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第11話:『七星の圧倒的火力』

爆煙の中から現れたのは、これまでの重機ロボとは一線を画す「異形」だった。


全高はゼクセリオンの倍。四本の腕にはそれぞれ異なる巨大な砲眼が備わっている。

エクリプス軍最強の武力、皇帝直属『七星』が一柱――機将ヴァルガス。


「……聖女を汚すネズミめ。この『要塞機・グロリアス』の火力を前に、塵も残さず消え去るがいい」


ヴァルガスが指を鳴らした瞬間、周囲の空間が震えた。


「――全門、斉射セイシャ


ドォォォォォォォォォォォン!!


「な……ッ!?」


視界の全てが白光に包まれた。

ただの一撃。回避する隙さえ与えない、面制圧の超広域熱線。


「主殿、伏せろぉぉッ!!」


セシルが俺を突き飛ばし、古城の石柱が飴細工のように溶け落ちる。

ゼクセリオンがとっさに展開したシリアスな防壁さえも、わずか数秒で「警告」の赤色に染まった。


『アルト! 出力が足りない! このままじゃシールドごと蒸発しちゃうよ!』


ビットの悲鳴が響く。

右目を失い、感覚が狂っている俺にとって、この光の暴力はあまりにも致命的だった。


「……くそっ、これが『七星』の力かよ……!」


「無駄だ。我らが火工かこうは、神の雷にも等しい。貴様のようなゴミ拾いのガラクタが耐えられる道理がないのだ」


ヴァルガスの四本の腕が、再び充填チャージを開始する。

先ほどの一撃は、まだ挨拶に過ぎなかったというのか。


「……アルト様、逃げてください」


隣で、ルナが力なく呟いた。

その瞳は再び、感情を押し殺した無機質な光を湛えている。


「今のあなたの状態では、七星には勝てません。……私を差し出せば、あなたの命だけは……」


「……ルナ、言っただろ。君を部品だなんて認めないって」


俺は震える足で立ち上がり、ゼクセリオンの操縦桿を握り直した。

左目で見える景色は、崩壊した瓦礫と、迫りくる死の光だけだ。


だが、ガラクタの山には、ガラクタなりの「抗い方」がある。


「鑑定……。……いや、違う。俺の左目よ、ヤツの『火力』を読み取れ!」


俺は敵の攻撃を避けるのをやめた。

あえて、熱線の「流れ」を、残された左目で凝視する。


《左目による特殊解析……開始》

《対象の熱エネルギーを「ガラクタ」として定義。……ゼクセリオンの動力へ変換可能》


「……!? ビット! 装甲表面を逆位相に書き換えろ! ヤツのビームを『燃料』にする!」


『ええっ!? そんなの、一歩間違えたら爆発だよ!?』


「やれ! 俺の鑑定を信じろ!」


ヴァルガスの第二射が放たれた。

今度は先ほどの三倍の密度。古城そのものを消滅させる絶望の一撃。


光が、ゼクセリオンを飲み込む――。


「ハハハ! 消えろ、不浄の残骸め!」


ヴァルガスの高笑いが響く。

だが、爆炎が晴れた後、そこに立っていたのは……。


眩いばかりの紅蓮の熱気をまとい、全身からプラズマを噴き出す、限界突破状態のゼクセリオンだった。


「……鑑定、終了。……お前の火力、そのまま返してやるよ」


ゼクセリオンの拳が、敵の熱線を取り込み、太陽のように輝き始めた。

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