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おかん、湯けむり大乱戦!~アイドルは物理でザギをKOよ!~


「ひだまりの湯(仮)」の完成は、ひだまりキャンプに革命をもたらした。

一番風呂を堪能したハナは、温泉効果も相まってか、そのぽっちゃり豊満ボディがますますツヤツヤ、ピカピカに輝きを増していた。湯上りに薄手の寝間着(もちろんキャンプの手作りで、体のラインがくっきり出る代物)でうろつこうものなら、男たちの視線は釘付け。子供たちからは「ハナ母ちゃんなんかいい匂いするー!」と抱きつかれ、若者たちは「ハナさん、今日のスープも最高っス!あと、その……今日もお美しいっス!」と頬を染める。まさにキャンプのアイドル(物理的にも精神的にも)だ。

元捕虜のタツやゴウも、すっかりハナの「おかんオーラ」に絆されていた。ハナが重い薪束を運ぼうとすれば「か、貸してください!俺が持ちます!」とタツが駆け寄り、ゴウは黙々と湯沸かしの効率を上げる工夫を凝らしている。彼らにとってハナは、恩人であり、守るべき存在になりつつあった。

そんなある日の昼下がり。ハナが「ひだまりの湯」の残り湯で洗濯物をゴシゴシ洗っていると(もちろん、前かがみになるたびに豊かな胸元がチラチラし、周囲の男たちは生唾を飲んでいた)、突如としてキャンプの外から鬨の声が轟いた!

「ヒャッハーーー! あのデカ尻おかんを寄越せェェェ! 今日こそ根こそぎ奪ってやるぜぇぇぇ!!」

忘れもしない、下品なダミ声。略奪者リーダー、ザギだ!

前回よりも多くの手下を引き連れ、中には妙に大きな図体のアイス・ビーストを数頭従えている。どうやら本気でキャンプを潰しに来たらしい。

「あらあら、また来たのね、懲りない子たちだわ!」

ハナは洗濯物の石鹸水をパンパンと手で払うと、傍らにあった洗濯板(非常に頑丈な木製)をひっつかんだ。「母ちゃん、ちょっと懲らしめてくるから、洗濯物見といてねー!」

キャンプは大騒ぎ。アキラやゲンさん、そしてタツやゴウたちも武器を手に飛び出していく。

戦いの火蓋が切って落とされた!

「まずはあの女だ! あの女を捕まえろ! あの豊満ボディは俺様がたっぷり可愛がってやるぜ!」

ザギの目が爛々とハナを捉える。手下たちがハナに襲いかかるが、ハナは洗濯板を軽々と振り回し、まるで雪合戦でもするかのように次々となぎ倒していく。

「だーかーらー! 人の物を盗っちゃダメだって言ってるでしょ! いい加減お母さんの言うこと聞きなさーい!」

混乱の中、ザギはニヤリと笑い、アイス・ビーストに指示を出して陽動させつつ、自身は巧みにハナの背後に回り込んだ。

(へへっ、油断したな、おかん!)

ザギの大きな手が、ハナの豊満でプリッとした尻へと伸びる! 目指すは禁断の桃源郷!

――とその瞬間!

「あらよっと!」

ハナが屈んで洗濯桶を拾い上げようとしたため、ザギの手は空を切り、勢い余ったザギは前のめりにツルン! ハナの突き出されたお尻に顔面からダイブする形となり、むぎゅぅぅぅ!という効果音と共に雪面に叩きつけられた。ハナの尻は、ザギにとって鉄球のような破壊力だった。

「もう、何してるのよ、はしたないわねぇ!」

ハナは顔を真っ赤にして気絶しているザギを一瞥し、ぷりぷり怒りながら洗濯桶を抱え直す。

「さあ、あんたたちも観念なさい! お母さんの洗濯板は痛いわよー!」

なおも抵抗する手下たちに、ハナは洗濯板を振りかざし、まるで悪霊退散でもするかのように暴れまわる。

戦場は、偶然にも「ひだまりの湯」の周辺へと移っていた。

湯気がもうもうと立ち込め、足元は溶けた雪でぬかるんでいる。まさに湯けむり大乱戦だ!

「このクソアマ!」

別の一人の手下が、ハナの胸倉を掴もうと手を伸ばす! ハナが身をかわした瞬間、その手はハナのセーターの襟元を大きく引き裂いた!

ビリリッ!

ハナの豊かな胸元が、より一層大胆にあらわになる! 雪のように白い肌と、深い谷間が太陽の光を浴びてキラキラと輝く!

「ぴぎゃっ!」

セーターを引き裂いた手下は、目の前に現れたあまりにも神々しい光景に目が眩み、そのまま硬直。そこへアキラが横から飛び蹴りを叩き込み、手下は湯船に頭から突っ込んだ。

「もー! これもお気に入りだったのに! あんたたち、人の服を破くなんて、どういう躾なの!?」

ハナは怒り心頭。近くにあった湯桶をひっつかむと、中の熱々のお湯(もちろん人が入れる程度の適温だが、不意打ちは熱い)をザギの残党にぶちまける!

「あちちちちちっ! なんだこのババア!」

「ババアじゃないわよ! ピチピチの三十路よ!」

そこへタツとゴウが駆けつけ、ハナを庇うように立つ。

「ハナさんには指一本触れさせねえ!」

「……俺たちの恩人に、なにする」

かつての仲間であった略奪者たちに、今度は自分たちが立ち向かう。その成長した姿に、ハナは目頭を熱くした。

「タツちゃん、ゴウちゃん……立派になって……!」

ザギは尻の痛みに顔を歪ませながらも、再び立ち上がろうとしていた。だが、その目の前に、洗濯板を構えたハナが仁王立ち。

「さあ、ザギちゃん。お仕置きの時間よ」

その笑顔は、まさに鬼母。

次の瞬間、洗濯板がザギの脳天にクリーンヒット! 「ゴフッ!」という短い悲鳴と共に、ザギは今度こそ完全に意識を失い、雪の中に大の字になった。

ザギを失った略奪者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていき、アイス・ビーストもお頭を失ってどこかへ去っていった。

戦いは終わった。ひだまりキャンプは、またしてもハナの「おかん力」と、その無自覚なお色気(と物理的な強さ)によって守られたのだ。

しかし、勝利の代償は大きかった。「ひだまりの湯」は戦闘の余波で半壊状態。湯船はひっくり返り、囲いはボロボロだ。

「もーっ! せっかくみんなで作ったお風呂が台無しじゃないの! あのザギって子、今度会ったらタダじゃおかないんだから! 一週間おやつ抜きよ!」

ハナの怒りは、やはりどこかお母さんのそれだった。

アキラやタツ、そしてキャンプの仲間たちは、そんなハナの姿を頼もしく、そして愛おしく見つめるのだった。

だが、その時。

「おーい! 大変だー! 北の雪原に、見たこともない巨大な足跡が……!」

見張りの男が、血相を変えて駆け込んできた。

どうやら、ひだまりキャンプのドタバタな日常は、まだまだ終わりそうにない。

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