第17話 一応三属性持ちです
アイテムをインベントリに入れると、今まさに本来倒すだろうウィッチ......
が今まさにハルトさんの手によって倒されていたところだった。
「シーナさんとルナさんどこに行ったのかな......急遽ログアウトしたのか?せめて一言........」
口調も少し砕けていて、穏やかだった空気がいら立ちに変わっているようだった。
ぼやきが聞こえてくるが、私たちのせいではないので何を言われようが知らない。
クエストを開始してなかったらこんな目になっていないと言われようともクエストを作った運営が悪い。つまり、私は悪くない!悪くないんだ!
心の中で言い訳をして、ご機嫌斜めのハルトさんが喋る隙を与えず、配信を終わらせにいく。
「お見事!」
「じゃあ、目的は果たしたし、終わりましょうか!」
「え、あの、ちょ、さっき......」
有無を言わせない勢いで「では!」と声をかけ、半ば強引に配信を切る。
「よし、私たちも終わりにするか!」
「ハルトさん、今日はありがとうございました!」
そそくさに逃げようとしたが。
「ちょっと待って。俺の話が終わってないんだけど?」
冷ややかで胡散臭い笑みを張り付けて、先程までの丁寧な口調も変わって。
「ひゃい......」
思わずシーナがそういってしまうくらいには圧があった。
「さっきまでどこにいたのかな?」
その質問には答えられない。だって私もわかんないんだから!
「分かんないです。」
すがすがしくなるほど堂々と言うと、「俺、年上だよな?」と小さくつぶやき私に視線を送ってきたけど知りません。
「イベントが起きて別のところに行ってたんですよ。」
シーナの言葉に、ハルトさんはぱちぱちと何度か瞬きをし、そういうことか。と呟いた。
「初回だったもんな。初回はウィッチじゃなくてもうちょい弱いゴブリンメイジだったな......」
それでもなかったです。というほど空気は読めなくない。
曖昧に頷いておき、本当のことは言わなかった。
「すまん、俺の早とちりだった。」
いや......こっちもすんません。
「それはいいけど......。口調変わったりしました?」
「本当は俺、こっちが素だからさ。」
オフの時はこれになるが気にしないでくれ。と飄々とした態度で言う。
「本当に俺のこと気づいてないの?」
じぃ......っと穴が開くほどに見つめられる。
「え......ルナ....なんかやったの...?」
心当たりはない。とシーナに伝えると、本当かなぁ?と独り言を漏らす。
「あのー....ルナさんはね、俺にね。弾丸並みの速度で突っ込んできた。」
えっ、あの時のお兄さん!?
本当だ顔同じだ!
口だけをパクパクとだけ動かしていると。「本当に気づいてなかったか......」とため息をつかれる。
「あの時はちょっと急いでて......すみません。」
「あぁ、すまん。謝ってほしいわけじゃなくて。俺はルナさんの体幹がえぐい気がして聞いてみたかっただけで。」
「体幹?ルナは普通じゃない?」
話がうまくかみ合ってない。
魔法のことが露呈することはないと思うけど、怪しまれるくらいはするだろう。
そう思って慌てる。
「ハヤトさん!ハヤトさんの戦ってるところ見たことないので見たいです!」
二人が口を開けぽかんとしていたので強引すぎたか?と思っているとこらえるような笑い声が聞こえてきた。
「くっ.....はは......いいけど、俺は剣を振り回してるだけだから面白くもなんともないぞ。」
雑談を交わしながら討伐を重ね、満足したところでログアウトをした。
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さぁ、やってきました!
コラボしたダンジョンに!
熊やら蛇やらが出てくる場所になって。
おかしい。
この前は全然蛇が出てこなかったのに。
熊が四割、残りが蛇.......そんな割合。
この前の確率は何だ―ったのだろうか。
レアモンスターよりもレアモンスターしていたあれは。
ボス戦まで魔法はとっておこうと思い、剣を振りかざしながら進んでいく。
―――スキル:カウンターを獲得しました―――
「カウンター?」
そう口にした瞬間手が引っ張られるようにして熊の攻撃を防ぐ。
攻撃はしてないが、熊のHPは一気になくなり、エフェクトを散らして消えていった。
受けた攻撃を倍にして返すみたいなスキル?
―――レベルアップしました―――
このゲームは15レベルから中々レベルが上がらなくなるらしい。
ステータス割り振るか......
LV17 ルナ
HP 175/175 MP 51/100
STR 70 VIT 0
AGI 50 DEX 30
INT 85
称号 残虐な者
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今回はすべてINTに振ってみた。
魔法使いですし?一応。
......?
MPが減ってる......
スキルってMP使うのかな。
まあいっか。魔法か剣だし。
「竜巻とか、使えるようになってないかな?」
半径三メートルほどの小さい竜巻が出現し、敵を巻き込む。
竜巻の中では風の刃が旋回していて......
「......私強くね?」
ほんの少し自覚した。
更新結構遅れました。
風邪が流行ってます。お気を付けください。




