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どうも、死神です。



どうも死神です☆


正確には元人間な死神です。

皆には新人ちゃんって呼ばれてるよ!

お年は内緒♪

見た目はとっても可愛い女の子とだけ言っておくね。


さて、話は変わって…そこな君の疑問にお答えしようか。

Q.人間って死神になれるの?

うんうん、わかるよーとっても気になるよねー。


A.なれます。

私の場合、正確には無理やり死神にされられましたってのが正解かな。マジでクソだよね(真顔)

何故にただの人間だった私が死神にさせられたかって言うと、簡単に言えば『人手不足』が原因。

詳しく語ると少し長くなるんだけど、勿論聞いてくれるよね?てか聞け。

とはいえ…何から話そうかな?


うーん、取り敢えずまずは私の死因からでも語ろうか。


私の死因は頭部を硬い場所にぶつけた事による出血死。

実は…何も無いとこで足滑らせて頭打って死んだらしいんです。どうも、頭の打ちどころが悪かったらしくてねぇ。

なんとも稀に見るアホな死に方だなって感じだよね、今流行りの『異世界転生』とかだったら人(たまに動物)を助けたらトラックに跳ねられて死にました~とかが定番なのにさ。

…いや別に、車に跳ねられたい訳では無いのだけど。あれ絶対痛いし。


そして、たまたま死んでしまった私を回収しに来たのはなんと、死神を語る怪しい人だった!

そもそも、その死神…あ、今は私の上司にあたる人なんだけど想像してた死神と全く違ったの。

真っ黒のボロいフードなんか被ってないし、でっかい鎌も持ってない。骸骨じゃなければ絶世の美人でもないごくごく平凡なちょっと気弱なおじさんだったの。

ぶっちゃけそんな人に「死神です」って言われても信じられるわけないじゃん?

あぁ、頭の残念な人なんだなって、私も最初は思ったんだけど。それは相手も同じだったらしくて、というか何度もこのやり取りしてきたんだろうね。もー諦めきった顔して


「どうせ信じてくれないですよね、はい…すいません」


なんて蕭然とした態度で言うもんだから何だか可哀想になっちゃって…まぁ、私が死んだのは事実みたいだしさ。


「いえいえ、信じますよー」


って、言ったら心底驚かれたし泣かれたよね笑

そりゃ、信じるしかないわけよ?

だって、私の死体の横でこんな話してんだもん。

嫌でも自分が死んだって事実を突き詰められるよね…でも、不思議と悲しいとかそんなのは思わなかったな。

ただ、自分こんな死に方したんだなーって、何だか沁々と自分の死に顔を眺めるくらいには冷静だった。

寧ろ目の前で死神だって言葉を私があっさり信じた事に歓喜して、次にはオイオイと私の死を嘆くおじさんな死神を慰めるのに呆れて…ただ冷静になってただけかもしれないけど。

ほら、よくあるじゃん。自分が混乱してても目の前の誰かの方が自分よりもよっぽど慌てふためいてる様子をを見るとむしろ冷静になるってやつ。

それから、泣き喚く自称死神さんを何とか慰めて私は黄泉の国?的なとこに連れていかれた。

って言ってもどこ見ても真っ白な空間にポツンっと白い建物があるだけの何だか寂しい空間だったけど。

中に入れば、そこは役所みたいな場所で。まっ更な書類に自分の名前と生年月日に学歴と死因を書いて証明写真とって、係の人にそれ持ってアソコに持ってけ、こっちに行けーって支持されるままあちこち足を運んだりって、割と忙しかった。これじゃあ自分の死を嘆く時間もないよ。

私を迎えに来た死神さんが甲斐甲斐しく世話してくれたお陰もあって私の申請あっさり通ってじゃあ最後にここへーって案内されたのが輪廻の輪とかいう…これまた真っ白な光が溢れる不思議な空間。

