討伐1失敗と緊急脱出
討伐は失敗した。
ボスモンスターが石を分散させていたのだ。
アタシと囮カンダが飛びながら、ヒュドラの気をひいていた。その間に子供たちはマンティコアの頭に飛び乗った。
護衛カンダは伸びてくるスライムに聖灰を撒いて子供たちを守っていた。
それぞれの聖具を空に掲げて、神の力を借り、光り輝く聖具で石を壊したのだ。
そう思っていた。
聖具の輝きが収まらなかった。
ヒュドラの動きが止まらなかった。
スライムの動きが止まらなかった。
マンティコアの頭が上に乗った子供たちを振り払うような動作を見せた。
それにより、子供達は頭から振り落とされて、スライムの上に落ちようとしていた。
子供たちがスライムの上に落ちる寸前のところを、護衛カンダが転移呪文を唱えて、戦線離脱させた。
しかし、そのわずかな隙のせいで、護衛カンダは捕まりスライムに取り込まれたのだ。
アタシのそばにいた囮カンダが頭を抑える。
「ボスモンスターは石を分散させていたようです。私の半分が取り込まれた。」
そう言って、カンダの飛行高度が一気に落ちた。
このままでは、囮カンダも取り込まれてしまう。
アタシは手を伸ばし、抱き止めて、そして脱出用の小刀をカンダの胸に刺した。しかし、そのせいで伸びてくる触手を避けられず当たって、スライムの中に落ちた。
とにかく、これでカンダを神殿送りにできた筈だ。
アタシはこのまま取り込まれる。
そう覚悟を決めた。
「アルター!また、君を」
すでに死んでもおかしくないカンダがアタシに手を伸ばしていた。カンダが話すたび、カンダの口から赤い血が溢れていた。
それがアタシの顔にかかる。
そして、スライムの生臭い匂いに混じって金臭さが加わる。
カンダが伸びてくる触手を引きちぎりながら、アタシの首に手を伸ばし、絞めた。
その顔はとても苦しそうで泣いていた。
<<条件をクリアしました。これによりアルタの前前世マオ(猫)・ウー(烏)の記憶解放とトウキの記憶共有を開始します>>
暗くなる意識の中、やけのテンションの高いママの声が聞こえた。
マオ・ウー、トウキはいったい誰なのよ。




