罰ゲームで告白されたことに気が付かなかった僕は自殺を決意した。だけど自殺を待ち伏せしていた美少女に引き留められ、色々あって結婚して幸せになりました
多い苗字ランキング第一位の佐藤と、多い名前ランキング第一位の蒼という名前で構成された僕、佐藤蒼は死ぬことを決意した。
自転車で移動すること三日と十七時間五十八分、二秒。
「さよなら、ココ」
袋の中からさっき分解した自転車の部品を崖の上からぶちまける。
さすがに自転車丸ごと捨てたらあからさまな不法投棄になってこの地域に住む人が回覧板で「最近不法投棄が増えています」という忠告を受けて気分下げな状態に陥ってしまうと思うので、一応の配慮だ。
あと、ココというのはペットの名前で多いランキング第一位の名前で、僕の自転車につけたあだ名である。
「やれやれだぜ」
死ぬ前に言いたいセリフランキング第四十位のセリフを吐き捨てる。
そして両手をばっと広げて、目を瞑った。
――死のう。
そう決意して、ゆっくりと体を前に倒そうとした――その時。
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ざっと岩の陰から少女が、鬼の形相で……いや、少し嬉しそうに呼吸を荒くして現れた! なんで⁈
「…………」
「…………」
肩を上下させて、呼吸を整える少女。
僕はこの状況を見られた驚きと、タイタニックポーズをしているところを同年代らしき女の子に見られたことに対する羞恥心で心がパニック状態に陥っていた。
まさに「お嫁に行けない!」という状態である。
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「なんでアンコール⁈」
「大事なことなので二回言いました!」
「二回言わなくても聞こえる声量なんだけど⁈」
「ふふっ……言いたかっただけよ、このセリフ」
「わからんでもない……!」
「ごめんちょっと水飲ませて」
「唐突に水分補給⁈」
少女がポケットから取り出したい〇はす(縦に潰してコンパクトにし、水を入れているという明らかにいろ〇すサイドの意図を無視した潰し方)を一気に喉に流し込む。
「……飲みづらいわね」
「そりゃそうだろ!」
僕はとりあえず腕を下げ、なぜか少女が水を飲み終えるのを待った。
なかなかにハイテンポなツッコみに、少し疲労感を感じる。
――数分後。
「いいニュースと悪いニュース、どっちから聞きたい?」
「唐突すぎる死ぬ前に言いたいセリフ第二十四位‼」
「いいニュースは……こうして私が遭遇したかった場面に出くわしたこと」
「僕答えてないのに勝手に話し始めたんだけどこの人……」
「悪いニュースは……特にないわねうん」
「ほんと自由だなおい!」
今僕自殺しようとしていたんだけど……なぜだか突然始まった漫才に付き合わされてしまっている。
本当によくわからない。
でもこの人に構ってなどいられない。
僕は三日と十七時間五十八分、二秒を使って死にに来たのだ。
こんな人に構っている意味などない。
「僕は今から死ぬんです! だから構わないでください‼」
だからそう言い放ってやった。
よくわからない人だけど、さすがにこれでほっといてくれるはず……。
「んふふ……その言葉を待っていたわ」
「まさかの自殺待ちだった⁈ あなたサイコパスですか⁈」
「私は光よ。名前くらい普通に聞いて頂戴」
「マジで聞いてないんですけど……」
「ふむふむなるほど……これがいわゆる『ツンデレ』というやつね」
「……たぶんツンデレって言葉の意味間違えてると思いますよ」
「……うるさぁぁぁぁぁい!!!!」
「こ、怖い!!!」
意味の分からない展開になってきた。
完全にこの光、とかいう人のペースに持ち込まれている。
もうわけが分かりません!
