人間って、いいな
遠くの山から、ほたるの光が聞こえる―――
見上げると、嘘のように真っ赤な空があった。
僕の影は目の前に長く立ちすくみ、もっと遊ぼうよと寂しげな顔をしている。
―――早く帰らなくちゃ。
いつの間にか一人になった寂しさを振り払うかのように、影とは反対方向に駆け出した。
ほら、もうすぐ家だ。
きっと、母さんは晩ごはんを準備しているはずだ。
僕が遅れても、いつもあったかいご飯が出てくる。
母さんはどうして、僕が帰る時間がわかるのだろう?
30年ぶりに再会した母は、やっぱり、あの頃と同じ笑顔を浮かべていた。
※タイトルは皮肉です