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ありがとうございます。
これからも頑張ります!
えっと………
『マジですか?』
「マジとは?」
ああそっか。
普段使いしてるからついつい言っちゃったけど分かるわけないか……
『本気と書いてマジと読む!』
「成る程。マジです」
さすがは学者先生。順能力パネェ!
に、しても………
『ヘタレのリアンが勇者で魔王候補って何ですか!?』
「ヘタレ?」
うむ。食い付く所はそこか飼い主よ。
『根性がない。実力がなくて情けない。そんな人を指す言葉』
あっ。リアンがorzしてる。
しかも泣いてる。
だからヘタレだって言うの。
「気持ちは判ります。ですがリアンが勇者と魔王の血を継いでいるのはマジですから」
えっと…
『勇者と魔王って相反する者じゃないの?』
「先祖に勇者がいて、その何代か後の子孫が魔王になったんだよ。僕はその子孫って訳」
「だから勇者にもなれるし、魔王にもなれる。つまりは要注意人物です」
『良かったね監禁とかされてなくて』
「魔法封じられてるけどね」
はい?
「全部じゃなくて危険な魔法だけだから生活には不自由ないけど」
「それでも生来の高い魔力は変わらないし損なわれる事もない。だからホノカがリアンの召喚獣になったのは必然なのでしょう」
必然って……
それにしても魔法封じただけで普通に生活して大丈夫ってもの凄くアバウト!
危機感ナッシングってか!?
まあリアンならそんな対応も有りかな?
マジでヘタレだし。
「……なんか今、スッゴク失礼な事考えてない?」
『なんの事?』
ピヨって可愛く小首傾げたら宇論な目で見られた。
うむ。そろそろこの手は使えなくなってきたか?
いやまてよ?よく見たら口の端が上がってるじゃないか。
チョロいな飼い主!
『リアンは勇者になるの?それとも魔王?』
「どっちも断った」
『はい?』
「勇者になるには聖剣取りに最果ての地下迷宮に一人で挑まなきゃいけないし、魔王って今は肩書きだけで実際は魔族と人間の間を取り持つ外交官みたいなもんだし…………」
うむ。小声だがしっかり聞いたぞ。
怖いし面倒って……
ヘタレも極まれりだな。
しかし魔王が外交官って……
〔それじゃ勇者は誰と戦うの?ってか何するの?〕
「勇者?平和の象徴みたいなもんかな。魔獣退治ぐらいはするけど。魔王と同じだよ。外交官」
おお勇者よ!お前もか!!
吟遊詩人泣かせな勇者だな。あ、魔王もか(笑)
魔法封じられてるとは言えリアンの潜在能力は歴代一だからキチンと勉強して万一にも封印解けて暴走しないようにしないといけないって事で学園に通っているんだって。
はじめは召喚獣持つのは反対する人が多かったけど、逆にリアンの潜在能力を凌駕する召喚獣が喚べれば暴走した時に対処が楽になるかもって考えで一か八か召喚してみたらしい。
まさか雛が現れるとは思わなくって召喚のやり直しなんて意見もあったけど、リアンが嫌がったのでしばらく様子見してたら私がリアンを躾だしたので、これはこれで有りかなと……
うむ。アバウト万歳!
「ホノカは僕に勇者か魔王になってほしい?」
『面倒くさいからやだ。それに普段の授業内容からして外交官擬きは期待されてるでしょ?』
「擬きって言うか万一、魔族と戦争をする事になったら両方の陣営を制圧するのが僕の役割なんだけど」
『なんで両方の陣営?』
「ケンカ両成敗」
おいおい!何、考えてるこの世界の住人?!
「現在の魔王もこっちの王族も戦争反対してるんだけど、自分の利益だけで争いの火種撒く人っているだろう?そういう自己中を討伐するのが僕の役目」
〔ヘタレなのに?〕
「それはいいの!そういう役目の人がいるよってアピールが大事なんだってさ。で、力があることを見せびらかす為にも卒業後は冒険者になって最低でもSランク。出来たらSSS目指せって無茶苦茶言われてる」
〔えー!リアンがSランク?想像つかない!〕
「それは僕も思ってる」
〔ダメじゃん!やってやれない事はないって言うし、他人がなんと言おうと自分を信じないと!〕
「本気?」
〔マジです!〕
「そっか………うん。頑張ってみるよ。ホノカと一緒ならSSSだって夢じゃない!」
うむ。何故に一気に飛躍する?