「私、実はずっとこの崖で張り込んでたのよ」
「聞いてないのに語り始めたよこの人」
どこか遠くを見るような感じで、ゆっくりと話し始める光さん。
月明かりが光さんを照らしていて、どこか神秘さがあった。
それにしても、なんでこんなに崖に張り込んでる理由が気になるんだろう。
……いや、誰でも自殺の名所で張り込んでる人がいたら、その理由気になるか。
でも一体どんな理由なんだろう。
僕は少し気になって、耳を傾けた。
「私どうしても正義の女子高校生になりたっくてね。ここ有名な自殺スポットだから待ち伏せして、自殺しようとしている人を救って、気持ちよくなりたいなって思ったの」
「予想の斜め四十五度速度マッハ十五を行くクズさなんですけど‼」
なんでそんな「ノーベル平和賞も夢じゃないわね」みたいな顔できるんだろう。
でも、どこか光さんらしいと思ってしまっている。
まだ出会って二分くらいだけど。
「さっ、君の自殺理由を聞かせて頂戴。そして私が軽く救ってあげるわ、ほれほれ」
「ほれほれじゃねぇーよ! 適当なバイトの面接官くらい適当じゃねぇーか!」
「うち、結構辛いよー」
「なんか乗ってきた⁈」
閑話休題。
「で、早く話しなさいよ」
「はぁ……」
ほんとは話す気なんてなかった。
でもどうせ死ぬんだったら、この心中をぶちまけてもいいんじゃないかと思った。
……それに、断っても押し切ってきそうだし。
「あれは、五日前――」
「回想入るわよ」
「そのナレーションいらねぇよ!」
まぁ、回想入るんだけどさ。
「きょ、今日で付き合って一か月ですね」
「そうそう、だから別れよう」
「……えっ?」
そういえば近所のスーパーの特売日で卵が安売りされていたのをクラスで一番可愛い女の子が鬼の形相で買って店の前で割って喉に流し込んでいたよなぁ、みたいなことを話すみたいに言われた「別れよう」の四文字。
それが僕の心にずーんと響き渡る。
「実は付き合ったの、罰ゲームなんだ」
「は?」
「佐藤ってほんとド陰キャ生涯救われない童貞クソ陰キャだよね」
「なんで陰キャ二回言った? っていうか唐突の罵倒⁈」
「私が罰ゲームで告白したっていうのに、それに気づきもしないで泣きながら『僕を幸せにしてくださいぃ』とか言っちゃってさ。ほんと面白いわ! ほんっとたっぷり楽しませてもらったわどうもありがとう」
「……よ、よく意味が……」
「つまり、あんたはただの暇つぶしのおもちゃってことよ! 私と本当に付き合えるわけないっての! アハハハハ‼」
「ちょ……」
呼び止めようとしたけど彼女は俺に見向きもしないで、唾を吐き捨てるように僕から遠ざかっていく。
そしてすぐにガタイのいいチャラそうな男の腕にしがみついて、幸せそうな表情を浮かべて去っていった。
一人取り残された僕は、ベンチに座って拳を握りしめる。
「……く、くそう……、くそう!」
そして僕は、自殺を決意した――
「思ったより浅い動機でびっくりしたわ」
「第一声ひっど! なんか死にたくなってきた!」
「元から死にたいんじゃないの?」
「た、確かにそうだった……」
「……ふっ」
「その『十七歳にもなってハイハイしかできないのおしゃぶりでも咥えといた方がそれっぽく見えるわよむしろ推奨』みたいな顔やめて!」
普通に傷ついた。
死ぬ前にこんなにも屈辱を受けるなんて……やはり僕は生きることに向いてない運のない人間なんだろう。
やっぱり……死のう。
「もうほっといてください! 僕は死ぬんです!」
そう言って僕は、もう一度漆黒の海の方を向いた。
今にも飲み込まれてしまいそうな黒い海。
きっとここに身を投じてしまえば、死ねるだろう。
