2睡目 2度会うと問い詰められる夢
「よう、大丈夫か?」
「あれ…?昨日ぶりだね??」
確か今日はフツーに部活終わってお風呂入って寝て…
昨日の夢と同じ、白い診察室だ。
そしてラパード。
「今回は診察するところは無さそうだな…」
「うん!今日は森のターン無いんだねーよかったよかった」
「よしきた。話するぞ話!」
「あーそう言ってたね」
イスを差し出される。
昨日のイスとちがって固そうな上にツボ押し付きだ。
「あー、柔らかいイスだといなくなるかと思ってだな」
「いなく…??あっ夢の中で寝ると起きちゃうのかー」
あっそう夢だこれ夢だ。
「! そこを詳しく!是非!」
おわ、、なんかノート付きの板取り出して乗り出してきたよすごい書き込んでら
「え??あ!そうだ!ここって夢の中なんだよね!夢だってわかったら色々できるのかな??」
「そうなのか!!!???」
「えっちがうの!!??あっそうかキミも寝てて夢の中にいるワケじゃなくてぼくの夢なのかな…?」
…ぼくの夢の中に出るってことはこの子はぼくの夢だし、話しても無駄なのかな?いやでもぼくよりかしこそうだし、気になる。
「俺もそれが知りたい。俺は寝ても起きてもここに居ると思っていたが…おまえはここで寝る?と外に移動して起きるということか…??」
「うーん…ぼくが起きてるときもずっとここ???わからないよねー…とりあえずぼくの夢?かどうか試していいかな??」
「勿論だ」
うーん。つねると痛くないのが夢とかいうけどつねって起きちゃうと勿体無いしなぁ
「うーん…」
とりあえず何かこう…念じてみよう?
魔法とか使えたら楽しいかなぁ…
えーと手を出して…考えて考えて…
「い…いでよ炎!メラメラ!」
シーン
黒色の糸くずが横切っていくだけで何も無かった。
「あめちゃん出てこい!」
いっしょうけんめい手のヒラの上にどんぐりアメを想像したけど何も出てこなかった。
「あはは…でないねー」
「むう…俺は頰を改めてつねってみたけれど、痛いし何もないな」
「昨日つまづいて痛くても起きなかったけど…今つねってもやっぱ痛いだけだねぇ」
「とりあえずお前は別の場所にいて、寝てここに来た。と。今回で2回目…と」
「そうだねーでも夢だと思うけど夢らしいことは出来ないね」
変なものがあったり、飛んでいるとかくらいしか夢らしい事はない。
「俺は朝も昼もなく眠くなったら寝て…ここにひたすらいるしかなくてな…」
「ここには朝とか昼はないんだ?」
「おそらくない。眠くなったら寝て、起きて…多分時間を計るという概念がないけれど時間は経つし、知っている。時間というのは60秒で1分だとか60分で1時間だとからしいな。でも時間を計る基準がない」
「へぇー見た感じ時計ないもんねぇ」
「患者がまとまって来る時が、定期的にあるくらいだろうか」
「ちなみに名前は?思い出せたか?」
「あっそうそう!ぼくはねー…」
…あれー…
「うん…やっぱ思い出せない…あっ、ラパードって名前が現実でも思い出せなかった!顔は思い出せたのに!」
「ふむふむ…眠る前の場所は『ゲンジツ』と…」
「あー…思い出せないぃ…モヤモヤするぅ〜…」
「じゃあ適当に仮の名前名乗るか?」
「ええ?それもなぁ〜…あれ、なんか昨日たこやきとか言ってなかった??」
「あぁ、俺も最初思い出せなさすぎて、面倒になってタコヤキと名乗っていたな」
「たこやき…ふはっwwそのマジメ顔で…?」
「あぁ、マイネームイズタコヤキー」
普通にタコヤキと名乗ってこられるとじわじわくる。そしてふとラパードの顔を見る。緑髪と赤目と肌色…
「はっ!そうだ配色がタコヤキ…あはっ…青のり盛り盛り…ププッ」
赤い目が紅生姜で肌色生地で、タコヤキ…
笑わせにきてない顔してるけど、無理。笑う。
「そうだタコヤキの味も大好きだし、配色も似ているから大変しっくりきていた。が、患者に『おぬしの名前はラパードってカンジじゃの』とか言われて、そうか。という感じで…」
「ぇえーそんなイイカゲンに決めたり変えたり??」
「俺に名前のセンスは無いから…スマホで気に入りそうな名前探すか?」
赤いケータイを差し出してきた。
「スマホあんの!??」
受け取ってみた。ぱかりと開くガラケだ。スマホじゃない。ちょっと重い赤い機体の、小さい画面にアイコンが並んでいて、はしっこにたまごっち的なキャラが跳ねている。
「色々調べられるが待ち時間がかかる。時間を測る方法はないのにな…」
「う、うん。ありがとう」
時間の表示はなくアイコンだけ並んでいる。
画面には見たことのある赤青黄の文字よりDが多い検索画面が。
「ど、ど、どぅーどぅる…?」
「名前 名付けで探すか」
ぼくがぼやっとしてるとラパードが横からボタンを押して検索しはじめた。
「探すのかぁー…」
少し待つと「子供の名前付け」とかいっぱいでてきた。色々名前でてくるけど…
「さがすの…うーん…なんかこう…さがすって言葉が気になる…のかな…」
「じゃあお前の名前はサガ」
「え」
