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御伽噺

むかーし、むかし。

この世界は魔王がいて、前世持ちがいなくて、寿命以外でも人が死に生き返らなかった。


魔王がなんだって?

寿命以外でも人はどうやって死んでしまうかだって?

前世持ちがなんでいないのって?

順番に説明するから、落ちついて。

魔王とは、とてもつらい気持ちや苦しい気持ちで魔法が暴走してしまった人たちのことをだよ。

人をモノを大切に思う気持ちを失って、全て破壊する。

魔王の破壊のせいで、多くのものが命を失った。

魔王を倒すためにも、多くのものが命を失った。

この世界のものでは倒すことができない。

そう判断した神様は、別の世界から強いものの魂を借りてくることにしました。

神様は別の世界の神様たちに、できる範囲で対価を用意するから、強いものの魂を貸してくださいとお願いしました。

そのお願いに誰も返事をしませんでした。

一柱を除いて。

その一柱の神様は、この世界の神様のお願いを聞いてくれました。

そして対価として、魂には魂をということで、二つの世界で魂の交換が行われるようになりました。

その結果、別の世界の知識を持ったものによって、魔王を倒すことができました。

倒された魔王の魂は、一柱の神様が大事そうに受け取り、自分の世界に転生させていました。

これが前世持ちの始まり。

二つの世界は仲良しでバランスを取っていました。

ですが、ある時、魔王が現れた時、こちらの世界の人間が勝手に一柱の神様の世界の魂を体ごと、こちらに連れてきてしまいました。

こちらの世界に来る時は体があっても問題はないけれど、問題は元の世界に戻る時でした。

二つの世界は上下にあり、こちらの世界は下でした。

重いモノを下に下ろすとは簡単でしょう。

けれど、逆のことは大変でしょう。

魂の重さはほとんどないので行き来は簡単なのよ。

けれど、体は重い。

こちらの神様は、そのことに慌てつつ、一柱の神様に謝りました。

それに対して一柱の神様は、落ち着いた様子で対応してきました。

こちらの神様が連れ去られた魂の加護をしっかり行うこと。

その魂の体が終わったら、一柱の神様の世界に返すこと。

その魂に何か問題があれば、すぐに相談することを神様に約束させました。

そうして、そのたましいの持ち主である勇者の加護をたくさん与えました。

勇者の魔王討伐の旅は順調に進みました。

いざ、魔王の前に来た時でした。

魔王のいる部屋についた時、勇者はドアの隙間から見てしまったのよ。


魔王は髪が長く、幼いまだ十歳くらいの子供だったのよ。


魔王は何か難しい本を読んでいてしかめっ面や目を輝かせるなどさまざまな表情をさせていた。

勇者は魔王に一目惚れをしてしまったのよ。

ドアを開けた勇者はなんとまおうに話しかけたのです。

敵であるはずの勇者に話しかけられた魔王は勇者に攻撃します。

勇者は攻撃を避けつつ、反撃はせず、まおうに話かけ続けます。

そのような闘いが三日三晩続いたそうな。

四度目の太陽が魔王城に差し込む時、一見聞いてないように見えていたマオウの様子が、おかしくなり始めます。

なんとマオウが勇者に言葉を返したのです。

そして、徐々に攻撃が弱まり、勇者に何もしなくなりました。

マオウは、勇者に問いかけます。

「なぜ、反撃しない。」

すると勇者は。

「反撃はしたくなかった。できなかった。

元人間だと聞いたから、問い掛ければ答えてくれると思ってやった」と答えたそうな。

勇者はマオウの長く伸びた髪の毛を一房もち、持っていた聖剣で切りました。


「この髪でお前を死んだことにする。

お前は好きなところに行って好きに生きたらいい。

嫌なことを全部忘れるように、もうまおうにならないように。」

そう言って、自分を呼び出した者たちからもらったお金の一部を魔王に渡した。

勇者は髪を持って、帰ったことで、マオウは死んだことになりました。

勇者から貰ったお金で、マオウになる前よりも幸せな生活を送っていました。

その生活の中でマオウはいつしかあの日人間に戻してくれた勇者にあって、お礼をいいたい、したいと思うようになりました。

