3睡目 ショリオチする夢
「おう、来たか」
「ごめんね、昨日は安心しちゃったみたいで寝ちゃってさー」
今日も眠ると診察室の夢にきた。
イスでくるーりと回るラパード。
「あの後慌てて3個採取して帰って来た」
机の上にはあの飾りの星が光っている。
「あ、星だ。3個とってきたんだーあの慌てようからすごいね」
「あ゛ー…まぁな。だがしかし…普通のコメト金属だったな…何か作るときの材料にはなるか」
「??コメト…??よくわからないけどフツーなんだ?」
「なにかと材料にはなるし使うけどな」
「そっかぁ…」
「あっ僕の名前!」
そうだ!と思わず手をぱんっとした。
「僕の名前はねぇサガじゃなくてー
…サガじゃなくてー…あー…」
今ちゃんと覚えてる気がしたけれどそうでもなかった。
「思い出せそうか…?」
「思い出せなかったよ…あれ?今日なんかニオイしない?なんか…こう…ファミレスの前みたいな?」
「ファミレス…?多分患者のにおいだな。気にするな」
「あっ!そうだ。今日も扉開けてみる??」
あの白くて四角い境界線だけの扉を見る。
「そうだな。お前さえ良ければ、開けてもらえるといい」
うーん、あいかわらず夢だからってすごいことがあるわけでもないんだよなぁ…
こう…夢ならでは的な…
うーん…あっそうだ!
「ひらけ!ごまあぶら!!!」
とか言ってみるんじゃなかったなぁ…部屋が静かなことをいつもより感じた。
なんかすごく恥ずかしくなってきた…
ラパードは真顔で、扉はもちろん開くわけが
あった。
ロールアップしていくよ…
まさかのロールアップ開きだよ…
静かにゆっくりと上がっていく扉の向こうはショッピングモールだった。
ただしみんな半透明なシルエットの人しかいない。
影が立って、歩いている…
少しずつ色んな声が聞こえてくる。
「まさか声でも開くとは…」
「うん…びっくりだねぇ…」
扉の向こうのショッピングモールを2人でのぞく。
「で、あの場所に見覚えは??なんの場所だろうか…?沢山、人?がいるぞ」
「うーんショッピングモール…お店?みたいけどあんな床が絨毯なところは行ったことないかも」
「おっ!ラパードセンセじゃないかい!」
扉の向こうから声をかけられてびっくりする!ラパードもちょっと飛び上がってた。
「あっどうもあれからどうですか」
白衣のエリを直しながら、その多分おじさんの声とフォルムをした、半透明シルエットの人?に返事してた。灰色のシルエットだけで顔は見えず、向こう側まで透けている。
センセって呼んでるってことは患者さんだったのかな?
「ええ、あれからウチのシルコも元気になって、全然チラつかなく滑らかになりましたよ。で、センセー、今日はお出かけで?」
「あ、あぁ…はい。お、お出かけ…そう!出かけます!あまり出かけたことがなくて不安ですがそちらは安全ですかなっ!?」
わーホントに出かけたことなさそうだ…ちょっと挙動不審になってる。
「ショオリッチデパートは色々退屈しませんぞ。一番人気は屋上ですなっ」
そうかデパートっていうお店かーお高い物を買うときに行くとこだっけ。リッチ…お高いんだろうなぁ…お金ないけど大丈夫かな
「おっと失礼シルエさんもシルコも待たせているんだ。楽しみたまえ」
そう言っておじさん影はススッと遠ざかっていった。
さて、と。
少し緊張した顔してるラパードより、先にぼくが踏み出したほうがいいかな?
独特な赤い絨毯はふわふわとして歩き心地がいい。
むしろ裸足で歩きたくなるけれど、おはずかしいからしないよ。
沢山のシルエット人とすれ違うけど、お喋りしていたり見て回ってたりしていて、シルエットじゃないぼくらを気にする様子はない。犬の影を連れている人の影が多い。
「こんな、ざわざわしているのは患者が14人同時に来た時以来だ」
なんだか嬉しそうにトストス踏み心地を確かめたり触ったりキョロキョロするラパード。
「うん!色々まわってみようよ」
「お、おう。店があるならお金を…通貨はどれかわからんが持っていこう」
診察室に一回戻って棚から何個か物をもってまた出てきた。
「夢の中にもお金あるんだ?」
「あるぞ。これがピクセで、主に…はっ!いつお前がまた寝るかわからんし、金の話はまた今度だ!いくぞ!」
あっ、待ってー!
はーお店っていっても透明影のかたまりばっかりで見飽きちゃったよ…
ラパードは興味しんしんで色んなお店の人にあれこれ聞いて、これが服ー帽子ーマフラーにネクタイピンって言われてるけど、
全部影のかたまりじゃん?
