第19話 犯罪は犯してません
口に、【奇跡の飴玉】を入れたシーナはうっとりとした表情になり、私に一つ渡してくる。
「食べてみて。」とジェスチャーされる。
そんな美味しいのかな?
口に入れた瞬間、ラムネのような味のする液体に早変わりし、炭酸を強く感じた。
うむ、美味なり!
―――想定外の使用方法。予期せぬエラーが発生しました―――
ビービーという明らかにやばい音が聞こえたかと思えば目の前が真っ赤に染まり、視界がぐにゃりと歪む。
―――解析......種族:幽霊に変更します―――
数秒もすれば異変は収まり、何事もなかったのかのように元に戻る。
あぁびっくりした。
配信は大丈夫なのかな?
コメント
透けてない??
背景が見えそう。
テクスチャのバグ?
修正お願いします。
―――――――――――――
透けてる......?って?
おもむろにシーナの方を見てみると、なるほど意味が分かった。
シーナが透明に近くなって、足元は結構消えかかった感じ。
おそらく、私もそうなってるんじゃないかな?
自分の掌を見ると、ちゃんと肌な色を成しているものの、床の色が識別できそうなくらい薄れていた。
とはいえ、剣は持てるし、足も地面についているしで実体がなくなったわけではなさそう。
▲▽▲▽▲
とりあえず、地上に向かう。
いつもは気にならない太陽がやけに熱く感じられた。
日焼けをしているときのような......
なんとなく、軽くその場でジャンプした。
私の体が宙に浮きあがる。
「―すぅ。飛べ....そうだなこれ。」
人間卒業!やったね!
現実でも飛ぼうと思ったら飛べるけどね。
街には教会があるけれど、嫌な予感がする。
浄化されそう。物理的に。
配信はイレギュラーが起こりすぎたからか、中止されている。
「クエストどうなってるかな?行ってみない?」
シーナからそういわれ、私はにこりと笑って頷いた。
ちょっと怪しいやつがあるけれど、達成できますように!
紙切れを前に、神社で祈りをささげるときみたいに、パンパンと手を鳴らして祈る。
『わぁ!ありがとう!じゃあ、すぺしゃるすてーじにしょうたいするね!』
この家の持ち主であろう、甲高い少女の声が脳内に響き、真っ白い世界へと呼び出された。
▲▽▲▽▲
不意に、目の前に見覚えのある紙切れが落ちていることに気づく。
黒く塗りつぶされたところはきれいに消えている。
【これを見た誰かへ】
いまからいうそざいをべっとのうえにおいてほしいです。
ほーしゅーはちゃんとあります。
あたしにはおかねがないので、おかねははらえません。
でも、あたしはすごいひみつをしっています。
そのひみつをほーしゅーがわりにしてほしいです。
ししゃのかわをせんこ。
いびつなほねをせんこ。
きよきたましいをさんこ。
じょうかのせいすいをいっこ。
これをあつめてきてほしいです。
ぜんぶあつめおわったら、すたれたくろれきしとひきかえにほーしゅーをあげる。
じゅんびしておいてね。
たどりつくにはぎせいととくしゅなぶきがひつようだよ。
く、黒歴史......?犠牲......?
『いまから、このふたりいがいしらないようなくろれきしをおおごえでさけんでもらいます!はいしんをやってるみたいだから、りようさせてもらったよ。うそはつうじないよ。』
シーナが、慌てて配信を停止させようとするが、何らかの力が働いているのか、停止できない。
ログアウトもできない。
『しーなはるなのくろれきしをいって、るなはしーなのくろれきしをいってね!』
舌っ足らずで恐ろしいことを話してくる。
二人だけならまだしも、全世界に向けて配信中だ。
鬼畜の所業だー!
叫んでもわめいても仕方がないので、諦めることにする。
シーナは小学生からの付き合いで、私自身も何の話が出てくるのか分からない。
「しーなから言うね。ルナが~この前絡まれたときに×××××」
何故だろう。
ピー音が入った。
そんなに私ってやばいことしてたっけ。
『よし、合格!次どうぞ!』
私の被害は少なかったようでなにより。
「えーと、しーなは小学校の時に中二病を発症していてテストの名前を書く欄にダーク・ファイヤー・フェニックスと書いたことがある......」
覚えている中で、結構どぎついのを言ってみた。
大変!シーナが咳き込んで倒れてしまった!
たまに私はこれを思い返してるけど面白くてお腹ちぎれそうだもん。
いつもありがとうね。
コメントが草とWであふれている......
これは君の犠牲で勝ち取ったもの......そうか、犠牲ってこういうことね。
逃げられないように隠してただろ。
確信犯じゃ。
『合格!第二ステージにどーぞ!』
地面に亀裂がはしり、地面に穴が開く。
私たちは下の階に落ちていった。
流石にこれで終わりだよね!?
普通に戦闘とかの方が楽なのに!
アーカイブ......消せないかなぁ。
落下で死にそうだと考えながら私たちは下に落ちていった。




