表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/25

第12話:『紅蓮の反撃』

「……馬鹿な。我が『グロリアス』の主砲を、正面から飲み込んだだと……!?」


要塞機を駆るヴァルガスの声が、初めて動揺に震えた。


爆炎の霧を切り裂き、そこに立っていたのは、紅蓮の光を全身から噴き出す白銀の巨神。

装甲の隙間からは、過負荷に耐えるゼクセリオンの咆哮のような排気音が漏れている。


『アルト、限界だよ! エネルギー変換率、120%突破! あと三十秒で自壊しちゃう!』


ビットの警告がコックピットを赤く染める。

左目で見つめる世界は、溢れ出した熱量で歪んで見えた。


「……三十秒あれば十分だ」


俺は操縦桿を限界まで押し込んだ。


ドォォォォォォォン!!


空気が爆ぜた。

翼を使わず、純粋な熱エネルギーの噴射だけで、ゼクセリオンがヴァルガスの懐へと潜り込む。


「調子に乗るなよ、小僧ぉぉッ!」


ヴァルガスの四本の腕が、至近距離から迎撃のガトリングと破砕爪を繰り出す。

だが、今のゼクセリオンは、その一撃が触れる前に「熱の防壁」で全てを焼き切っていた。


「鑑定……リンク・アップ! 【紅蓮・アンスレイ】!」


俺は、右拳に全てのエネルギーを収束させた。

ヴァルガスの機体――グロリアスの「右胸」にある疑似コア。

さっき左目で無理やり見抜いた、唯一の綻び。


「そこだぁぁッ!!」


ゼクセリオンの拳が、要塞機の重装甲を紙のように貫いた。


「な……我が『七星』の装甲が……ただのガラクタの拳に……ッ!?」


「ゴミ山を舐めるなよ。……俺たちは、壊されるたびに強くなるんだ!」


熱が、コアを内側から焼き焦がす。

大爆発。


ヴァルガスの機体が、内部からの誘爆によって四散し、吹き飛んだ。


「……はぁ、……はぁ、……やった、のか……?」


紅蓮の輝きが消え、ゼクセリオンの全身から白い煙が上がる。

動力を使い果たした機体は、そのまま膝をつき、動かなくなった。


静寂が戻った戦場。

だが、その沈黙を破ったのは、ルナの震える指先だった。


「アルト様……、見てください。あそこ……」


爆炎の向こう。

大破したグロリアスの中から、ヴァルガスが血を流しながらも立ち上がっていた。


「……クク、……ハハハ! 素晴らしい、素晴らしいぞアルト! 我が機体をここまで追い詰めたのは、十数年ぶりだ!」


ヴァルガスの背後に、さらなる影が現れる。

それは、一機ではない。


空を埋め尽くす、エクリプス軍の本隊。

そして、その中央に鎮座する、カインさえも跪くような「真の皇帝の機体」の威容。


「……七星の一人を倒した程度で、勝ったつもりか?」


空が、絶望で塗りつぶされていく。


「ビット……、まだ動けるか?」


『無理……。アルト、もう、指一本動かせないよ……』


力尽きた俺たちの前に、皇帝の使者が静かに降り立った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