ダルイねぇ
フィクション
「あ~、だるい」
午後の授業。外にて実技訓練。
この前と同様の弾丸精製。
だが、何故か俺の相手は裸の人と呼ばれている(俺がうっかり言ってしまったら、広まった)佐々木である。
恨みがましい目で見られているが、身に覚えはない。
「てめぇ、覚悟しろよ」
理不尽である。広まると思って、言ったわけではない。云わば事故。
「はぁ、めんどい」
空を眺める。青々とした空。ところどころ流れる白い雲。
なんとも心地よく眠れそうである。
ふと、目の前の人物を見る。
そこでは手をこちらに掲げ、弾丸を精製している佐々木。
「あれ喰らって気絶したら、保健室で寝れそうだな」
周りに聞こえないように呟く。
そう思うと、俺の行動は早かった。
同じように手を掲げ、グニョグニョ弾を作り出す。
「死ね!」
物騒な言葉と共に、弾丸が迫ってくる。
俺も放ち、ぶつけ合わせる。少し違うのは弾に俺のグニョグニョが絡み付いているところであろう。
周りに気づいているものはいそうになく、安心。
弾が顔面に迫り、当たった勢いで俺は地面に倒れた。
「ふふ、あっはっは。なんて暢気な男なのだろう。こいつが、こいつが、こいつがいなければ。お嬢様がこの学校に通っていることはなくなる。さぁ、どうしてくれよう。寝ているし、都合は良い。襲うか!襲うしかない!!」
身の危険を感じ、横にごろっと一回転。
「とぅっ」
先程までいた場所に謎の長髪男がダイブした。
「うわぁ、危なかった。後少しで貞操の危機だったよぉ」
「ちゃうわ!そんな趣味は持ってない!!殺そうとしただけだ」
「殺してから襲っちゃう系?」
「違うっての!ホモじゃないから、正常だから!」
自分を正常と言うテレッテ(ロリコン)。
「何しに来たの?」
「おまうぇをあんさつぁしにきた」
噛みまくりである。
「え?何語?」
「うっさい!覚えておけ、次は生かしておかない」
そんな置き台詞を吐き、窓からトゥッと飛んでいった。
「何なの?ヒーローにでも憧れてんの?」
そんな風に見えてしまった。
まぁ、再び寝ていたわけだけど、騒がしく起きてしまった。
「ちょっと、何様のつもりよ!」
「何様でもありません。私はお世話をしに来たんです!」
「それは私の仕事よ!」
「いいえ、私です」
「私」
「私です」
睨みある両者。
「じゃあ、私がやる」
もぞもぞとベッドの中に入ってくるユーク。
二人とも驚いていた。
「何、してんの?」
「暖めてるの」
抱きついてくる。女の子の柔らかさが感じられた。
「ちょっと」
「え、ええ?誰ですか?」
困惑する奈美、双葉さん。
「私はユーク。夜季の許嫁」
当たり前だと言わんばかりに堂々と嘘を吐く。
「い、いつのまに」
奈美。
「ええ!許嫁・・・」
絶句する双葉さん。
「ああ、もう」
頭をがしがしと掻く。いい加減、説明するのも面倒だった。
ユークの冗談だと分かったはずなのだが、まだ警戒している二人。
「ねぇ、何なのこれ」
二人が両サイドから腕に絡んでくる。ユークは肩車。
「女の子をハベラかす男の図」
ユークが頭上で言ってくる。
「違うよね。虐めだよね」
「何よ!貧相な体で悪かったわね」
何故か、奈美にキレられた。
「ぷぷっ、可哀相な人。でも、私はあなたほどじゃないので大丈夫ですね」
「うっさい!私と変わらないくせに!」
「違います。天上さんよりは大きいです」
「微々たるものじゃない!!」
「それでも、勝利しているのは私です」
「むむ」
「むむむ」
両サイドでにらみ合う。
「はぁ、どっちでもいいから。離してくれ、てか開放して!!」
いい加減、うざかった。
「むぎゃあああああ」
体を思い切り振り、全員を引き剥がす。
「はぁ、こっちのほうが楽だわ」
重さがなくなり、軽くなった。
「いったぁ、何すんのよ!」
「痛いです」
「夜季は私の太ももの魔力に負けた」
それぞれが言いたいことを言ってきた。
「ないから、邪魔だから」
それだけ言っておく。
その後、奈美から苦情を言われるが聞く耳持たず、ふらふらっと寮に戻った。