そのはっする~★はっする!
【 注意・その1 】
相変わらず、酷い内容です・・・(;・∀・)
もう、キャラ別人です・・・(;・∀・)
【 注意・その2 】
これは、祭国に来てすぐのお正月を迎えた、4の戦の4・種と5・雪の間くらいのお話(?)だと思って下さると、よろしいか・・・と・・・(;・∀・)
でわでわ・・・
覚悟のあるお方のみ・・・
どうぞ・・・
そのはっする~★はっする!
そろそろ年末である。
年末といえば大掃除である。
小春日和の日差しの中、真と薔姫は祭国における初めての正月を迎える為に、朝から掃除をはじめていた。
戸を外し、庭先に出して立てかけて、濡らした晒しでふきあげる。
暖かな日差しが降り注いでいる為、木戸は見る見る間に乾いてく。
そして、本来の輝きを取り戻していく。
庭先に積もるように落ちている木々の枯葉は、蔦の一座のものである芙が手際よく掃き清めている。基本的に芙は蔦の傍に控えているが、今日は大掃除であると聞き及んでいたからか、朝一番から手伝いに馳せ参じてくれているのだ。
「すいませんね、芙」
「いえ」
蔦の一座のものが手分けして、縁側に順に布をかけてふいたり、柱や鴨居などに溜まった細かい埃を落としていったり、崩れかけた外壁の手直しや植木の刈り込みや草むしりまでも行ってくれていた。
戸を磨いた後は晒を手に、真は古い作りゆえに黒光りする柱磨きを受け持っていた。きゅ、きゅ、と音をたてて磨きあげていると、姉様被りをして帆前掛けをつけた薔姫にが、自室にこそこそと入っていくのが見えた。
「姫? どうしましたか?」
声をかけると、ひゃ!? と薔姫は飛び上がる。
「姫?」
「う、うぅん! どうせだから、我が君の本の整理もしようかな……って、思って……」
「ああ、そうでしたか。すみませんでした、気を遣わせてしまって」
では、姫、もうすぐ柱を磨き終わりますので、先にしていてもらえますか? と真が頼むと、どこかほっとした様子を見せつつ、任せておいて! と薔姫はうけおった。
柱を磨き終えて手を洗い、埃よけにと新しい晒を広げて頭にまきながら真が部屋に向かうと、何か、ごそごそと物を物色している音がする。
「姫? どうしましたか?」
「ひゃ!? わ、我が君!?」
見れば、逆に部屋中に蔵書を広げて散らかり放題にしている。
やれやれ、と肩をすくめて呆れつつも、真は大事な本を拾い集めだした。
「どうしたのですか? 姫らしくもないですね? 片付けどころか、逆に散らかり放題じゃありませんか」
誂い口調でいたずらっぽい視線を向けると、うん……、と薔姫は小さな身体をモジモジさせた。
「どうしたというのですか? 先程から、おかしいですよ?」
「うん……あのね」
「はい、何でしょう?」
大事な蔵書を一冊一冊丁寧に拾い集めている真に、薔姫はやはりモジモジしながら口を開いた。
「我が君が、春画本隠してるかどうか、琢と賭けてるの」
どさー! と音も高く、拾い集めた本や木簡竹簡が、真の脚の上に落ちる。
「いたー! いたたたたたたたた!」
「や、やだ、我が君、大丈夫!?」
落ちてきた蔵書類の角の重みを、強かに足の甲で受け止めた真は、叫び声をあげながら飛び上がる。
ひぃひぃ言いながら足を抱え込んでのたうち回っている真の横で、薔姫は半泣きでおろおろするばかりだ。
真は足の甲にふぅふぅと息を吹きかけながら、大丈夫ですよ、と声をかけるが聞いていない。突然、ドスン、と真の腕の中に飛び込んできた。
「我が君っ! 我が君ぃっ~!」
「うわっ!?」
「いやぁん、しっかりして~!」
