表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第6話:『天駆ける聖女――白銀は共鳴する』

黄金の光をまとい、空から舞い降りたのは、透き通るような銀髪を持つ少女だった。


彼女が背負う機械仕掛けの翼が、光の粒子をまき散らしながら静かに閉じていく。


「……あ、あぁ……ルナ様! ルナ様、助けてください! この泥棒めを、今すぐ処罰して……!」


泥まみれのカインが、すがるように彼女の裾を掴もうとする。

だが、聖女と呼ばれた少女――ルナは、冷徹なまでに彼を一瞥もしなかった。


彼女の瞳が見つめているのは、ただ一点。

俺が駆る、白銀の巨神『ゼクセリオン』だけだ。


「……ようやく、見つけました」


ルナが歩み寄る。

一歩、近づくたびに、ゼクセリオンのコックピット内に警告ではない、心地よいメロディのような共鳴音が響き渡る。


『ピポ……!? アルト、これ見て! ゼクセリオンの出力が、勝手に上がっていくよ!』


ビットが驚きの声を上げる。

モニターに映し出される数値は、何もしなくても限界を超え、白銀の装甲が淡く発光し始めていた。


俺は吸い寄せられるように機体を降り、地面に足をつけた。

目の前には、絵画から抜け出してきたような美少女。


「君は……ルナ、なのか?」


「……やはり、あなたは『答え』を知っているのですね」


ルナは優しく微笑むと、ゼクセリオンの脚部にそっと手を触れた。

その瞬間、俺の右目【ガラクタ鑑定】が、かつてないほどの輝きを放つ。


《ロスト・レジェンド:【聖女の鍵】を検知》

《ゼクセリオン・第ニ形態への進化パスを解放しますか?》


「……進化?」


「アルト様。この機体は、ただの兵器ではありません。失われた光を繋ぎ、世界を再定義するための『審判の器』なのです」


ルナの声は、直接脳内に響くような不思議な響きを持っていた。


「エクリプス軍は、この力を独占し、世界を恐怖で染めようとしています。……どうか、私と共に来てください。この子が、本当の姿を取り戻すために」


「……ちょっと待て! 勝手に話を進めるな!」


割り込んできたのは、コーヒーカップを片手にしたセシルだ。

彼は剣の柄を握り、ルナを警戒するように俺の前に立った。


「聖女ルナ……エクリプス教団の象徴が、なぜこんなゴミ山上がりの男に接触する。これは罠ではないのか?」


「罠かどうかは、アルト様の『目』が一番よく知っているはずですよ。……騎士様」


ルナの真っ直ぐな視線が、俺を射抜く。


俺は、自分の右目を見た。

鑑定結果は、嘘をつかない。

彼女から溢れるエネルギーは、ゼクセリオンのそれと全く同じ、純粋で、どこか懐かしい光だった。


「……わかった。あんたを信じるよ、ルナ」


「感謝します、アルト様」


その時、遠くから無数の駆動音が響いてきた。

カインの失態を聞きつけた、エクリプス軍の本隊――「黒色騎士団」の主力部隊だ。


「追手ですね。……アルト様、ゼクセリオンの『真の翼』、見せていただけますか?」


「ああ。……リンク・アップ! ゼクセリオン、再定義リ・アンスレイ!」


ルナの光を受け、ゼクセリオンの背中から、光り輝く白銀の翼が展開された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