死神さんによると、キラキラと不思議な輝きを放つその場所で魂はゆっくりと浄化されてまた世界を巡るんだって。

人も動物も植物も、みんな皆ここから生まれてここに還るんだって…ここは、言うなれば魂の故郷だから怖がらないで大丈夫、寂しがらないで大丈夫。

安心しておかえりなさいって…死神さんは教えてくれた。


不思議と安心するその場所に、ホッと息を付いた。


私は…自分で言うのもアレだけど結構能天気で、自分が死んだ事にも割とあっさり受け入れてしまっていたけれど…

それでもやっぱり…心のどこかでは怖くて、寂しくて、悲しかったんだと思う。でも、死んでもなお帰る場所があるという事実に安心して安堵の息が漏れたのだ。


じゃあ、色々とお世話になりました、死神さん。

さよなら、また逢う日までお元気で!


なんて言って、私は光の中に入ろうと…した瞬間。


テレテレ~テテ♪

テレテレ~テテ ♪

テレテレテレテレ、テッテッテ♪

テレッテッテ♪テレッテッテ♪


…数分クッキングな曲が流れ出した。


「あ、ご、ごめんね!ちょっと待ってね!!」


「あ、はい」


「はいっ!もしもし…え、あの。ですが…えぇ?でも」


死神さんは通話先の相手にペコペコと頭を下げながら困った顔で此方をチラチラと見ている。


何だか嫌な予感がする…

えっと、もう私中入っていいよね?ね?


私もチラチラと死神さんを見ながらソロっ~…と光に近づいて行けば、そんな私に気付いたのか死神さんは必死の形相でガッシリと私の腕を掴んできた。

頭がとれそうなほど勢いよく横にブンブンと振りながら…。

焦燥感と何かを懇願する瞳で私を見つめる死神さんに、私も負けずに横にブンブンと頭を振り返す。


ーーイヤイヤイヤ、無理無理無理!!

ーーー待って待って!!お願いだからちょっと待って!!


無言の攻防の末…電話を終えた死神さんは本当に申し訳なさそうに笑った。


「あ、あのねー…」


ーーこの時私は死神さんを待たないでさっさと光の中に飛び込めばよかったのに…親切にしてくれた死神さんにちゃんと見送って欲しいなんて贅沢な望みなんて持たなければ…



「今こんなに忙しくなかったのになぁーー!!」


多量の魂たちを追いかけながら、思わず叫んだ私はきっと悪くない。片手に鎌、ではなく虫取り…否魂取り網を振り回す。


あの後、謝りながら頭を下げてくる死神さん(その割にとても押しは強かった)に無理やり腕を引かれて連れてかれた場所は真っ黒な空間。ギラギラとした光を放つ暗闇の中にペイッ!と放り投げられて数分クッキングよろしく出来上がったのが私こと出来たてホヤホヤな死神である。

そして私の上司になった死神さん…お名前は(はげ)さん。

嫌味じゃないよ、本名だよ。因みに本人の頭の上にはまだ荒野は広がってないよヨカッタネ。


「…ご、ごめんね!上から人手が足りないから適当な人材を連れて来いって言われて…丁度目の前に君がいたから、その」


「だからってただの人間だった私に仕事押し付けるなよぉー!」


「ごめんね!ごめんね!!」


「もー!つか忙しすぎんだろっ!人手が足りないからって本来転生予定だった私を無理矢理死神にして休みもなくは働かせるとか何?マジで酷くない?ボーナス寄越せゴラァ!給料アップしろー!!つか休みをくれよォ!!!」


「ぼ、僕の立場からそれはちょっと無理かな…ごめんね!本当に頼りない上司でごめんねえぇ…!」


「とか言いながら大量の仕事押し付けてくる勵さんなんて本当のハゲになればいいのに」


「それは無理!ごめんねぇ!!!」


「そこだけはハッキリ否定すんのかよっ!」


「ごめんねー!」


こうして…ひょんな事から死神に転生させられた私は今日も今日とて勵さんと共に死神業に精を出す。



まさか死んでから社畜を味わう事になるとは思わなかったよ!




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