第9話 鳥対私対シーナ
誤字報告いただきました!
すみません本当に。ありがとうございました。
朝、目覚まし時計の音で目が覚める。
気持ちよく眠っていたので少し不快な気持ちになりながらも重い体を持ち上げた。
制服に着替え、適当に温めた作り置きの料理をほおばる。
......朝からカレーはちょっと重いかな?
数分で食べ終えた私は、時間が余っていたので読書でもして時間を過ごすことにした。
まだ読んだことない本が家にあるんだよね。
開けられないまま放置されていた段ボールを手に取り、中から書籍を取り出す。
30分弱か......時間は余裕だね。
そう思ってた時期(時間?)が、私にもありました。
現在、私は全力で学校への行き道を走っていた。
本を読んでいたらいつの間にか遅刻しそうな時間だったんだよ!
面白かったよちくしょう!
幸いなことに、私の制服は個人的な趣味によりスカートではなくズボンだったため、風で捲れる心配はない。
魔法を使ってもいいけど、よほどのこと以外は街中で使いたくはない......
バレる可能性あるし。
家の中だったらいいんだけどね。
追い風にするくらいの魔法は使っても違和感を持たれないのでずっと使ってるけど。
曲がり角をそのままの勢いで曲がろうとすると誰かにぶつかりそうになる。
「えっ、水盾」
小さく、自分でも聞こえないくらい小さな声で魔法をとっさに発動させた。
相手と私、両方に。
少女漫画のように、ぶつかって自分が転んでしまう......
ことはなかった。そもそも食パン咥えてないけどね。
私が転ぶどころか、相手が軽く吹っ飛んだ。
知り合いじゃなくてよかった。
いや、よくないけど!
「うおっ.......」
まぁ、男性ではあった。
同い年かちょっと上くらいの。
かなり困惑しております。
痛みは魔法でないけど、多分衝撃は感じたはず。
私無傷だし。ピンピンしてるし。
それがびっくりしてるんだろうな。
痛みはなくとも流石に悪いと思ったので、腰を90度傾けて謝罪をする。
「ごめんなさい!この先の高校に通ってるので何かあれば連絡してください。」
そして逃走!逃走というか、遅刻しそうだから早く去ったというか。
「俺の方が体格デカいのに吹き飛ばされるのなんなん......」
私には、最後男性が残した言葉は聞こえなかった。
一人取り残された男性は、しばらくその場に立ち尽くしていた。
▲▽▲▽▲
学校についた時には門が閉められようとしている時だった。
駆け込み乗車並みの滑り込みを見せ何とか遅刻を免れる。
あっぶな!?あの教師間に合わなかったら容赦なく閉める目をしていたよ。うん。
教室につくと、大多数の生徒が既に座っていた。
私は何食わぬ顔をして自分の席に着く。
まだ先生は来てない!私の勝利ですね。
何と争ってるかはわからない。
多分遅刻と勝負してた。
「珍しいね。瑠奈が遅刻なんて。」
椎名とは席が隣なので細々とした音量でも十分に聞こえた。
遅刻もそうだけど、ぶつかった人が不安なんだよね。
骨とか折れてないといいけど。
「あー、うん」
生返事だったからか、椎名が怪訝そうな顔をしていた。
といっても、すぐに元の表情に戻ったけど。
椎名の顔がもうちょっとよく見えれば感情が読み取りやすいんだけど。
椎名曰く、私が空気とか、感情の機微を読み取れなさすぎるだけらしいけど。
私は納得してないです。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
私が席についておよそ30秒後。
凄くギリギリでしたね。ええ。
「はい、HR始めるぞー」
先生が扉を開けて入室してきた。
「えー、氷月。」
朝の件なのではないか。
そう思った瞬間、ひゅっという音が聞こえた。
自分ののどから。
こわばってしまった顔を無理くり笑顔に変え、先生の顔を見る。
「お前、理科のレポート出してないだろ。」
え?
