15歳と1ヶ月
15歳になったら必ずやらなければいけないこと。
それは、神殿での心体力検査。
国立共通学校に行くと決まっていても15歳は成人扱いで、神殿にいくと絶対神からステータスというやつをみる力をもらえる。
「ルーカスはどんな数値か楽しみだ!」
「あれって自分しか見れないのが残念よね。私鑑定スキル持ってるのに。あぁルーカス、早く帰ってきてね!」
「はい姉さん」
「道中気をつけてね」
「ルーカスは貧弱だから危なっかしいよ。ついてってやろうか?」
「いいよ街くらい、一人で行ける」
「だよな」
そんな家族の言葉に送り出されて、俺は街の神殿へ向かう。
絶対神の恩恵を民が求めるので、どこの土地にも神殿は必須。領地ごとにと法律で決まっているくらいだ。なので俺も徒歩で向かう。兄さん達がやったように。
「楽しみだな!」
「俺のが絶対高いぞ」
「そうか?」
15歳の大人が、それぞれ予約を取って並ぶ。
毎月1日に最大8人までと決まっているので、人数はそう多くないが、大広間で各自特に指示もなく待っている、この間はうるさい。
知り合いもいないので俺は隅による。
中には親同伴の奴もいるが…あぁ、あれは女だ。
背もなかなか大きく、ショートカットでわからなかったが、よく見れば丸い輪郭と胸の膨らみが見えた。
「ルーカス・フェイル!!!」
「はいっ!」
地響きのような声に、俺は声を張り上げた。
どうやら寝ていたらしい。飛び起きた俺に、さっきのショートカットの女の子がクスクスと笑う。
目があったので俺は頭をかいて笑った。
「こっちだ」
「はい」
すぐ俺は向き直って祭儀場へ向かう。
素早さ1、体力1、物理攻撃1、物理防御1、魔法攻撃1、魔法防御1、基礎回復1…。
いわゆる普通の成人男性の初期数値、という表が祭儀場の準備室には貼ってある。
「素早さ10、体力80、物理攻撃18、物理防御10、魔法攻撃6、魔法防御10、基礎回復3…」
剣士家族のくせに、むしろ俺は一般男性の初期数値より下回っていた。
「魔力量1.732…」
しかし魔力量だけは違う。
「魔力量1.414.213」
桁が違っていた。
なかなか努力や鍛錬をしても上がらないとされる魔力量。しかし俺の魔力量は十万越え。
何か変なところがあるのではないかと探してみると、《自然体魔力量増加スキル》というなっがい名前のスキルが目に入った。
ステータスを見せたときは、みんな、いろんな意味で驚いていたけど、今日はいろんなことがあったのですごく眠い。
夕食食べなくていいから終わらせて、寝てしまいたい。
そうだ、本能には忠実に。
「…ねる…」
「ああ…うん。…え?ルーカス、ご飯は?」
「あーいらない」
「え!食べなさい。食べないと体力つかないわよ!」
「えー体力とかダルい…」
「…ルーカスっ!!」
結局母の剣幕で眠気が覚めて、無言の食卓で、無言のまま腹に詰め込んで、寝た。