第1話 VRMMOをやろう
【世界初のVRMMOが発売中!】
フルダイブ型のファンタジーRPG。
わずかリリース開始一週間で神ゲーと評価されるほど。
評価はまさかの4.9。
面白さは保証します!
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学校からの帰り道、ふと目に入ってきたのはそんな言葉だった。
私は氷月瑠奈。
私には誰にも言えない秘密がある。
私の家系の女性は魔女の血を引き継いでいて、魔法が使えるということ。
娘は私一人。現在、生きている魔女は私とお母さんだけ。
私には結婚願望がないため、おそらく私が最後の魔女となるだろう。
魔女の血を引いていて魔法が使えても、魔法が使える所以外は何も人間と変わらない。
年も取るし、おなかも減る。眠くもなるし、感情もちゃんとある。
魔法が使えること以外はただの人間だ。
そんな私はゲームに興味があって。
「世界初のVRMMO?何それ面白そう。」
気づけば電話をかけていた。
「はい、この、VRMMOというやつを......はい。そうですね。」
声はいたって平静だが、心の中では心臓がバクバクと音を立てているのを感じていた。
最高級の器具を買っちゃった......グッバイ、私のお年玉。
私はカセット以前にVRのゲーム器具なんて持っていなかったため、せっかくならばと一番性能がいいというカプセル型のものを購入した。
プロゲーマーたちも愛用しているらしく、それはもう高性能。
お値段もかなりのものだったが、今までのお年玉をすべて使ったらギリギリ足りた。
現在私は高校一年生。
私には梨井椎名という親友が一人いる。
友達らしい友達は彼女のみ。
ただ、彼女はプロゲーマーとして活躍しており、あまり遊べない。
椎名がこのゲームをやっているかは分かんないけど、もし椎名とVRMMOをやれることになっても私のスペックが悪くて遊べない。なんてのは嫌だからね。
明後日には届くといわれ、通話を終わりにした。
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キーンコーンカーンコーン
HRを知らせるチャイムが鳴る。
「出席確認な。えーと、梨井は今日と明日に大会があるらしくて休みだ。今日は木曜だからあえるのは月曜からな。」
ゲーム買ったことを教えようと思ってたんだけどなぁ。
学校に来たら話そうと思い、VRMMOを頭の中から追い出した。
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家に帰り、食事をしていると、玄関からチャイムが聞こえた。
私は一人暮らしなため、家の中が静かだった。
そのおかげか、きちんとインターホンが聞こえるのはいいと思う。
「はーい」
予定より少し早いけれど、頼んでいた器械が届いたようで、どこに置けばいいかを聞いてくる。
見たところかなり大きそうだ。
一階にあまり使ってない部屋があったので、そこに設置してもらった。
掃除をこまめにしていてよかった。
操作説明書が同封されていたので、パパっと操作を終わらす。
私自身ゲームはしないが、両親がそういう業界で働いていたので操作はできる方だと自負している。
現在時刻、8時。
急げば遊べるかと思い、気持ち急いで食べ終える。
普通の人なら片付けがめんどくさいかもしれない。
でも、私には魔法があるからね。
「洗浄」
一言唱えればさらについた汚れが跡形もなく消える。
自分にも「洗浄」の魔法を使うことで汚れを落とした。
「洗浄」のおかげで私は虫歯になったことないし。
欠点は石鹸の匂いも落ちるため、常に完全なる無臭といったところか。
周りの人が香水なんかをつけているときはほんの少し気まずい。
このゲームは現実の技能が大きく反応されるらしい......ふむふむ。
私、反射神経と動体視力いいから大丈夫かな。
飛び交う魔法を見切れるように練習していれば自然と反射神経もよくなっていた。
第六感って言えばいいかな?
人の気配とかもなんとなくわかるし。
じゃあ向いてるのかもしれないな。
どうでもいいことを考えつつカプセルを開け、中で横たわる。
いくつか操作を終わらし、スタートと書かれたパネルを押せばスッと意識が遠のいていった。
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意識がなかったのはほんの一瞬。10秒も経ってなかったらしい。
目の前には「はじめから」と書かれたウィンドウが表示されている。
恐る恐る触れてみると、ポンっという軽快な音が鳴って、新たなウィンドウが表示された。
名前を入れればいいのかな?
特に思いつかなかったので、安直にルナと入れる。
次は......アバターを作りましょう?
身長、体重は変えられないらしい。
つまり、現実に依存する。
世間のブームがダイエットなのはこれのせいかな?
顔のパーツがいじれるらしい。
それもかなり細かく。
わざわざ作り直すのも面倒だったので、髪と瞳の色だけ変えることにした。
色をランダムに組み合わせることができるらしく、色にこだわりのなかった瑠奈はその機能を使う。
すると、クリーム色が少し入っている白髪にオレンジに近い赤色の瞳という中々良い配色になった。
瑠奈の顔は相当いい方だったので、一から作ったクオリティと言われても納得できるほど。
「次に進む」を押すと、『髪型の設定』に進んだ。
キャラメイクにだいぶ力がかかっている。
私が今ボブっていうやつなんだけど......
白髪はロングのイメージあるからそうしようかな。
ストレートのロングで決定する。
いよいよ『職業の選択』だ!
初期職業一覧が現れる。
職業に対するほかの人のコメントを見れるらしく、いいねがたくさんついているコメントを軽く読む。
剣士は初心者にオススメ.......か。あっ、魔法使い......え?
魔法使いって弱いの!?
初期の魔法は弱いうえに、初球の魔法でも魔法を使いこなすのは何年もかけなければいけないという評価で、圧倒的な最弱の職業とされていた。
手を出すのは何も知らないプレイヤーか、ネタのために使うプレイヤーのみといっていい。
魔法使いを選ぶ気がなくなっていたが、肯定的なコメントを見つける。
弱くても楽しい職業だからガチ勢じゃない人はやったほうがいい......?
そうだよね、魔法便利だもんね。
瞬時に笑顔になった私は、魔法使いで『決定』する。
本人は気づかなかったが、例のコメントは魔法使いになったがうまくいかず、他の人も道ずれにしてやろうという害悪のコメントだった......
ステータスの割り振り?
100ポイントを自由に割り振れるらしい。
HPは必要だよね......魔法使いだし、STRとVITはいらないかな。関係ないし。
攻撃はよけれた方がいいし、AGI多め、あとはDEXとINT、少しはHPにも入れようかな。
最初だしMPは後ででいいか。
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LV1 ルナ
HP 175/175 MP 100/100
STR 0 VIT 0
AGI 35 DEX 30
INT 30
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こんな感じかな?
HPは1ポイントで15増えるらしい。
完了じゃない?
『決定』を押した瞬間、自分の服が変わる。
いかにも魔法使いといったローブ!って感じ。
すっごいおしゃれ。
でも動きやすそう。
現実世界とゲーム内の時間は同じのようで、上を見上げると、星がよく見えるきれいな空だった。
操作説明を思い出しながら、基本動作を試す。
こうかな?
目の前に先ほどまで見たような、ウィンドウが空気中に現れる。
ステータスや、インベントリといったRPGのあるあるが目の前に出てきている。
これ明日も絶対やろう......
といっても、明日も学校なんだけどね。
『ログアウト』と書かれた文字を押すと、私の体が光に包まれて始めた時と同じようにスッと意識が遠くなる。
カプセルから抜け出し、私は終わってなかった宿題を終わらすために慌てて机に向かった。
もう一つ投稿中かつ、ストックがどちらもないので、かなり投稿が遅くなってしまうかもしれません。
この作品はVRMMOをやりたいという作者によって生み出されております。いえーい。