「い、い、いえ、そ、その、い、いた、痛くはあり、あります、が、だ、大丈夫ですよ……」
「いやぁぁぁあぁぁん! 我が君ぃ~!!」
自分の鳴き声で煽られてパニックになってきた薔姫が、真の襟首を掴んでブンブンと振り回し始めた。
脳天を揺さぶられて、ふおぉぉぉぉぉ……と目を回しながらも、真は必死で薔姫を止める。
「ひ、ひ、ひ、ひめ、あの、ちょ、ちょっと落ち着いて、ですね、聞いてもらえませんかね……?」
「なぁに?」
「そ、そ、その……春画本の意味……って、わかって、言ってます……?」
「ん~ん? しらない」
話し出すと、一気に落ち着きを取り戻した薔姫は、しゃくり上げながらも真を見上げて小首を傾げてくる。
流石に意味までは教えてもらっていないか、とホッと胸をなでおろす。
「でもね」
「はい?」
「春画本見つけたら、『わがきみじっちでおしえてね』って言ってみな、って琢が言ってたの」
気分を落ち着かせようと、部屋の隅に置いてあった休憩用の湯を飲もうとして、正に口に含んだばかりだった真は、ぶー! と勢いよく湯を吐き出した。
「ねえ、我が君、『じっち』ってなあに? 『おしえる』って何を教えてもらえるの?」
「え? い、いや、そのですね」
ゲホゲホとむせている真に、薔姫は大きな瞳をきらきらさせながら、じりじりとにじりよってくる。思わず知らず、真もそのままの姿勢で仰け反るように、じりじりと後退していく。
「ねぇねぇ、ねえってば、我が君、『じっち』ってなあに?」
「え、いや、そ、その、それはですね、その、ひ、姫、春画本もないですし、無理ですよ、教えるのは……」
しゅん、となって引き下がりかけた薔姫をみて、何とか上手く回避できた、と内心で盛大にホッと安堵の吐息を吐いた真だった。が、次の瞬間幼い妻は、ぱぁ! と顔を輝かせて、パム! と小さな手を合わせて音を立てた。
「我が君、それじゃあ、春画本があれば、教えてくれるのね!?」
「え? う? い? お? は?」
「いつも、後で、とか大きくなったら、って我が君言うのに! 春画本があれば、直ぐに教えてくれるのね? 嬉しい!」
「あ、え、ちょ、あの、ひ、ひ、姫!?」
「待ってて、我が君! 時のお店に行って、買ってくるわ!」
「え、え、え? ちょ、ちょ、ちょっと、待ってください!?」
腕を伸ばして、姫! ちょっと待ってください! 後生ですから! と叫ぶ真に目もくれず、薔姫はすっくと立ち上がった。姉様被りをしていた晒を取り払い帆前掛けも外して、髪を一つに結わえ直して気合を入れる。
そこへ、芙と一座のものが流石に騒ぎに気がついて、なんだなんだと寄り集まって、覗きにくる。
芙の姿を見つけた薔姫は、にっこりと嬉しそうに笑って、たからかに命じた。
「芙、馬を出して! 時のお店に買い物に行かなくちゃ!」
「は? 姫様、何か掃除に必要なものでも? それでしたら私が参りますが」
早足を誇る芙が跪こうとすると、うぅん、いいの、と薔姫は笑う。
「春画本買いに行くの!」
その場にいた全員、手にしていた掃除道具を、ぼと、と取り落とす。
「……ひ、ひ、ひ、ひめ……さま……?」
「だって、春画本があったら、我が君、『じっち』で『おしえて』くれる、って言ってくれたんだもの。ねえ、芙、だから早く馬の用意をして!」
芙と一座の者の冷たいジト目攻撃を受け、頭を抱えた真が、うわぁぁぁぁぁぁ……と転げまわる中、薔姫はひとり、ねえ、早く早くぅ~! と地団駄を踏んでいた。
・・・その後、騒動を知った琢が、こりゃやべぇ、と凧を購入したとかどうとか・・・