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チビ

久しぶりの投稿です!

「お兄ちゃん、あんな事してよかったの?」


 横を歩いていたミヤが俺の顔を覗き込んで言った。


「べつにいいんだよ。あんな奴の事なんかほっとけ……っ……ごほっ! またこれか」


 咳と同時に手で口をおさえる。


「お兄ちゃん大丈夫!」


「ああ……いつもの事だ」


 口から放す手をみるとやはり、俺の手には血が付いていた。


「お兄ちゃんこれ……」


 心配そうに俺を見るミヤに渡されたポッケットティッシュで手と口を拭く。

 これにはもう慣れた。なんせ、今に始まった事じゃない。

 俺は短時間だが、人並み外れた運動能力が得られる能力がある。予感の能力と同じく、他の人にはこの能力はない。この能力は予感のあとに発生した。

 だが、この能力は気が付くと発生しているケースが多く発生する条件があるのかすらわからん。


「ほんとなんなんだろうね」


「俺にもわからん。同じ距離を10回走って運動能力が上がったのは9回目と10回目の時だけだ」


 そんな話をしながら自分の席に腰を掛ける。


「なんだよ」


 前を見ると俺の席の前に小柄で金髪な少女がっ立ていた。


「久しいな小僧」


 こいつはこの学校の生徒会長青山知咲(あおやま ちさき)だ。通称チビ。

 一応3年の先輩なんだが……どう考えても俺より年下に見える。

 1年前にヤンキー共にちょっかいかけられてんのを高1の俺が助けたのだが、それからやたらと絡んでくる先輩だ。


「ここはお前のような幼稚園児が来るとこじゃねーよ。とっとと帰れ」


「先輩にチビとはいい度胸だな」


 態度だけはやたらでかいチビの肩と足に手をまわし、お姫様抱っことやらをした。先輩だけど。


「え!ちょ……まって!」


 先ほどまでの態度はどこにいったのか顔を真っ赤に染めている。


「おねがい……」


「ん?」


「おろして」


 顔を手で隠しながら小さく一言俺に発した言葉はとても弱々しかった。


「よいしょ」


 優しくチビの体を下した。


「……」


「何黙ってんだよ」


 さすがにここまで黙られるとどうしたらいいかわかんなくなるぞ。


「おいなんか言ってくれよ」


「ばか」


「は?」


 急に『ばか』なんてどうしたんだ?怒ってんのかこいつ?


「ばかー!」


「うわ!」


 チビは『ばかー!』っという言葉を吐き捨てどこかに走って行った。


 何しに来たんだよあいつ。


「はー、お兄ちゃんたら」


 頭を抱えたミヤが廊下から俺の方に近づいて来た。


「ミヤお前どこ行ってたんだよ」


「そんな事よりお兄ちゃん、知咲ちゃんの気持ちちゃんとわかってる?」

 

 知咲の気持ち?なんかあいつ俺に言いたい事でもあんのか?


「知咲の気持ちってなんだよ?」


「もーお兄ちゃんったらいつもこうなんだから」


 ミヤのやつなんで呆れてんだ?


「もうすぐ他の人たちも戻って来るだろうし授業の準備しといたほうがいいよ」


「そうだな」


 その時、近くで爆発音と共に黒い煙が上がった。




これからもよろしくお願いします。

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