ある時、マオウの住む場所に勇者とその仲間が訪れるということをマオウは知ります。

そして訪れた勇者が、マオウが魔王になる前と雰囲気が近いことにマオウは気付きました。

マオウは雑用係でもいいから仲間にしてくれといいました。

この時勇者はマオウが魔王であることに気づいてません。

魔法が得意な気が効く青年がはいったくらいにしかおもってなかったのよ。

けれど、青年が入ってからパーティの様子が明るくなり、勇者も青年を気に入りました。

青年も勇者が自分を救ってくれた時の雰囲気に戻ってきた安心していた時でした。

ある町で、勇者と一緒に買い出しに行った時でした。

なぜあれほど、荒れていたのだろうとマオウが思った時に、強い魔法が放たれる気配にマオウは気を取られました。

その魔法を放とうとした人を見つけた時、すでに遅く、魔法が放たれてしまいました。

その魔法は勇者に、向けられていました。

この世界の加護をふんだんに受けた勇者は魔法にあたったくらいでは死にません。

勇者は受け止める気でいました。

ですが、間にマオウが入りました。

魔法により、マオウは生きているのが難しくなりました。

勇者は、慌てて魔法をかけてマオウを治そうとします。

この時、勇者はマオウをマオウと気づいてません。

ただの優しい青年が死んでしまう。

そのことが嫌で必死に直そうとしました。

「ありがとう」とマオウが言って、マオウは死にました。

その声を聞いて、あの日、人に戻したマオウが、人に殺されかけている自分の盾になったことに勇者は気付きました。

勇者は人を恨みました。

勝手に呼び込んだくせに、いらなくなったら殺そうとする。

勇者は自分を憎みました。

挙句の果てに自分が頑張って人に戻したマオウが自分の暗殺に巻き込まれた。

自分が不死身でなければ。


そして、勇者は魔王になりました。

魔王になって元勇者が始めたことは、自分を呼び込んだ人々を殺すこと。

呼び込んだという事実を知る人々を皆殺しすることでした。


この世界の神の加護により、勇者は寿命以外で死ねません。

神によって最強の魔王が生まれてしまいました。

たくさんの命が死んで、一柱の神様も異常に気づきました。

こちらの神様は、これ以上人が死なないように元勇者を抑えることに必死で連絡ができていませんでした。

勇者は神と戦いながら、願いを口にしていました。

「マオウを返せ、返せ。」

マオウとしか名前を知らない彼が帰ってくることを願いました。

神が元勇者に殺されそうになったとき、一柱の神様がそれを止めます。

そして、

「青年の魂は、こちらでしばらく預かる。

返してほしければ、これ以上人を殺すな。

そして、殺した分だけの人を育め。」

そう元勇者にお願いをしました。

一柱の神様のお願いが聞いたのか、勇者は大人しくなります。

そして、

「こちらの世界の神様に、世界の理の変更を願います。」

一柱の神様は、たくさん人が死にすぎて、転生待ちになっている魂が多いので、今後、こちらの神様の世界は寿命以外で死なない世界になりました。

元勇者は人を殺しすぎた罰として、寿命がなくなりました。

死んだというわけではありません。

不老不死になっただけです。

それは愛する青年と愛を誓い会うまでの呪いよ。


元勇者はふたたびマオウだった青年と会うために人を育むことを頑張り続けているのでした。

果たして元勇者は青年と巡り合うことができるのか。

それは神様のみ知る。


だからね。

子供たち、ものを大切にするのよ。

大切にすれば、青年が勇者を守ったように恩が返ってくるの。

逆に、強過ぎて邪魔だと考えて勇者を恐れて殺そうとした人々みたいなことをすれば、恨みが帰ってくるからね。


「「「「はーい、ママわかりました。」」」

小さな子供たちはベッドに潜り眠りにつく。

「おやすみ子供たち良い夢を」

アタシは、部屋の明かりを消して、自分の部屋に戻る。

「あの子もあのくらい小さい時があったわね。

勇者パーティではうまくやれてるかしら。

どうか、呪いが解けますように

ほんと、かの人もとんでもない呪いをかけてくれたものね。」

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