未来を変える
楽しんでいただいたら嬉しいです。
――何でこんなことに
熱い、痛い、腕の感覚がない。
こんなことならミヤと一緒にもっと過ごしたかったな。
意識がもう……やばいな。
地面を踏みつける音、誰か近づいてきてんのか。
今まで一番最悪だ。
親の仇も打てず死ぬのか。
最後にミヤに伝えておきたかった事、沢山あったのにな。
今叫んだら聞こえるかな?
「――ミヤー……」
ダメだこりゃ、聞こえねーな絶対。
「――ごめんな、頼りない兄貴で……今までほんと苦労かけたな……」
足音が俺の横で止まった。
多分今頭に銃向けられてんな俺。
「今から俺も行くぞミヤ……待ってろ。」
「お兄ちゃん!」
ミヤの声だ。
「お兄ちゃん!」
「――あ、なんだ?」
今のは何だったんだ、夢?
なんかこう、無茶苦茶リアルだったな。
「お兄ちゃん早く!」
「なんだよそんなあせっ……」
窓の外を見た瞬間、言葉が、声が出なかった。いや、何も考えられなくなった。
俺がさっきまで居た、他の奴らが居るはずのATフィールドから煙が上がっていた。
「なんだよあれ」
「さっきの爆発のせいだよ! さっき知咲ちゃんも全員に戻るよう注意しにあそこに」
チビがあそこに!
「ミヤ行くぞ!」
「うん!」
朝の嫌な『予感』はこれだったのか。
今はとにかくチビが心配だ。
なんやかんや俺の数少ない友達だ、絶対無事でいろチビ。
「チビ!」
ATフィールド内には意識があるやつがほぼだな。けが人もいるが死にはしないだろう。
「ミヤは全員をここから校舎側へ! 先生達が来たら先生達と一緒に!」
「わかった!」
俺はミヤの返事を聞くのと同時に、チビを探しに走った。
「チビー! チビ―! チビー!」
何回呼んでも返事がない。もう避難したのか。
「――っう!」
その時凄まじいほどの頭痛と吐き気が俺を襲い思わず体が前に倒れた。
同時に後ろから、倒れた俺の上を何かが通り過ぎた。
「なんだ今の!」
一瞬で頭痛と吐き気が治まり驚きのあまり後ろを向いた。
――なるほどな。そういう事か。
黒服に赤い死神のマーク。『デビルバレット』か。
「今のを避けるか」
「まあな……」
今のは『予感』のおかげだ。この能力がなかったらヤバかった。
「君先程から誰かを探しているようですが」
「友人をな……」
「その友人とはこの子の事か?」
俺の目は相手の腕の中のチビを見つめた。
「テメー! チビを放せ―!」
「黙れガキが」
次の瞬間、相手の弾が俺の腕を打ち抜いていた。
「幸太!」
チビが俺の名前を呼ぶのが聞こえた。
――なんだ今の! 反応出来なかった!
今は腕の痛みより驚きの方が上だ。
「どうやら反応出来なかったようだね」
「そうみたいだ……」
俺がアイツより強いとしても、チビが人質に取られている限り下手な動きはできないなどうすれば。
「――なっ! どうして……」
俺の目は、男の後ろで銃を構える、いつもとは別人のようなミヤを見ていた。
ありがとうございました。
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