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色彩魔法学校-7[ゼブラ]

教師も生徒も全員が体育館に集まった。1人の乱れも許されず並ばされる。


困惑と不安が混ざった沈黙を経て、深い緑色の制服に黒いブーツを合わせた女性がカツカツと靴をならしながら段上に立った。髪はきれいにまとめて帽子の中。軍人にしか見えない。


ダン!彼女は両の拳で木製の教卓を叩いた。その振動でマイクが床に落ち、それ自身が転がる音をスピーカーから響かせた。


「おい、てめえら!!!」

低くて大きく、怒りを孕んだ声がはられた。

「ノースアイランドの全ての高等部が消失した!!!大学とも連絡がとれない!ノースアイランドごと孤立状態!敵は呪躯だ!!!」


生徒は突然のことで混乱している。友人の顔を伺う者、高等部の方に顔を向ける者、ドッキリ番組を疑い周囲を見渡してカメラを探す者。蜜柑はリコリスをみた。先生は彼女の話を聞けというように、そちらに顎をむけた。


「お前ら中等部の生徒、総勢60人で全て倒す!お前らで倒せなければ世界は終わりだ!!」

軍人はそう言って、生徒の間を歩き出した。

彼女がそばにきたとき、蜜柑はあることに気づいた。


「城戸…先生…?何やって…」

そのとき、その軍人は蜜柑の胸ぐらをつかみ、真っ直ぐに目をみて言った。

「おい、蜜柑!てめえは、剣となる覚悟があるか!?」

「な…先生、何言っているのか、俺たちさっぱり…」


城戸の手は蜜柑の首に届く。首が絞まらぬよう、でも、手の跡が残りそうなくらい強く掴まれた。

「時間はすでにない!今覚悟をきめろ!」

「いや、だから、ちゃんと説明…」


薄笑いを浮かべながら答えたら、鳩尾を殴られた。嗚咽。……なんだこの力?おれ鍛えているほうなのにな…。


「オレが世界を守ると言え!!」

城戸の低い大声が聞こえる。いつもはふんわり優しい声なのに。こっちが地声なのか?

何も言えないでいると、腹を蹴り上げられた。体が宙に浮いた。足が勝手に痙攣している。


桃の声がした。

「わたしが!世界を!守る!!!」


蜜柑は髪の毛を掴まれた。軍人は低くて威圧的な声で言う。


「てめえが言わなきゃ誰が言うんだ?あ?」

「くそったれ。ぶりっ子が……」


まっすぐ目を見て言い返したら、再び腹を蹴りあげられた。胸ぐらをつかまれ、顔も殴られた。宙に浮いた体。その腹をさらに殴られた。目だけ動かして周りを見た。半分以上の生徒は目を背けていた。桃は目に涙をためてこっちを見ていた。


(動け…私の身体…。先生をとめて、蜜柑を守る。それだけ…それだけなのに…)

強い蹴りが入った。壁に叩きつけられてぐったりとする蜜柑。

桃は涙を流す。

(なんで…わたし、動けないの……蜜柑のことが…好きなのに!!!)


ゼブラは生徒の横を通りながら言う。

「おいてめえら、高等部は消失。大学とは連絡不可だ。てめえらが無事なのはリコリスがいたからだ。敵は必ずリコリスを狙ってくる。」


城戸は水利谷の顔を見ながら言う。

「わかったか?これからオレたちが何をするのか。」

「イエッサー!!我々は!城戸教官に従います!」

水利谷が軍隊のように敬礼して答えた。


桃は、ぐったりと動かない状態で壁にもたれかかっている蜜柑を見た。

城戸が体育館を出るまで、駆け寄ることさえできなかった自分を恥じた。


ー確かに愛しているのに、愛の行動をとれないことがあるー





リコリスゼミ学生☆腕相撲ランキング


1位 蒼「家事の重労働ナメるな」

2位 レッドグローブ「国では3人の子どもを同時に抱っこしてイマシタ」

3位 バナナ「大道芸には腕力必須!」

4位 レモン「逆立ちに火の輪くぐり、空中ブランコ!任せとけ!」

5位 蜜柑「俺、鍛えてる方……あ……」

6位 桃「えへへ」



陽「オレ鍛えている方って…心の中のセリフでよかったな」

水利谷「口に出してたら黒歴史確定」

蜜柑「桃にしか勝てなくて悪かったな!」


このあと蜜柑は、日課の腕立て伏せ20回、腹筋20回を3倍にした。


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