色彩魔法学校-16[最終章]
俺たちはトマコに帰還した。
廃墟のトマコ。3キロほど歩くと、鉄の要塞があった。
こんなものはトマコを出た時にはなかった。なんだこれ、と思って見ていると、水利谷の声がした。
「総監!リコリス隊が帰還!」
町の周りがざわつく。鉄の塊が動いて、真ん中が割れる。
ゼブラが水利谷を連れて歩いてくる。
「リコリス隊、戦況を報告せよ」
「はっ!敵の主力と思わしき呪躯を討伐。死者は0!!」
ゼブラはふっ、と笑った。
「水利谷、こちらの戦況を報告せよ」
「はっ!作戦通り、後ろに後退して防御を重視!死傷者0!」
「ゼロ!?」
リコリスはびっくりした様子だった。好戦的なゼブラにしては信じられない、という顔だ。
白戸はふふふ、と笑った。知った顔のサポロ色彩魔法学校の生徒が顔を出す。それから、トマコの中学生に、街の人も。
蜜柑が言う。
「町に掛けられた侵食の呪いは…」
ゼブラが答える。
「プロフェッサーが弱めた。ほらみて。薄いグレーになってる。これなら対策次第で作物も育つ。」
「でも。防御だけに割り振るなんて思い切った…」
「ふっ、親友が成功させると言ったんなら信じるわよ。私は。あんたがもしダメだったら、正直ジリ貧だった」
「ああ、プロフェッサーに私も会いたいのよ。その。桃が呪われて。見せたくて。ほら、ゼブラもみてよ。この黒い呪い」
「おお、真っ黒。桃、なんともないの?」
桃も自分の右手のひらを見た。呪いは肩と手のひらと2カ所に刻印されたのだ。
「…これ、ダークグレーですよ?そんなに悪いものじゃない気がする」
蜜柑が陽と話す。呪骸の悪口を言う陽。
「おまえ大変だったな。あの邪悪な呪躯と戦ったなんて…」
「いや、そんな悪いもんじゃないよ。あいつら、人間だよ。」
蜜柑の目から、なぜか涙があふれた。
呪いのせいで、敵のことがわかるようになったと語る桃。
呪骸は過去の亡霊。黒獣と同じ。
「そんな」
リコリスは驚いた。
「筋は通るな」
「プロフェッサー!」
リコリスはプロフェッサーこと、鈴木靖教授に駆け寄った。
「動物だけに黒獣がいるとは限らんだろ。人間はどうしていないのかと、疑問に思っていたところだ。どれ。その印、なにか、記憶が刻まれているのか?」
桃が答える
「はい。多分これはね、未来に生きる私たちのために何か伝えたかったんだと思います。だから、呪いじゃなくて、ギフトかなって思うんです」
「ふむ。たぶん、それがキーじゃな」
鈴木教授は、あごひげを触った。
「なんの?」
「次、呪骸が進行したとき、きっと、分かり合えるだろう。次は、戦いじゃなくて、話し合いになる。そのキーは、印を刻まれた者たち。きっと、第三次呪骸大戦は起こらない。お互いに有益なものを提供しあうだけの関係になる」
蜜柑の手は度重なる戦闘で汚れていた。蜜柑が手を洗う。蜜柑の左手にも印が刻まれていた。
もし、二人、別々の道を行ったとしても、使命のように、宿命のように、ふたたび力を合わせるだろう。漆黒の闇さえ飲み込んだ、二人だけの色があるから。
鈴木靖と、リコリス、ゼブラ3人で、夜のトマコ湾で会う。
「花ちゃん、リカ。本当によく帰ってきてくれたね」
「でも、ギフトだなんて。」
「この汚れたと思われた土地はどうなっていくんだろうか」
「まぁ、名前がそれの本質を表すとは限らない。だから、少しずつ、名前を直していくんだ」
ゼブラこと城戸花、リコリスこと鈴木リカは、顔を見合わせて笑った。
駆け足で、描写がいまいちでごめんなさい!