全部、半透明のシルエットのカタマリ。
しかもそれなりに高いらしくていっこも買わないし。
そんで時々患者さん?に出くわして世間話しはじめるし。
「すまんすまん。影のかたまりも見飽きたか?」
「そうだよ見飽きちゃったよ」
「とりあえず記念に影のふがしだけ買ったら屋上とやらに行こう」
あぁたしかに袋に入ったふがしの影に見えなくもない。味が気になる。
屋上に来た。
風が吹いていて、お店のこもった空気から出られてすっきりする。
「しかし何もないな…」
「うん、ないね…人気の屋上なのに何にもないし人もいないよ??」
そうなのだ。ホントなんにもない。
白い階段出口の部屋以外は平らなコンクリ床。
白いフェンスの向こうはところどころ白い雲が浮かんだ、天気がいい青空だ。
あれ?太陽なくない?
ない。
「太陽ないね??」
「あぁ……光源は青い天井のようだな。すごく遠いが果てがある」
「天井…空じゃないの?」
「そうか青天井…空…そうかこれが空か」
そうかぁラパードずっとあの部屋にいるらしいもんねぇ
メガネに空が写って、口をぽかんとあけて見てる。
青い空が人気の見どころかぁ…
よかったねぇ
ぼく的にはつまらないけどきみが喜んでるのは、なんか嬉しいよ。
たしかにすっきりきれいな青空だなぁ
下の方は薄い水色で、真上が濃い青で…空なのにさざめいているような…濃い天頂は空じゃなくて海なのかな…?
まだ見てるのかなぁ…
やっぱり飽きてきちゃったなぁ
フェンスにいくら寄っても下は見えないし青空しか見えないし。
こういうとこがお子様なんだよってあきとくんにも言われたなぁ
あっあきとくんを思い出した
すごい風が吹いた
ゴウゥッて音がして足がすべり
体が投げ出された
フェンスもラパードも宙に
投げ出された。
屋上の部屋もデパートすらも
全部ぜんぶ投げ出された。
壁もバラバラに四角くなって
売り物の色んな影のかたまりも飛び散っていく。
全部ぜんぶしかくく バラバラになっていく
ラパードはまだぽかんと口を開けたまま投げ出されている
スローモーションで落ちていく
たくさんの白い四角と影といっしょに落ちていく
ゆっくり落ちては時々突然少し戻りながら
影の形と白い箱に交互にちらつきながら
おりるほど薄い空に落ちていった
あんな薄い空に落ちて大丈夫かな…
ぼんやりしながらそう思った
ゆっくり 時々戻りながら 落ちていく
・
・
・
ぴぽぱぽ ぴりーん ぴぽりらりーん♪
聞き慣れたチャイムの音ではっとする
落ちたときのポーズのまま転がってたところを、飛び起きた。
コンビニだ。
えっ?コンビニだ。
寝てたところはコンビニの中の入り口前で、白い四角がざらざら落ちている。ラパードもぽかんとおちている。
は??
漫画を読んでる人とおにぎりを選んでる人がいる。
ラパードももそもそ起き上がって
「スマホで見たことがある。コンビニという店だろうか?」
あいかわらずキョロキョロ嬉しそうだね…
「そうだねコンビニだね」
見た感じ変わったものは売ってないフツーのコンビニだ。
カゴすらも珍しがりながら回して見てるラパードが怪しくてちょっと恥ずかしいけど店員さんは気にしてな…
んん?店員さんフツーに見えるけどよく見ると全体的にブロックだ。細かいめのブロック。動きもカクカクしてる。
ラパードは、カゴに、牛乳とチョコとお茶とハチミツと…さっき地面に落ちてた白い四角と…
えっそれも買うの?落ちてきたやつじゃないの?
ほら店員さんにも断られ…ちがう…んん???
もしかして……お金扱いされてる?
ラパード慌てて全部拾い出したよ。
「すごいぞこの四角いのはここの通貨のチェストで、1スタック64個までだ!」
「ぇえ!!?お金なの?!」
「これだけ買っても1スタックと21個ある!チェストは1スタック分しか持ち帰れないし、お前も好きな物を買うといい」
わーそりゃそんな喜ぶわけだ。
「えーっ!?やった!」
いっしょに落ちてきただけの、デパートの破片を所持金として使っていいのかな。とは思ったけれど、まぁきっといいんだろう。
じゃあジュースと、あっ下にお値段が…5チェストかーじゃぁあとは
どんぐりぐりアメと
このふわふわメロンと
ねろねろねろりと…
ねりねりアメと…
ねむい…
「おい!ホントにそれでいいのか!?それは高いぞ!好きなものは選んでいいけれどそれは45テェスト…おおおいぃ
ぁぁああ よくわからないけど、そんな高いならいらないよぉお
ちゃんと避けて買ったかなぁあ
すごい申し訳ない目覚めだった…




