予感
楽しんでいただけたら幸いです。
「お兄ちゃんどうしたの?」
ミヤが空を見上げていた幸太の顔を覗き込んだ。
「なんか朝から嫌な予感がしてな」
「まただね、お兄ちゃんの度々現れる《予感》の能力」
「ああ、」
幸太の度々現れる《予感》の能力とは、近い未来に起きる事故などを身体で伝えてくれる。
この能力が初めて発動したのが二年前だ。
「ねーパパ、まだ着かないの?」
「幸太もうすぐ家に着くから我慢してくれ」
「そうだよお兄ちゃん」
それは家族と出かけた帰りの事だった。
「う、なんか寒いな」
幸太はそう呟くと両腕を擦った。
なんかよく分からんけど『ヤバイ』このまま走り続けたらだめだ。
「パパ、ママ車……」
前に座っていた両親が頭を打ち抜かれ前倒れになっていた。
その光景を見た瞬間幸太は言葉が出なくなり、強烈な臭いに吐きそうになった。
「お兄ちゃん、なんか臭いよ」
「ミヤ伏せろ!」
そう言うか早いか車は電柱に突撃し、幸太はただ1人が車から投げ出された。
「パパ、マ……マ、」
意識がもうろうとする中、俺がこの時最後に放った言葉は、「ミヤ……」だった。
その後、すぐに俺はおじの荒海守に引き取られ、1年間おじと人型人工知能ロボットのミヤと共に暮らしてきた。が、俺の高校入学と同時におじは癌で亡くなった。
それから1年間、ミヤと2人で暮らしてきた。
度々現れる《予感》とも向き合いながらだ、だがあれ以来大きな事故は起こっていなかった。
今日までは。
幸太とミヤは桜が散る中学校の門をくぐり抜けた。
2人が通っているのは日本で初めて【シスターズ】と共に通える学校として造られた《市立機械科学人妹共同学校》(しりつきかいかがくしんまいきょうどうがっこう)だ。
この学校は東京ドーム8つぶんの広さがあり、普通の学校にある校舎とグラウンド以外にコンビニや洋服店などの施設も学校の敷地内だ。
2人が住んでいる家もマンションも学校の敷地内にある寮だ。
靴をはき変え2人はクラス表を見た。
「俺とミヤは2年6組か、ミヤ行くぞ」
「はい」
幸太とミヤが歩き始めると周りがざわつき始めた。
「―今年も来てるよあいつ」
「―ほんと来なくていいのに」
「―きも」
今の言葉は全て俺に向けてはなった言葉だ。
「おいゴミ。そこどけ」
幸太はよりも強そうな大男が呟いた
俺はおじが荒海守と言うだけでいじめられていた。
「おい、聞こえねーのか」
俺は頭もいい。それも原因だ。だが俺は机に落書きされようと、上靴を隠されようと何とも思はない。
「無視すんじゃねー!」
男の手が幸太の顔に向かう。
なぜなら俺は…
「ぐはっつ!」
「強いから!」
幸太が男の腕を掴み投げ飛ばした。
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