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異世界って、意外と身近にあるんだよ…


どうも、こんにちわ!

先日、目出度くも無理矢理に死神にさせられた元人間な死神。名前はまだない、(仮名)新人ちゃんです!

今日も今日とて私は忙しくあちこち飛び回っております。

今日は異世界にやって来ました!

ここではなんと!魔法がとても盛んらしいです!

わぁ、なんてファンタジー!!


…なんて、無邪気に喜べたら良かったのになぁ。チッ!


えー、死神になってからこうも忙しく異世界に来てしまうほどに何故この私が働き詰めなのかと言うと…ズバリ!


『異世界転生』

『異世界転移』


が、原因である!!

世間ではこの2つがとってもとっても流行っているけどっ…!要は魂の誘拐だからね?!!


この世界、いくつもの世界が隣合ったり重なり合ったりして存在してるらしい。

何がどうしてそんなふうに出来ているのかは、この前勵さんが一生懸命説明してくれたけど…

正直私には難しすぎてよく分からなかった!ごめんね!


取り敢えず異世界ってのは割と身近にあるものらしいよ。


その為、時たま回収されるはずの魂が世界の狭間を彷徨い別の世界へと渡ってしまうことがあるそうな。

普通なら魂は死んだ場所から動かないのだけど、ほら。未練とか何とか色々あるでしょ?

けれど、あまりにも回収が遅かったり魂自身の好奇心が旺盛だったりすると勝手にフラフラとどこかへと行ってしまうそうな。


要は、迷子である。


そして、魂回収所…あ、輪廻の輪ね!に入れず浄化されなかった魂は記憶を持ったまま世界を彷徨い…転生する。

これが所謂『異世界転生』ね。

この場合、転生する前に回収出来ればいいんだけど…残念ながら回収できなかった場合はその魂がまた死ぬまで待つしかないのだけど…。


私達死神にとって、それは残業確定のお知らせである。

ちっくしょう!!なんてめんどうな…!


だからと言って、回収しなければその魂は穢れてしまう。

別の世界で浄化されずに転生した魂はとても脆く、そして穢れやすい。けれど、本当に面倒な事に魂の浄化は元の世界でしか出来ないらしいの。

え?なんで?それは、まぁ…あれよ。

なんか、えーっと…そう!

車にガソリンを入れる時、ハイオク車にレギュラーとか軽油を入れたらダメじゃないですか。

要はその世界や次元によって少しずつ元となるエネルギーが違うので…なんちゃら産の魂は何とか星では受け付けないと言うか、混ぜたら危険…的な?

…ごめんなさい、よく覚えてないデス。

詳しい事は勵さんに聞いてくださいっ!


閑話休題。


別の世界で転生し死んだ魂はその世界の輪廻では浄化されず、帰る場所もなくまたフラフラと彷徨い歩くことになる。…なんだか、迷子なホームレスみたいだよね。

本来帰るべき場所にも帰れず、何度も別の世界で何度も転生を繰り返してしまうと…いつしかその魂は壊れてしまうのだ。穢れを蓄積し続けた魂は跡形もなく消滅してしまう。

世界に還元させず穢れを纏ったまま消滅した魂は世界を汚し、汚された世界には天災が起きる。

いつしかそれは世界を壊す原因となり、崩壊した世界は別の世界や異次元にまで被害が及んでしまうのだ。

そうなる前に、私たち死神が迷子な魂を捜索し捕獲しなければならないっと…まぁこんな感じらしい。

と言ってもそこまで穢れを蓄積する前に回収し、その魂が生まれた世界で改めて輪廻の輪に入れて浄化してしまえば魂が消滅することも無く、新たに浄化された魂はまた世界を巡り…要は空気清浄機みたいにその世界を綺麗にするんだってさ。

だから、そう易々と世界は壊れないし壊されない。

何よりどこの世界にも死神はいるので、迷子になってしまった困ったちゃん達は割と直ぐに捕獲し元の世界へ連れ戻すことが出来る。


筈、なのだけどー…最近、流行ってるじゃないですか。

異世界転生とか転移とか。


実はその流行りは人間の間だけではなく、なんと神様方の間でも流行っちゃったらしいのだ!

面白がった神様達は書物の中でだけ楽しめばいいものを、自分たちの世界にあえて他世界の魂を紛れ込ませその魂を観察・鑑賞する事をし始めたのだ!

要は、他世界間での魂の交換!いや、誘拐とも言う!!

なんつー悪趣味なっ!それで自分たちの世界が壊れてもいいと言うのか?!!この、馬鹿どもめ!!

これに慌てた一部の冷静で常識のある神達は慌てて死神達に連れ去られた魂の回収を命じたが…あまりにもその数が多く、そして何より魂側が逃げ回るものだから心身ともに疲労でぶっ倒れる死神が増え、遂には人手が足りなくなった。

いや、死神ってぶっちゃけ実体ないし。

うちら疲れ知らずの霊体だし、なんで疲労で倒れんねん…!


なんて思ってたけどーー…


「精神的な疲労もどんどん蓄積されれば霊体であろうとも体調を崩すんだなぁ、これが…ハハッ」


つい今しがた捕まえた魂を袋に詰めつつ、私は思わず大きな溜め息を吐き出した。

本当、神様って奴らは禄なことしないんだから…。


「だ、大丈夫かい?目が死んでるよ…?」


「元々死んでるので大丈夫です」


「そ、それはそうだけど…無理はしないでね、ここで君まで倒れられたらっ…ぼ、僕ひとりになっちゃうよ!!」


「ハイハイ、分かってますよー大丈夫ですよぉー」


また泣きそうな勵さんを適当に励まし、私は死神という名の魂回収業者として異世界を渡り歩きます。

既に転生してる魂は無理やり回収することができない為、彼らが死ぬまで待たなくては行けないから本当に面倒臭い。

その間にもどんどんどこからが送り込まれてくる魂達を回収して回りつつ、転生した彼らを監視しなければならないからしんどいの何の!

捕まえた端から隙あらばあいつらは逃げようとするし!

それをまた捕まえに走り回らないといけないし!!



あーもー!!

本当に、死神なんてクソくらいだ!!



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