目を瞑って、手を広げる。
遺書は残した。
僕を遊んだあいつに、最高の不幸を。
ゆっくりと体を前とたお――そうとしたその時。
「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
光さんが僕の体に抱き着いて、引き留めてきた。
「お願いします死なないでくださいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「嫌です僕は死ぬんです! あなたの都合など知ったこっちゃない!」
「ねぇお願いお願い! このままだと『自殺しようとしている人を見つけて舞い上がって、次々に言いたいことを言って結局自殺しようとしている人を救えなかったクズ人間』になっちゃうのぉぉぉぉ!!!!」
「実際そうだと思いますけどね⁈」
だって完全にこの状況楽しんでたし。
ってかそもそも自殺を待ち伏せしてる時点で相当なクズ人間だ。
「わかった、わかったわよ! なんでも一つ言うことを聞いてあげるわ!」
「な、なんでも……」
なんでもという言葉が、僕の頭の中に響く。
僕は健全な男子高校生であり、なんでもという言葉に反応せざる負えなかった。
「そう、なんでもよ! あれやこれやそれやどれや、すべてしてあげるええ! そして自殺をやめて、『容姿端麗頭脳明晰な絶世の美女、光さんに救われました』って布教活動してぇぇぇえぇ!!!!」
「すげぇあやふやじゃねぇか! そしてすげぇクズだ! クズさに拍車がかかって欲望が溢れることをやめる気配がない!」
「お願いしますぅぅぅぅぅ!!!!」
「ほんと無理ですって!」
「がいします、おね!!!!!!!!!!!!!!! 倒置法! ドヤァ!!!!!」
「光さんの中で倒置法が可能性を広げて宇宙が広がる速度を追い越している⁈」
――数分後。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
数分の戦闘を繰り広げた後、僕と光さんは寝転がって、無数の星が煌めく夜空を眺めていた。
もう冬だというのに、体は汗まみれになっていた。
……なんだこの喧嘩した後空を見上げて「俺が悪かったよ」「俺のセリフだよ」というクサいセリフを言ってしまいそうな青春の一部分は。
あとこれ現実恋愛のくせに、ギャグに極振りしすぎだろ。
「なんでも、する、わ」
「はぁ、はぁ……もう、僕の負けでいいです。じゃあ一つ、願いを聞いてください」
「えぇ」
僕はこのヘンテコ超人な光さんに根負けした。
特に願いはなかったのだが、この調子で光さんに付き合っていたら朝になってしまう。
きっと今日死ぬべきではないんだろう。
光さんのいないところで、自殺をやり直そう。
「じゃあ、コンビニでココ――」
「えぇ分かったわ。結婚して子供を作って、平平凡凡だけどどこか幸せで……。時間が経って一緒に時を刻んで。たくさんの人に囲まれながら『悔いのない人生だった』と呟いて一緒にあの世に行きましょう。その後は天国と地獄どっちに行くか二人で悩みながら、ゆっくりと時間を過ごしましょう」
「いや長い上にそんなこと言ってないわ! ってかなんで僕たちに選択権あるの? それに選択の猶予ありすぎじゃない⁈ 僕のイメージと全く合致しないんだけど‼」
僕はコンビニでココアを買ってきてほしいという、力を持つものにしかすることができない『PASIRI』をしようと思っていたんだけど。
ちなみに、パシリをさせられた経験はテニサー(ヤ〇サー)に所属するちょっと顔がいい男の経験回数くらい多い。どうせ僕は一生童貞ですよちきしょうヤリ〇ン滅べ!!!!!!!!
