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【五部のスキマ】
【木刀】とは〉
木刀は剣技の練習をする主流だ。既に技術のあるもの、初めて同然のもの。その練習は誰もがこれでする。少なくとも我が家、フェイル家では。
いつだったかうちの稽古場で、父の指導で剣を振る家門生の声を聴いたことがある。父の号令で木刀を振る。素振りの練習だ。俺はそれを聞いていただけで参加しなかったのを覚えている。
家門生の指導は家長である父の役目におさまっており、我が家から距離をとった、領内の広い土地にその稽古場がある。そして何故だか兄も叔父もそこでは訓練をしない。叔父は父と見本を見せるときだけ呼ばれているらしいが。
おっと脱線。
木刀にはこの国の文字で名前が彫ってある。最初の師匠が名前を彫る。しかしフェイル家では名付け親が木刀を贈る風習がある。だから祖父が俺たちのを彫ってくれた。