「……盛り上がっている所、申し訳ないのだか……」
〔あ、すいません。ジュール先生の存在を忘却の彼方にぶっ飛ばしてました(笑)〕
「ああやっぱり」
〔怒った?〕
「怒る?何故です?それよりリアン気づいてますか?」
「えっと……何がですか?」
「先ほどからホノカと念話で会話していたようですよ」
「えっ!!」
「私には先ほどホノカの声が聞こえただけですが、リアンにはずっと聞こえていたのでしょう?二人で会話しているように見えましたよ」
言われてみれば……
普通に会話してたね……
「気づきませんでした」
「そうですか。でもこれでますますホノカと仲良くなれますね。ホノカ。リアンを頼みますよ。それと時々で構いませんから私ともお喋りしてくださいね?」
〔喜んで!!〕
「そうか。これ、念話だったんだ……」
〔日進月歩って言葉があるけど、さすが珍種の私!成長スピードパネェってか(笑)〕
「珍種?」
〔あらやだ。聞こえた?むむ。念話の切り方が分からない!〕
「切り方ですか?そうですね普通は念話の前にお知らせ音みたいな物が聞こえて、受ける側が許可して初めて念話が可能になり、切る時も同じような流れなのですが………ホノカの場合は口で話してるのと変わらないですからね……黙った所で切れるとは思えません」
〔ですよね。う~ん………待てよ?もしかしてオンオフって自分次第?それなら……〕
私はイメージしやすいように電灯のスイッチを思い浮かべると頭の中でスイッチを切ってみた。
どうどう?聞こえる?
「ピヨピヨ?」
「えっ?何?ピヨピヨじゃ分からないよ」
よっしゃ!!成功!!
心の中でガッツポーズしつつ、両羽あげて万歳に見えるかな~なんて思いながらアピール。
「どうやら念話の切り方を体得したようですね」
さすが学者先生!洞察力ありますね♪
リアン。まだまだだね(笑)
「なんか今、バカにしたろ?」
〔気のせいだよ〕
「ホノカ。出来たら念話の前に知らせを入れてください。いきなりはちょっと……」
あらやだ。ごめんなさい。
ジュール先生の顔色が少し悪くなってるのってもしかして私のせい?
「先生?大丈夫ですか?」
「ホノカの念話はかなり強烈で、リアンは大丈夫なようですね。召喚主だから耐性があるのかもしれない」
「えっと、どうなんでしょう?強烈の意味がよく分からないのですが…」
「そうですね。例えるなら大規模魔法のど真ん中に誤って転送したみたいな感じですかね」
『何ですか?その例えは??』
「力の奔流に抗いようがない」
座布団一枚とか言ってみたりして。言わないけどね(笑)
「う~ん…僕には少し大きな声で聞こえるだけなんですが……」
あら恥ずかしい。
ボリューム調整も意識すれば出来るかな?
と、したら電灯のスイッチよりもカラオケのマイクにボリューム調整機能追加でイメージしてみよう!
うん。イメージは出来た。
後は試すだけ。上手くいったらお慰みってか。
あっ!念話の前にはお知らせ音だっけ?
どんな音出せばいいのか分からないからとりあえずリアンと先生の二人に向かって鳴いてみる。
「ピヨピヨピヨ」
「えっ?何ホノカ?」
『念話の合図』
「成る程、ピヨが3回ですね。覚えておきます。どうぞ」
〔ボリューム調整してみました。上手くいってる?〕
「うん。さっきよりも聞きやすいよ」
「そうですね。これぐらいならいきなり話しかけられても大丈夫ですが、緊急時だけにしてくださいね」
〔了解しました〕
先生に向けて羽で敬礼してみたら嬉しそうに微笑んでくれた。
その横でリアンがいじけてるのはご愛嬌です(笑)
分かりにくいかなと思うので補足します。
『』←ホノカが空中に書いた文字
〔〕←ホノカの念話
に、なります。
よろしくお願いします。