、あったら伝授してくれ……」

「別にないけど……」

「分かった!お前、暑い国の出身なんだろう?」

「いや。王都から北に行ったどっちかと言えば寒い国の出だけど」

「マジか?!」

「マジです」


うむ。いつの間にかマジという言葉が浸透している。

今度はパネェでも流行らせてみようかな(笑)


「ならなんで暑くないんだよ!」

「う~ん……なんでか今年は暑いって感じないんだよね……」

「……それ、どっか悪いんじゃないか?」

「いや。夜もぐっすり眠れるし朝だってスッキリ起きれるし」

「自覚ない病気って恐いぞ?一度診てもらえよ」

「それで何もなかったら面倒だよ。カイ」


リアンとすったもんだしてるのはクラスメートのアーカイル(通称カイ)で、以前私が驚いて嘴でズンってしちゃった子。

あの件以来ナゼか大の仲良しになっている。


「でもお前に何かあったらホノカにも悪影響出るんだぞ。召喚獣ってそう言うの敏感だって言うし」

「そうなの?ホノカ」

〔さあ?でもリアンの体調がいつもと変わらないって言うのは分かるから大丈夫じゃない?〕

「そっかなら大丈夫だね」

「今のホノカの念話か?」

「カイにも聞こえたんだ?」

〔あ、お知らせ音だすの忘れた!〕

「いや別にいらないけど。マジで流暢に喋るんだな~」

〔普通は違うの?〕

「俺の召喚獣はペガサスだから初めから念話も出来るけど、もっとカタコトっていうか必要な事しか言わないな」

「へえー。ホノカは初めて文字書いた時からこんな感じだけど?」

「文字書いた?召喚獣が?!」

「うん。今じゃ本も一緒に読むし時々、勉強も教わってたり……」

「召喚獣に勉強教わるって……」


カイが呆れて半目でリアンを見ているけど私は知っている。


〔カイ。広げてるノートの上から三番目の答に次の答を書いてるよ〕

「えっ?!」

〔リアンは途中まで計算合っているのに最後の最後でナゼか間違うんだよね。カイは気が急くのかね?一段づつ擦れているよ〕

「嘘だろ?…………あっ!ホントだ」

〔最後まで擦れまくってるくせに最後の問題はきちんと書いてるから擦れに気づかないんだね。先生に言われた事ない?〕

「………落ち着いて書きましょうは何回か言われた事が……」

〔そう。それなら答を書いた後に用心して試し算するといいよ〕

「タメシザン?」

〔もう一度、計算し直して合ってるか確認すること。そうすれば書き間違いとか計算間違いも分かるでしょ?慌てて書いて全部間違うより一問でも正しい解答の方が良いんじゃない?〕

「!!スッゲー!ホノカって天使?」

〔何でやねん!〕


ぱたぱたと飛んでカイの頭に羽で突っ込みを入れる。

そもそもなんで天使なの?


「冷たい?……」

「あれ?なんか暑くなってきた?」


へっ?

カイは冷たいといいリアンは暑いと言う。

なんか嫌な予感が………


「ホノカ!!」


ガシッって音がするぐらいの勢いでカイに捕まれて、ビックリして再び嘴でズンってしちゃった。


「いっでえー!」

「今のはカイが悪い!大丈夫?ホノカ」


ふんわりと包む様に私を捕まえるリアン。


「あれ?冷たい?」


むむ。もしかしてもしかしたら!


「………あっ!これかな?」


リアンは私のステータスを見て何か気づいたみたい。


〔なあに?教えて教えて〕


召喚獣のステータスが見れるのは召喚主だけで召喚獣本人?にも分からない事はある。

種族固有の魔法とかは親世代から受け継がれて知識として記憶されているらしいけど、特性とかは固体毎に変わる事があるので本人?も知らないのが当たり前。


ちなみに私は初の珍種なので種族固有の魔法がないって以前リアンに言われたので、学園長に魔法使いたいアピール&相談したら文字が書けるなら魔法陣開発すれば出来るんじゃないか?とお言葉を頂き現在、魔法陣を色々書いてやってるけど何が悪いのか一度も成功したことがない。

ツマラン!!

うむ。話が逸れたな。


「ホノカの特性に自動気温調整っていうのがあるんだ。詳しく見たら周りの気温を自分または召喚主の過ごしやすい環境にするって書いてあるから多分これのせいでホノカを頭に乗せている僕は暑いって感じないんじゃないかな?」


自動気温調整?

私はエアコンかい!!


「なんて羨ましい特性だ!リアン召喚獣取り替えてくれ」

「嫌だ!!」

「ヒヒーン!!!」


あらら。

取り替えろなんて言うからカイの召喚獣ペガサスが喚ばれて無いのに怒って出現して召喚主のカイをボッコボコにして還っていった。

おーい。生きてる?


「冗談なのに……」

「ペガサスは真面目で気位高いって言うから冗談なんかつうようしないんじゃない?」

「そうだな……後でご機嫌とりしとかないと……」


はぁーって溜め息つくぐらいなら言わなきゃいいのに。


「ところでその特性って何とかして伝授とか出来ないかな?」

「無理だよ!特性は言わば持って生まれた性質なんだから。他の召喚獣に教えるなんて出来るわけないだろう!!」

「そこを何とか」


よほど暑いのが苦手なのか押し問答は続く。


これはラチがあかないから、困った時のジュール先生です♪






〔と、言う訳で相談に来ました〕

「いや私にそんな事を言われても……特性を他の召喚獣に教える事が出来るなんて聞いた事ない…です……し………いや待てよ?」


おや?なんか風向き変わってきた感じ?


