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第2話:『そのスペック、規格外――伝説の再定義』

「……はぁ、はぁ……。やった、のか……?」


静寂が戻ったスクラップ山。

俺――アルトは、白銀の巨神『ゼクセリオン』のコクピットで、荒い息を吐いていた。


目の前には、エクリプス軍の最新鋭重機ロボだった『鉄屑』が転がっている。

ただの一撃だった。

一撃で、軍の誇る装甲を紙細工のように引き裂いたのだ。


「……ステータス表示」


俺は震える手で、空中に浮かぶ半透明のウィンドウを操作した。

【ガラクタ鑑定】がゼクセリオンとリンクしたことで、これまで見えなかった詳細な情報が流れ込んでくる。


********************

【機体名】ゼクセリオン

【動力源】アンサー・エンジン(出力:ERROR)

【装甲値】測定不能(自己修復機能:アクティブ)

【スキル】

・全パーツ再定義:周囲のガラクタを最適パーツへ変換する。

・虚空歩行:短距離の空間転移を可能にする。

********************


「なんだこれ……バグってるのか?」


出力ERROR。

通常の重機ロボの出力が『1200』程度であることを考えると、文字通り桁が違いすぎる。


「ピポッ! ピポピポ!」


その時、足元で電子音が響いた。

見ると、ゼクセリオンが拾い集めたガラクタの中に、一つだけ妙に激しく発光している球体がある。


俺がそれを手に取ると、視界に新たな『文字』が走った。


《神話級ナビゲーター:ビットを検出しました》

《ゼクセリオンの補助システムとして、再構築リンク・アップしますか?》


「実行だ!」


俺が叫ぶと、球体は瞬時に銀色の外装へ変貌し、空中にふわりと浮き上がった。


『ピポポ! リンク完了! アルト、よろしくね!』


「……喋った!?」


驚く俺をよそに、ビットはゼクセリオンのコクピット内に陣取り、周囲のレーダーを勝手に展開し始めた。


だが、感傷に浸る時間はなかった。


『アルト! 上空に高エネルギー反応! エクリプス軍の第二波が来るよ!』


ビットの警告と同時に、空が割れた。

現れたのは、カイン直属の精鋭部隊――『黒色騎士団』。


「……見苦しいぞ、アルト。その白銀の機体、どこで盗み出した?」


拡声器越しに聞こえるのは、聞き慣れた、反吐が出るほど傲慢なカインの声だ。


「カイン……わざわざ自分からやってくるとはな」


「ふん。その不格好なガラクタ人形を差し出せば、命だけは助けてやろう。……もっとも、両手足をもいでスラムの肥溜めに放り込んだ後だがな!」


カインの合図で、一斉にミサイルが放たれた。

数十発の炎が、ゼクセリオンへ殺到する。


「アルト、右の鉄屑を鑑定して! パーツに変換できるよ!」


ビットの叫びに従い、俺は瓦礫の中に転がっていた『壊れた大型冷却ファン』を指さした。


「鑑定……リンク・アップ! 【ブレイズ・アーム】!」


瞬間。

ゼクセリオンの右腕が、周辺の熱を吸収し、真っ赤な高熱を帯びた。

降り注ぐミサイルが、ゼクセリオンに触れる前に、熱波だけで爆発四散する。


「な……何が起きた!? ミサイルを……蒸発させただと!?」


狼狽するカインに、俺はゼクセリオンを加速させた。


「カイン、あんたに教えてやるよ。俺の鑑定は、ゴミを拾うためのものじゃない」


ゼクセリオンの右拳が、紅蓮の炎を纏う。


「世界を、塗り替えるための力だ」


一閃。


炎の拳が空を薙ぎ、カインの精鋭部隊の半分を、ただの熱風だけで吹き飛ばした。


「……これこそが、失われた光の答えだ」


炎の中に立つ白銀の巨神を見て、カインは絶叫した。


「ありえない……! あんな無能の鑑定士が、なぜこれほどの力を――!!」

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