虐めは酷いと思うかな?
フィクションです
何故だか、放課後、複数のクラスメイト(男)に呼び出され、人気の少ないところに連れてかれた。
「えっと、何か用かな?」
理由も不明で、聞くしかない。
「お前、生意気なんだよ」
蹴飛ばされ、体が地面に倒れる。
「いたた」
手が運悪くすれてしまい、血が出た。
「マジさ、なんか赤月先生に気に入られてるとか、気に食わないんだけど」
「えっ、そうなの?」
そうとは思えなかった。
「はっ!ウザ!」
また、蹴られた。
「自覚ないとか、生意気だよ。その態度とか、本気で気に食わないんだよね」
「これって、地だから直しようがないんだよね」
「だったら、死ねよ」
手の平を向けられる。そこに、半透明の小さな球体が出来上がる。
「あ~あ」
「今さら、後悔しても遅えよ」
弱者をいたぶり、ニヤニヤと笑う集団。
いや、これは脅しであろう。打つ気はあっても、当てないであろう。
「何をしている」
突如、凛とした声が辺りに響く。
「えっ?」
注意が逸れ、魔法の制御が離れる。弾丸が俺の顔に迫り、
「あっ」
魔法を制御していた男が間抜けな声を出す。
「桜坂!」
赤月先生が見えた。魔法を構築し、打ち落とそうとするが間に合わない。
額に魔法の弾丸がぶつかり、俺は気を失った。
目を覚ますと、薬品の臭い、白いベッドの上にいた。
「ふぅ、目を覚ましたか」
ベッドの隣で椅子に腰掛けている赤月先生。安堵した顔をする。
「あれ?何で?ここは何処?」
あまり、記憶がない。というか、ぼんやりとしていた。
「お前は、マナの弾丸を喰らって気絶したんだ。私が間に合えばよかったんだが、当たってしまった」
申し訳なさそうにする。
「え?そうなんだ。いたた」
意識がはっきりとしてくると、額が痛み、手を当てる。だが、包帯の感触があった。
「ああ、触るな。皮膚が削れてたからな。処置はしてあるから、明日には直る」
近くのゴミ箱を見ると、赤いティッシュが大量にあった。
「処置?」
「魔法でな」
便利なものである。
「それにしても、あいつらは許せんな。一人に複数で襲い掛かって」
「あれ?そういえば、あいつらはどうしたの?」
「お前を運ぶのを優先したからな。逃げたよ。まぁ、主犯格の男は分かってるから問題ない」
そいつらは、先生の特別授業で鞭で叩かれるのであろう。
「先生は何であそこに居たんだ?」
「マナが動く気配がしたからな。気になって行ってみたらお前たちが居たってわけさ」
「へぇ」
「まぁ、平気そうで安心した。気をつけて帰れよ」
先生が立ち上がる。
「あ、ありがとうございました」
お礼を言うが、
「そんなもんはいらん。助けられなかったしな」
断られた。
先生が保健室から消え、一人。
「はぁ、面倒だなぁ」
自分は何もしていないのに、周りが巻き込んできた。
それも意味の分からない因縁で・・・。
起き上がり、体の調子を確かめる。
「・・・問題なさそう、帰ってもう一眠りしよ」
だが、夕飯の時間になると現われる隣人を思い出し、面倒な気分になった。
思ったとおり、寝ていた俺の額を見て驚き、興奮?慌てていた。
とりあえず、ファミレスに向かい、事情を説明。
「そんなことがあったんだ。てか、そいつら許せない!」
「まぁ、先生に見つかったんだから、お仕置きされるし」
「その程度で済むとかありえない!」
イライラとする奈美。カルシウム不足なのだろうか。
「そういえば、どうやって運んだんだろう?」
純粋に疑問に思った。
「魔法でちょちょいでしょ。赤月先生って、有名な魔法使いだし」
「そうなの?」
「はぁ、知らなかったのね。先生はね、魔法治療の権威よ。彼女が医療魔法を作ったんだから」
「へぇ、そうなんだ」
「あんまり、感心してるように見えないわね。すごいことなのよ。魔法は元々、攻撃用としか考えられてなかったんだから。魔法で医療なんて無理だって思われてたし」
「まぁ、いいじゃん。食べないと冷めちゃうよ」
すでに、料理は運ばれていた。
「はぁ、あんたは本当に興味なさそうね」
感心された。
今日はタラコスパゲッティ。
デザートは、なしである。
俺の料理は、彼女が決めた。ろくな物を頼まないかららしい。まぁ、手間が省けたのでいいけど。
ずるずると食べる。
「・・・汚いわね」
食べ方に文句を言われた。