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幼女と変態

「んんっ」

寝返りを打つ。

手を動かし、何かを掴む。

ふょっとした感触、気持ちよいので顔をうずめる。

「あっ」

なんだか、艶かしい声が聞こえた気がした。

まぁ、気のせいだろうと思い、抱きつく。

顔をぐりぐりし、柔らかい感触を楽しむ。

「んっ、あっ、やっ」

さすがに、おかしいと思い、目を覚ます。

「・・・」

見上げると、奈美の顔があった。

目を閉じて眠っている。

ということはと思い視線を戻すと、小ぶりなお山が目の前に。

よく見ると、彼女はパジャマ姿。

辺りを見渡すと、自分の部屋。それもベッドの上にいた。

「・・・まぁ、いいか」

夢だと思い、抱き寄せ、再び眠りについた。


「きゃあああああああああああああああああああ!!」

そんな叫び声で起きる。

つんざくような悲鳴で、耳を手で覆う。

悲鳴の主は奈美であった。

「な、なんで、夜季がいるのよ」

意味不明なことを言う。

「それは、こっちの台詞だよぉ。俺の部屋だし」

辺りを見渡す。間違いない。

「・・・確かにそうね。あれ?何で私、ここにいるの?」

「寝ぼけてたんじゃない?」

「そ、そうね。じゃあ、私帰るね」

そそくさっと帰っていく。

「・・・あれ?」

もしかしたら、あの感触は夢ではなかったのかもしれない。

それは、それで惜しかったような、嬉しいような。

ふと、テーブルの上を眺めると、手紙があった。

手に取り、文面を眺めると、

「夕飯のお礼。それで、今夜のオカズは大丈夫。ユーク」

彼女の仕業らしい。

後で、感謝してもいいかもと思えた。


「ねぇ、ユークちゃんどうしたの?」

「帰ったんじゃない?」

「あんた、心配じゃないわけ?」

「だってさ、居場所すら分からないわけだし、心配してもしょうがないじゃん」

彼女は渋々納得する。

寮を出て、一緒に登校しているのだ。

「・・・ねぇ、変なことしてないでしょうね」

「ぶっ、するわけないだろ」

「何よ!その言い方は!」

怒らしてしまった。

「まったく、最低」

ツカツカと先を歩いていく。

ついていこうとするが、だるいので止めておく。

ぼーっと歩いていると、

ドン

彼女にぶつかった。

「痛いわね!」

「止まるなよ」

「仕方ないじゃない。あれ」

と、先を指差す彼女。

見てみると、校門のところに貼り付けられている裸の男。

人だかりができていた。

「うわっ、変態だ」

「違うでしょうが!誰かにやられたんでしょ」

確かに、意識がなさそうである。でも、興奮しすぎて気絶したのかもしれない。

「てか、あれって佐々木じゃない?」

「誰?」

「クラスメイト。あんた、つい先日攻撃されてたじゃない!」

「ああ、あの男ね」

思い出した。

「ていうことは、赤月先生の仕業じゃん」

「私ではないぞ」

耳横から聞こえた。

「きゃっ!あ、赤月先生」

驚く、奈美。

「じゃあさ、小暮先生じゃん」

まさか、特別授業でここまでやるとは・・・。

とても、佐々木が惨めである。小さな皮付きキノコを晒し、女子に笑われることであろう。

「それが、分からんのだよ。小暮先生が行方不明でな」

「行方不明?」

奈美が聞く。

「ああ、この件について聞こうとしたが、連絡が取れん。家にもいなかった」

だから、背後から現われたのかと納得した。

「ていうか、回収しなくていいの?」

ずっと、放置されていたようだし。

「まぁ、いいんじゃないか?あいつは調子に乗ってたからな、反省するいい機会だ」

酷い先生であった。


「ふんふんふん」

鼻歌を奏でながら、屋上でのほほんとする。

「・・・」

何で、こんなにも上機嫌なのかと言われれば、暗い雰囲気が漂っているからである。

屋上に到着するなり、泣いている少女がいたのだ。

もちろん、知り合いではない。

腰まである長い髪。可愛らしい大きな目。赤いリボンをしているところから、同級生だと分かる。

いつものように、寝る体勢に入る。

だけど、

「ぐすぐすぐす」

泣き声が気になってしまう。

だが、耳をふさぎ、寝るのに集中する。

「ぐす、ぐす、ぐす」

駄目だった。

「もう、やめてください」

「ふぇ」

びくっと驚く少女。俺のことに気がついていなかったようだ。

「だから、泣くのを止めてください」

「ご、ごめんなさい、ぐす」

泣き声であった。

「はぁ、どうしたの?」

「な、なんでもないです。気にしないでください」

「でもさ、泣き声が気になって眠れないんだよねぇ」

「あ、もしかして、桜坂君ですか?」

「あれ?何で知ってるの?」

「よく、赤月先生がダラケきった桜坂という生徒がいるって言ってました」

「へぇ、嫌な紹介のされかただねぇ」

「自分のことですよ!」

「あ、そうだっけ」

「そうですよ」

「あはは」

適当に笑っておく。彼女も釣られて笑う。

「うん、泣き顔よりそっちのほうが可愛いよぉ」

「ふぇっ」

顔を赤くする少女。

「で、何で泣いてたの?」

「そ、それは・・・」

「やっぱり、いいや。眠いし」

俺は横になる。

「聞いておいてそれですか」

「だって、話したくないんでしょ?」

「そうですけど」

「だったら、いいじゃん。泣き声もなくなったし、寝れそうだし」

「はぁ、先生の言ったとおりの人です」

その後は、特に声も聞こえず、眠りに落ちた。

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