「以前に確か……」


あれでもないこれでもないと本棚の本を片っ端から捲って何かを探しているジュール先生。

ぽいぽいと投げていく本をリアンとカイが二人でキャッチしては別の場所に積んでいく。

サーカスのジャグリングも真っ青の腕前だ(笑)


先生、備品は大事にしないと学園長に怒られますよ?


「あった!これだ!」


ようやくお目当ての本が見つかった事でリアンとカイはバケツリレーのように山と積まれた本を本棚に戻していく。

実に素早い!

こんな所にも日頃の訓練が生きているなんて(笑)


「ホノカ魔石を産んでみませんか?」


はい?いきなり何を言い出すんですか。


「成功例は少ないのですが、魔石を産み出す能力を持った召喚獣なら自分の産んだ魔石に特性を書き込む事が出来ると報告が上がっています。だからホノカ。魔石産んでみませんか?」


無茶苦茶言いますね先生。

生まれたばかりの雛に卵ならぬ魔石産めとは。


「雛に魔石産むのは無理なのでは?」

「ホノカならやれると思いますが?」

「確かに!」


リアンの言葉にジュール先生が反論してカイが肯定した。

ジュール先生とカイには放課後、校舎裏に来てもらおう(笑)


〔産めるとは思わないけど……〕

「何事もチャレンジしなくては!」


他人事もとい雛事だと思って好き放題言ってくれるジュール先生に駄目だこりゃと羽をふれば

「研究資料に何個かくださいね」ってニッコリ微笑まれた。

うむ。私に魔石産めるのは決定事項らしい……


そうは言われても……そもそもどうやって産むの?

やっぱり卵みたいに産むのかな?

それなら毎朝一個産んでみたり?


むむ。

悩んでいたら目の前に赤い小さな光が集まって段々に大きくなっていく。

おっ?おっ?

やがてそれは拳大の炎の塊になった。


あー……なんかやっちゃったみたいな?


見る見るうちに炎の塊はギュッと音をたてて凝縮してリアンの手の中にコロンと落ちた。


「えーっと……」


さすがにみんなリアクションに戸惑っている。

一番驚いているのは私なんだけどね。


「リアンそれを見せてください」


一番始めに立ち直ったのはジュール先生。

大人だからと言うより研究者の血が騒ぐって感じで、端正な顔立ちの人が鼻の穴広げて興奮している。

100年の恋も冷めそうです。

恋してないけどね(笑)


「まさか本当に産めるとは……それもこんな短時間で」


うん。自分がつくづく規格外だって今日ハッキリ自覚しました。

にしても私としては魔石産むより魔法使いたいのに!なんでそっちは駄目なのかな?

いじけてやる。




その後ナゼか毎朝一個、魔石を産むようになってしまった。

ステータス確認したリアンが言うには私が自分で特性として書き込んでしまったらしい………


昨日までは無かったのに!って凄く驚いてた。


産み出す魔石は何種類かあってしかもランダムだから自動気温調整の魔石は初日に一個産んだきり。

カイが凄く欲しがっていたけど研究して解析出来れば新しい魔法または魔道具としてもっと沢山作れるかもしれないって言われて泣く泣く諦めてた。

可哀想だからリアンの近くにいるときは自動気温調整の範囲内にしてあげてる。


うん。魔石産むって特性を書き込んだせいか自分の特性を色々いじれる様になっていた。


で、真っ先に自分の考えた魔法使えるって書き込んで魔法陣作ってみたら発動出来ました♪


ついでに私も全属性使用可能にしてリアンと二人で異なる魔法唱えて合体魔法とか、同じ魔法唱えて威力倍増とかしてます。

ホノカ最強伝説でもたてるのか?って言われたけど……


いやいや!

そんな旗立てないから!!


最近はおふざけ魔法作ってリアン実験台にしてます♪


えっ?どんな魔法作ったかって?

フフフ……内緒だよ。


いつかご披露するかもね。


そうそうカイはあの後ペガサスのご機嫌を取り巻くってなんとか許して貰えたらしい。


もっともまだ少しヘソ曲げてるみたいで三日に一回は召喚に失敗してる。

う~ん……

まだ学園で勉強中だから失敗しても授業が受けられないだけだから良いけど、早目に信頼回復しとかないと実戦の時に危ないよね。


私にも何か出来ると良いんだけど。元凶みたいなもんだから下手な事言えないんだよね。


夏休み中に故郷の森で機嫌とるって言ってたし、なるようになるでしょ。


カイの故郷にある森はペガサスとかユニコーンの野生種が棲んでいるんだって。

野生種って召喚獣とは違うの?って聞いたら召喚主を亡くした召喚獣が本来の世界に還ることを拒んで残ったのが野生の馬とかと交配して生まれた種なんだって。


元々いた訳じゃないんだ!


ところでリアンは夏休み故郷に帰らないの?


故郷どころか家族の話も聞いた事なければ、手紙とかも書いてたりもらってたりしたの見たことないけど天涯孤独って事はないよね?


あっ!今、ギクッてなった。

なんか隠してる!


私に隠し事なんて100年早い!!


キリキリ白状しなさいリアン!

今なら雛鳥キック三連打で許してあげるから!


それでも口を割らなかったリアンだけどジュール先生から情報貰ってビックリ!

なんて親不孝者なの!!


今年の夏休みには帰るって手紙書きなさい!

絶対、ご両親はリアンから手紙くるまで我慢してるに決まってる!


なんでそんな事分かるのかって?


そんなのリアン見てたら分かるわよ。


貴方めちゃくちゃ親に愛されて育ったに決まってる。

そんな貴方の両親が子供であるリアンの事を思わないなんてあるわけないでしょ?


分かったら手紙書きなさい!


大丈夫よ。ホノカが保証するから♪


自動気温調整の魔石が欲しい!

エアコン苦手。

暑いのはもっと苦手です。


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