表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

努力値

翌日はみんな、腫れ物に触るような様子で俺に接した。

「でもね、ルーカス。努力値でうまくいくこともあるから、落ち込まないで?」

「そうだぞ。魔力量は努力してどうにかなるもんじゃない。だが他は努力値がある。どうにでもなるから諦めるなよ」

みんな最後にはそういった。


努力値。

俺だって努力というものを知っている。

努力値は努力してようやく得られるものだ。

頑張って頑張って、根性で頑張って…。

でも俺は根性というものがわからない。どれだけ考えてもわからなかった。だから勉強も、運動も、努力というほどしたことがない。周りに尻を叩かれてもやらなかった。

なぜか?…やっぱりわからないが、幸せすぎるのだろうと自分で納得している。誰かに復讐するとか、どん底で誰に貶されたとか、そういう経験がない。

家族に守られてきたに近い俺の生活には、そんなものは最初からないらしかった。

だから?

いや、別に俺は諦めているわけじゃない。ただただ面倒くさい。どうせ最初からフリーターになるくらいのつもりだったのだから、これを理由に今日は眠ろう。

「魔力量40…」

「魔力量1.414.213…」

これがなんの役にたつだろうか。

「1.414.213か」

何度も何度も復唱して、俺はこのあと夢の中で56237…と続けて眠りについた。


努力値を持ち上げても、周囲の腫れ物対応は変わらない。それから数日間、みんな、俺のことについては過敏に反応した。俺の知る(起きている)平均12時間に限りだが。

俺としてはその方がありがたいのだが、兄だけは違うらしい。

「剣の稽古に付き合ってやる」

兄はそう言って、俺に木刀を渡した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