......あ。
現在の進捗具合は......うん。
一難去って、また一難ってやつかな。これが。
この後めちゃくちゃ怒られた。
▲▽▲▽▲
昼休み。教室にクラスメイト全員を集めた椎名は朗らかに言った。
「ゲームで10万ゲットしてきたよ。今日は椎名のおごりだ!放課後焼肉に行こう!」
満面の笑み。そう表現するのがよく似合う笑みを椎名は浮かべていた。
「へ?あ、ありがとう?」
多分、ありがとうと、感謝ができたのは私だけだったと思う。
私も混乱してたから純粋に感謝できてたかといわれると微妙だけど。
教室から聞こえる喜びの声。
予約もしているらしく、準備周到だな。と私は思った。
皆が椎名の話を聞き終えて去って行った後、椎名が私に耳打ちをしてきた。
「このお金は、昨日の配信で稼いだんだよ。」
「たった、あの数時間で?」
驚いた。
バイトをする意味がなくなっちゃうよ!それは。
私はバイトなんてやってないけどね。
▲▽▲▽▲
放課後。
お肉は非常においしかったです。はい。
ちゃんとしたお店だったし。
焼肉で解散をし、私と椎名は一緒に帰っている。
家となりだし。
何で一緒に行かないかっていうと、めんどくさいの一言に尽きる。
出会ったら一緒に行くし、帰りも一緒に帰るんだけどね。
「この後8時に待ち合わせで。」
「私9時半までだからね。」
「はーい」
徹夜をしそうだから、怖いんだよね。
家に着いた頃には、もう8時になりそうだったので、急いでゲームにログインする。
「私の方が先だったね。」
私が入って少ししてからログインしてきたシーナに声をかける。
ちょっと悔しそう。
「配信してもいい?」
「ん、いいよ~」
ぽふっ
撮影ちゃんが現れる。
私のウィンドウに、コメントという枠が追加され文字が高速で流れていく。
昨日が初めてだったけど、見慣れたなぁ。
「今日は、昨日私が行ったところにルナを連れて行こうと思いまして。」
シーナが怪しげな笑みを浮かべたかと思えば、私に目隠しを渡してくる。
「これつけて。」
言われたとおりにつけると視界が真っ暗になる。
目隠しなんだから当たり前だけど。
▲▽▲▽▲
「ほいっ、もうとってもいいよ」
草原。
地上に敵はいない......
鳥?デカくないか。
「ここで何匹倒せるか競争しよう!」
えぇ......
私がしかめっ面になっていても構わずシーナが続ける。
「じゃあスタートね!」
叫ぶと同時に、弓を引き放つシーナ。
フライングだぞ!ひでぇ。
近くにいても意味ないかな。
草原はかなり広く、シーナの姿が見えないくらい遠くに行ってもまだまだ終わる気配がない。
それはそうと。
「水槍」
まずは一匹。
倒した瞬間に、アイテムボックスが埋まるので、空中にいようが関係ないのはうれしい。
「水槍」
二匹目。
「水槍」
三匹目、四匹目......
―――レベルアップしました―――
あ、レベルが上がった。
続きっと。
「水槍」
何回目かわからない水槍を出そうとしたが、しゅうぅぅと情けない音を上げるだけだった。
え?なんで?
もしかして、魔力切れ?
まだ現実の私の魔力はたくさんあるのに!?
どういう原理かわからないが、上限があるらしい。
レベルアップしたらどうにかなるかな?
魔法はもう使えなさそうなので、剣を振り回した。
私の武器は魔法だけじゃないっ!
コメント(前日・ルナがログアウトした後)
魔法使い......今から転職しても遅くないぞ。
ゲーム代金のスパチャ送ります。
5000円
撮影代なう
2000円
スパチャ祭りやぁ!
10000円
........
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シーナ「諸々含めて三十万......今度みんなに奢ったろ。」