「私は佐藤と拳を合わせて、本音をぶちまけ合って。そこで佐藤の魂……いや、ソウルが叫ぶ願いが分かったのよ」
「本音ぶちまけたの光さんだけだし、ってか殴り合ってないし。あと魂をわざわざソウルと言ったのが意味不明すぎてツッコみが大変息切れそう」
「つまり、結婚してあげるわ」
「全くつまりが機能してない……」
この人の存在自体がもうギャグだ。
ラブコメのコメの部分の主張が激しすぎる。
「私、自分でも言うのは恥ずかしいけど……それなりに可愛いと思うの!」
「どこにも恥じらいが感じられない!」
まぁ確かに、可愛いし、
「胸は大きいし気さくだし、普通に付き合えるなら付き合って何なら結婚までして老後もコ〇モパークの園内でタピオカ飲みたいし」
「勝手に心の中に介入しないでもらえません?」
「私には佐藤のことが手に取るように分かるの」
「発言がストーカーのそれ」
「だから、結婚しましょう」
「だからが起こした後のプルタブほど機能してない……」
――数十分後。
「…………」
「…………」
僕と光さんは崖に足を出して、ここでしか見られない景色を見ていた。
数十分の激闘を経て、僕はツッコみに疲れてしまい、光さんに説得されていた。
もはやいっそのこと清々しい。
「僕、財力とかないですし、真剣〇みたいにカッコよくないですよ」
「私真〇佑より菅田〇暉の方が好きなのよ」
「なるほど。どちらにせよ、いいとこないです。実際ひょんなことで死のうとしてるほど、意気地なしですし」
「ひょんなことから、ってよく物語の冒頭でありがちよね」
「僕と光さんみたいな物語は多分未来永劫ないでしょうね」
「唯一無二、ね」
「決め台詞みたいに言ってますけど、もうどんな言葉でも頭のイカれた言葉にしか聞こえないんですよね」
「Shall we dance ?」
「なんで無駄に流暢なんですか」
「英会話を少々」
日本語をまず勉強した方がいいと思う。
だって明らかに今言う言葉じゃないし。ってか光さん、本当にこの言葉の意味知ってるんだろうか。
うんこの『物語のラストシーンで最高にカッコいいセリフを言ってやった主人公』みたいな顔、間違いなく知らないな。
――話は戻って。
「良いわ。私は人を見た目で選ばないし、内面でも選ばないわ」
「判断基準どこに行ってんだよ」
「……勘」
「この人一番ダメなタイプだよ」
でもすごく自分の直感に従って生きていそうだ。
僕には、とてもそんなこと……。
「じゃあ言葉で伝えるわ」
「えっ?」
急にギャグ顔から優し気な表情を浮かべる光さん。
僕はこの時、確かに光さんを――美しいと思った。
「私、こう見えて……少し変なの」
「知ってます」
言わなくてもわかるってかギャグの流れをまだ引きずってるなおい。
「少し外見がいいから初対面の人は近寄ってくれるの。だけど結局は誰にも理解されなくて、誰とも合わなくて……孤立してた」
僕も、孤立している。
僕らはもしかしたら……同じ方を向いているのかもしれない。
「…………」
「誰かに理解されたいって、誰かと心を通じ合わせたいって、ずっとそう思ってきたの」
「…………」
「だけど私は、こうして佐藤と心を通わせられた。佐藤は私の人生で初めて、一緒に居られて、その上楽しいって思えたの」
「ひ、光さん……」
光さんはどこか悲しそうに、でもどこか嬉しそうに語る。
足を無邪気に揺らす。
光さんの瞳の中で、満月が揺れる。
光さんの瞳で揺れる月はいつ見た月よりもきれいで、でもそんな月よりも光さんの瞳が輝いていて。
僕は僕の全てが奪われるような感覚を感じた。
こうやって人の人生は影響されて、そして恋に落ちていくのかな。
僕は漠然とそう思った。
「それに、それに……」
「…………」
「佐藤と体の相性よさそうだなって」
「最後がクズすぎてもはや安心感を抱いてる自分がいる」
すごい現実恋愛のラストとしては良い感じの雰囲気だけど、僕たちの物語はこの雰囲気の方がいいみたいだ。
わずか一時間の間で、ずいぶん光さんに染められてしまったみたいだ。
「結婚したら、まずベッドを選びましょう。シングルの」
「いやせめぇよ!」
「だって、だって……くっついていたいから……っ!」
「ちょっと可愛いと思ってしまった自分を殴ってやりたいそして痛みが引いた後にもう一度殴ってやりたい!」
「その時は、私が膝枕してあげるわ♡」
「デレの緩急がえぐい! メジャーリーガーでもさすがに打てない」
「大型ルーキー現る……ってね」
「そこ拾わなくていいですはい」
「うん!」
全く光さんは変な人だ。
でも、どうしようもなく――好きだ。
どうやら僕も、変人らしい。
でも変人でいいや。
それで僕が、光さんが幸せになれるのなら。
「んっ」
「……ん?」
「んっ」
「……はっ!」
その目を瞑って顎を約三十二度上げるポジション!