「意味は伝説や歴史やら、あとたまに人名」
「はぁ…」
「気に入らなければ次サガすか?」
「えぇー…うーん…なんかちがうような…でもいいような…」
「じゃあ仮決定な。思い出せたら言えば、そっちで呼ぶ」
「うん、じゃぼくはとりあえずサガってことで」
「あとさっきから気になってたんだけどぼくの髪…なんか青い…ながい…?」
なんだかぼくの左ほほに見慣れない青い髪の束がある。手ざわりはふつうだけれどこんな明るい色の髪はみたことない。
「いつもは青くないのか?」
「そりゃもう。地味ーな黒色だよ」
「ふむ…鏡は確かここに…」
ラパードはロッカーから鏡を出してくれた。
青い。
もう髪も青けりゃ目も青い。まつげも青い。左のもみあげだけ伸びてて白いビーズ3つでまとめてある。どうやって付けたんだか…取れない。
「…うーん。あ、また念じてみてみようかなー 黒色になれー黒色になれー」
「黒がいいのか?」
「え、別に…?特に変わらないねぇ…とりあえずもう気にしないよ」
「ではサガ、本題に戻ろう」
「そうだね夢ならもっと何かしたいよね」
「…俺が出せる事といえば粗茶と話と治療しかないが…俺が俺という夢なんだろうかというのは…また個人で後で考えておく」
「??? あっそうだ!この扉の向こうってやっぱりあの嫌な森?」
真ん中の診療室っぽい場所以外はただただ白い壁と白い扉しかなく、窓はない。
「森…?詳しく」
「えっ…もしかして出たことないの?!」
「…あぁ」
「こんな好奇心?が旺盛なのに!」
「出られないからな」
「ええー???開かないの?」
「開けようとするとだな…」
あれ…
「その…」
ラパードの顔がみるみる曇っていく。
「開けたら駄目な予感まみれになってだな…」
元から微妙だった顔色が、より悪くなって汗が滲み出す…
「倒れるんだ」
「……聞いてゴメンね」
「いやいい!むしろ聞け!」
カッと目を見開いてるよ。。
「気になるんだ!気になるが開けられない!開いてる瞬間は見かけるが開けられない!気に!なる!そりゃもう!」
身をよじりながら力説してるよ…
「だ…だよねぇ…」
「だから開けてみて欲しい!」
「そうきたか!ぼくが?」
「イヤなら諦める!」
「いさぎよいね!」
「ぼくも気になるけど、もし…開けたらあの黒い森で、帰ってこれなくなったらイヤだな…」
「どんな森なんだ?聞いてもいいのか?」
「えーと…すごく暗くて、静かなようですごくうるさくて…空気が苦くて辛くて重たくて…とにかく逃げ出したくなるのにどこまで走っても何もないのに…あれ?なんで木もなにも見えなかったのに森だと思ったんだろ…?」
「それは嫌な場所だな…」
「そうなんだよぉー行きたくないぃー」
「わかったあきらめた」
あきらめが早すぎる。スン…って残念そうな顔されちゃうとなあ…。
「しかし、患者が来たとき、一瞬楽しげな街が見えた時もあったんだが…」
「よっし!開けよっか!」
「いや待てそんな…えぇ…」
ラパードってば期待と不安盛り盛りの顔してるなぁ。
「なにか準備する?したほうがいい?」
「…とりあえず護身用のフライパンは持った」
「ふ、ふらいぱん…」
準備が早い。カバンと武器を秒で準備してきた。
「攻撃防御共に優れた手に入りやすい汎用品だ…」
そうなのかぁ…
とりあえず扉の前へ行く。白くて四角くて境界線があるだけの壁にも見える。
「よ…よし…あける…あれ?」
「どうした?」
「これどう開けるのかな…」
そうだドアノブも引き手も開閉ボタンもない。
「引くとこないし押そっか…」
手に汗がいっぱい出てしまう。ドキドキする。
夢ならお礼にラパードをもっと楽しい所に連れてってあげてと思いながら
ギィ
と
音を立てて扉が開く。
夜だ。
あの嫌な森じゃない。
夜の静かで涼しい空気。
低めの鈴虫の声。
天井からぶら下がる星。
と、変な顔の月。
壁に描かれた野原の風景。
「…部屋だね」
「…だな」
ちいさい部屋に、夜の空気が入っているだけだ。さわさわとどこからか風と音がはいってくる。扉以外の入り口は見当たらないのに。
足元には、さくさくとした短い草が生えていて野原を歩いている感覚だ。
すっきりとした空気がここちよい。
「あはは…緊張して損したかも?」
「いや、まだわからんぞ…?もしかしてあの月がガバーッとか」
そう言いながらもちょっと気の抜けた顔をしていてすこし可笑しくなる。
「だいじょぶじゃないかなぁ…」
フライパンの柄で、変な月のプレートをつついている。コンコン音がしてぶらぶらゆれている。
多分大丈夫そう。ふー
「はぁぁ とりあえずサンプル持って帰るか…おいちょっと待て」
あんしんしたら 眠くなってきたなぁ
「あああこんな時に消えるなぁあ早くサンプルをいや帰るかあああもう
ラパードの断末魔?をききながらぼくは目が覚めていった。
あぁ…怖がってたのに置いてきちゃったなぁ
大丈夫だったろうか…
そしてぼくは大丈夫じゃない朝練開始時間に起きているのだからあああああちこくちこくだぁぁぁ




