第24話 報連相?何それ美味しいの?
白骨化した不死の王の身体を滑るように走っていく。
「空中闊歩」のスキルがバランスの悪い場所でも体をうまく支えてくれた。
HPは残り一割を切っている。
上手く攻撃を避けながら、足場というのも変な表現だけれど、自分の足元(不死の王の腕)に剣を突き立てていく。
魔力はほとんど空っぽなので、ぶっちゃけキツイ。
どうしても避けきれないときのみ「霊体化」を使って上手くかわしていく。
泥試合にみえなくもないけれど、ほんの少しづつ、不死の王のHPをなくしていく。
あと、ほんの少し、ミリだというのに、攻撃が通らなくなった。
不死の王の首元に、先程まではなかった黒く濁った宝石のネックレスがある。
何故か、目を引き付けられる。
あれが、原因なんじゃないかなぁ......
確証もないただの勘。
私にはそれが正しい気がしていた。というか誰でもそうだと思う。
「なーんか、あれ、気になるんだよねしーな....」
シーナの視点の先はあのネックレス。
だよね、みんな気になるよね。
私が壊すのには一つ問題がある。
圧倒的火力不足。
魔法を使える余裕なんてないから、純粋なSTRが足りない!
くっ、私もここまでか...とはならないんだよね。
「シーナって今何レべ?」
シーナは少し考えるようなそぶりをしたものの、即答だった。
「50くらい?」
私、悲しいことに30ないんだよね......
シーナは五時間睡眠、たまに完徹とかいう体を壊しそうなスケジュールでレベル上げをしていたらしい。
一周回ってたたえるべきよこれは。
嘘です。よいこの皆さんはマネしないでください。
話がずれたけれど、というわけで、シーナがDEXに多めに振っていようと、私よりずっとSTRの値が高い。
私はシーナを送り届ければいい。
「シーナ、こっち来れる?」
「おけー」
ひゅんひゅんと風を切ってやってくる攻撃を綺麗にかいくぐりながら私のすぐそばにやってくる。
「どうしたん?」
シーナの問いには答えず、シーナの背中についている弓と、シーナが手に持っている二本の矢以外の矢を盗る。
「え?」と間抜けな声を発したシーナを無視し、シーナを全力で投げた。
「うわぁぁぁ!?」
叫び声が聞こえてきたけど、「空中闊歩」のスキルがあるんだし問題ないでしょ。
体制が整っていないシーナに放たれた攻撃を撃つ。
威力だけはあるこれで牽制をしとけば、シーナは自分で何とかできるから。
立場変換なんてね。
何とかうまくネックレスに足をつかせたシーナが矢を振りかぶるのを見て、ギリギリたまった魔力で遠距離の「水槍」を出現させる。
効果は非殺傷。
水がシーナの背中を押し、勢いを増す。
宝石がヒビが一瞬で全体にいきわたり、音を立てて崩れ落ちた。
「とどめ....!「...は私が刺す!」
シーナがもう一撃を繰り出そうとする瞬間。
美味しいところはいただく!
骨の砕ける音が響いて。
目を開けていられないくらい眩い光が舞った。
―――『不死の王』討伐成功―――
...草原?
シーナと私が『始まりの街』付近の友好的な敵しかいないエリアにいた。
身体を動かせない。
自分の身体を、俯瞰して見ているようだった。
図書館で見たMV(?)の時と一緒だ。
「おや、旅人さんかい?」
勝手に口が動く。
地面に寝っ転がるようにして休憩していたご老人に向けて。
「......ワシは、武闘会で優勝することが目標じゃった。本当の強者と戦いたかったのじゃ。」
自分語り始まったか?
「へえ、そうなんですね。」
シーナの口からシーナの声で、初めて聞く声。
どこまでも澄んでいて優しい音。
感情がこもっていない気がしたのは気のせいではないと思う。
にこにこフェイスを浮かべてはいるものの、やつれた顔が透けて見えるような気がした。
「年を食って、開催側になって....うまく行かなくて、数年前に辞めたんじゃけど....。この街には療養目的できただけじゃったけど...。お主らの面を見て目が覚めたわい。」
「ワシよりも強いじゃろう?」と私の肩にぽんっと手を置いてくる。
「決めた。ワシは今持っている全コネを使って武闘会をここで開催する!」
―――ワールドクエスト:仮想武闘祭が開始されました―――
―――実施日は一か月後です―――
無機質な世界の声が、頭の中に響き渡った。