これは……キス待ち顔ッ!
僕はサブカルチャーに少し通じており、存じていた。
それにしても……キスまでの展開が怒涛過ぎない?
超絶怒涛のピン芸人のサンシャイン〇崎でも「いぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」を叫ぶことなく舞台袖にはけていくよ。
「お、女の子を待たせるんじゃないわよ。待たせていいのは離婚届けにサインをするときだけよ」
「逆にそれは良いのかよ。もう判定基準が分からない」
「だから、ビ〇リーチ」
「今使う場面じゃないの分かります?」
ふぅ、と一息ついて。
もう一度キス待ち顔をする光さん。
自殺しようとしたのを止められて訳の分からない展開に乗せられてここまで来たんだ。
もうどうにでもなれ。
僕は意を決して、光さんの唇に触れた。
「んっ……」
光さんが甘い声を漏らす。
僕は軽くタッチするくらいでよかったのだが、光さんがキスした瞬間に僕の顔をホールド。
「ん~~!!」
「んっ、んっ……」
「ん……んが」
――数分後。
「し、舌まで……」
「これが幸せになるってことなのね……うっとり」
引っ越してくる前から潜んでいた角の汚れが取れた時みたいに清々しい表情を浮かべる光さん。
僕は生気を吸い取られ、ぐだっとしていた。もはやツッコむ余力すらない。
「佐藤」
「は、はいぃ……」
「ここから、幸せになりましょうね」
「物語の最後のセリフを言うんだったらあんな熱烈にキスしないでくださいよ……」
「きっとこれから、私たちを幸せが迎えに来てくれるわよ」
「もうこの人一人だけで物語進んでるな……」
僕はため息をついて、夜空を見上げる。
わずか一時間の間で、僕の人生はすっかり一変してしまった。
でも、きっと人生ってこういうものなのかもしれない。
予期せぬ出来事の連続。
その流れに身を投じて、生き続ける。
たとえ過去の自分が望まない場所にたどり着こうとも、今を生きる自分が結局は納得してしまうのだ。
いつだって、人の思い通りに物語は進んでいかない。
でも、でもきっと。
僕らの行きつくラストは、いつだって僕らの望むラストなんだ。
EN……
「ちょっと君たち」
「えっ、幸せ?」
「幸せが物理的に迎えに来た⁈」
「……何言ってるの君たち。もう十二時過ぎてるよ。何してんの」
ライトに照らされて眩しい。
目を細めてそのライトの先を見た。
するとそこには――
「「ぽ、ぽりすめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん?!」」
「補導するね~」
物語は本当に自分たちの望むラストに……行きつく、かも……ね?
――十年後。
僕と光さんは、結婚した。
そしてありがたいことに命をさずかり、出産。
元気な男の子だった。
「僕たちの子供には、僕のような経験をしてほしくない」
「そうね。じゃああなたが、この子に名前を付けてあげて」
「そうだね」
そして僕は一週間、高尾山にこもって考えた。
雨に打たれ、風に吹かれ。
観光客たちに白い目で見られ。
七日目に警察に家に帰され。
そして、遂に筆を執った。
「この子の名前は――佐藤男。読み方は――アダム。あのアダムだ」
――これは、キラ☆キラネーム誕生の物語。
そして――恋の物語だ。
TRUE END
ここまで読んでくれた皆さん、言いたいことは分かりますってか言っちゃいます。
「なんだこれ」
そう、なんだこれ。
つまり僕も何が何だか分かりません。気づいたら三時間、ひたすらこの物語を書いていたらしく、気づいたら投稿していただけです。
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