第7話:『空中戦! 新生ゼクセリオンの圧倒的機動力』
「追撃隊、接近! 空中換装型機体『ボルト・イーグル』、計12機!」
ビットの警告がコックピットに響く。
空を見上げれば、エクリプス軍が誇る飛行型ロボットの編隊が、雲を切り裂いて急降下してくるところだった。
「……逃げ場はないぞ、アルト! 地上に縛り付けられた重機ごとき、空からハエ叩きにしてくれるわ!」
カインに代わって指揮を執る黒色騎士団の隊長が、勝ち誇ったように叫ぶ。
だが、俺は不敵に口角を上げた。
「地上に縛り付けられている? ……それは、あんたたちのことだろ」
俺の隣で、ルナが祈るように胸元で手を組む。
彼女から溢れ出す黄金の光が、ゼクセリオンの操縦系に直接流れ込んでいく。
《ロスト・レジェンド:【天空の答え】を認証》
《飛行用高出力推進器、再定義を開始――完了。ゼクセリオン・ハイウィング形態へ移行します》
キィィィィィィィィン!!
ゼクセリオンの背部から展開されたのは、物理的な翼ではない。
光の粒子で形成された、巨大な『四枚の光翼』だ。
「な……飛んだ!? あんな重厚な装甲を持った機体が、どうやって……!?」
驚愕する敵軍を置き去りに、ゼクセリオンは垂直に加速した。
凄まじい重力がかかるはずの機動。
だが、ルナの加護を受けたコックピット内は、まるで揺り籠のように静かだった。
「ビット、予測進路を表示して。一気に片付ける!」
『了解! 敵の飛行パターン、全解析完了! アルト、好きに暴れちゃって!』
視界に表示される赤いロックオン・マーカー。
俺はゼクセリオンを加速させ、空中で鋭い旋回を描いた。
それは、従来の飛行メカではありえない、物理法則を無視した『慣性ゼロ』の超機動。
「速い……! どこへ行った!? レーダーが追いつか……ぐああああっ!」
一機、また一機と、白銀の閃光が通り過ぎるたびに、エクリプス軍の機体が爆発炎上していく。
俺たちが手を出したのではない。
ゼクセリオンが通過する際の『光の余波』だけで、敵の装甲が耐えきれずに霧散しているのだ。
「これが……ゼクセリオンの、本当の機動力……!」
「いいえ、アルト様。これはまだ、この子の持つ力の数パーセントに過ぎません」
ルナが静かに、しかし力強く告げる。
「世界を初期化しようとする『影』を払うため、この子はさらなる輝きを求めています。……さあ、最後の一撃を」
「ああ。……一気に決める!」
俺は操縦桿を押し込み、敵の指揮官機へと突っ込んだ。
「鑑定……リンク・アップ! 【天撃・アンスレイ】!」
ゼクセリオンが光の槍を構え、空を横一文字に引き裂く。
爆炎の中、エクリプス軍の編隊は完全に壊滅した。
「……すごいな。俺、この景色をずっと見たかったのかもしれない」
空の上から見下ろす世界。
ゴミ山では決して見えなかった、輝くような地平線が広がっていた。
だが、その平穏を破るように、ビットが震える声でアラートを出した。
『アルト……地上から、とんでもないものが来る。これ、鑑定不能の……『闇』だよ!』




