第22話 アホ共の現実逃避
椎名からのモーニングコールで目を覚ます。
「おはよぉ...まだ暗い.....」
現在時刻を見て驚いた。四時。
モーニングかこれ?早すぎない?
「見てこれ!昨日バズってて!」
ずいと、私の目の前に椎名のスマホが出される。
「『シークレットクエストだぜ!!』......?え、これ椎名のアカウント?え、え?多くない?」
椎名のアーカイブの視聴回数なんと700万。
動画ではなく、配信なのに。
......???
「そう、それでワールドクエスト発生の場所を何万人も調べてくれたみたいなんだけど、椎名たちが行かないといけないっぽくて。」
正確には『ドラゴンキラー』を持っていないといけないらしい。
と椎名が続ける。
「と、いうわけで始めましょう。」
先行ってるからね~とだけ呟いて椎名は帰った。
え、えぇ......??
ログインすると、運営からメッセージが来ていた。
朗報とは言えない部類の。
物理無効化と飛行はあまりにも強すぎると感じたらしく、修正されるらしい。
ちなみにあのあとださい例の武器はあのイベント限りのモノらしく、壊れてしまった。
流石になくしてはい終わりとはいかないのか、
『霊体化』『空中闊歩』『半不死』
というスキルを代わりに貰いました。
左から順に、三秒間すべての攻撃を無効化するスキル、空中である程度動けるようになるスキル、一回だけHPを1残して生き残れるスキルです。
シーナも同じメールが来たらしい。
スキルじゃないけど、自転車ももらった。
私小学生か何かだと勘違いしてない?
しかも速度上げまくったせいで自転車の方が遅かったし。
いらんわ。
とまあ、閑話休題。
その場所にやってきたわけですが、じめった洞窟です。
なんだろ、馬鹿でかいカエルでも出るのかな。水場ないけど。
合流したシーナとともに洞窟に足を踏み入れようとした瞬間、けたたましいアラームが鳴り響いた。
―――『種族:幽霊』を確認、イレギュラー発生。
―――討伐対象を『不死の王』に変更します....
濃い、腐臭が漂った。
「....アア.....オマェㇻ....」
王冠をかぶった、骸骨。
「シネ」
その声を合図に、戦闘が始まった。
「水槍」
牽制をし様子を見るが、攻撃が通らない。
ドラゴン戦の時のように、硬い皮膚によって阻まれているのではなく、文字通り、すり抜けてしまう。
修正前の、私達の身体みたいに。
魔法なら通るんじゃないの?と思ってる人も多いだろう。
「水槍」は、「水操作」という水を出現して動かす魔法の応用系だから、分類的には魔法攻撃ではなく物理に換算されてしまう。
「しーなの攻撃、通らなくはないけど....」
しーなの使っている弓を、初期に配布された魔法矢にするとダメージが通った。
とはいえ、初期の武器....攻撃は微々たる量で。
「クソゲーじゃねぇかよーーーーー!!!」
ふぇぇんふぅぅん....
「霊体化」
私の身体が、一瞬霧のように溶けてなくなる。
攻撃は避けますけどぉ.....
突如、シーナの怒鳴り声に近い悲鳴が聞こえる。
「もういいよ!しーなはもう疲れた!」
シーナがそう吐き捨てるとインベントリから四桁に迫ろうかというあり得ない数の弓矢を出す。
「へ?」
間抜けな声がわたしの口から洩れた。
とんでもない速度で何本も連射されていくそれ。
1...2...3...何本だあれ?
しーなが一回弓を引くごとにえげつない数の矢が不死の王に刺さる。
もちろん限界はあるわけで....
「....ちっ」
不死の王のHPは半分ほど残っていた。
というかシーナ怖っ!?
ちって何、ちって。
「ルナも足掻いてよ!」
「はいっ!」
ピシィと、背を生き良い良く伸ばして返事をする。
もう、私が使える魔法を片っ端から試してやる!
......別に、ビビったとかじゃないけどね?
魔力消費の少ない、剣に魔法をまとわせる方法を使おうかなぁ...
えへ、えへへ....
.......
そうだよ!私は小心者なんだ!
チキって何が悪い!
とりあえず燃費が悪いから炎系は無理!
風も結構きつい!
得意なのは水!
攻撃魔法の中で一番弱いと言われているのも水!うるさい!
うーん..火魔法に「聖火」っていう浄化の魔法あるけど......
あれ現実でもきついくらいの魔力消費量だし.....
「うーん...」
...
.....
........
...........
分からん。
どうせ負け試合だし、好きなように好きなだけ魔法使ってみてもいいか!




