8睡目 元神の島
?「こんにちわーこちらに神様かお医者様か裁判官様はいらっしゃいますか?」
診療所で3人でお菓子食べながらお話してたら、変な人が現れた。
ラパード「医者モドキなら居ますが…」
と、そろりと手をあげるラパード。
すると変な人は目を輝かせながらすごい速さでそのあげた手を取って
?「よかった!!ずっとずっと神頼みしながら何件も開けてたんです!!是非来てください猫の手すら借りたいけれど猫アレルギーなんでおっといけない来てください!」
そのまま小荷物でも持つみたいにラパードを抱えて扉へ飛び出していってしまった。ので
メルト「…えっ??!えええ?!?」
サガ「?????ま、まってー!」
ぼくとメルトは慌てて追いかけるハメになった。
?「という訳で、ウチの島が大変なんですよ」
いやいや、という訳でじゃなくてね…
とにかく扉を抜け神棚?から飛び出しそのまま民宿?の一室に着いて…の第一声がこれだ。
メルトちゃんはもう…はぁはぁ息切らしてるし
何もまだ説明してもらってないよ。
ラパード「すまんな…変な事に巻き込んで。走ってる最中に聞いたがケガ人が居るらしい。住んでいた島を乗っ取られて抗争したとか」
サガ「はぁ…???」
説明してもらってたらしいラパードの説明が頭に入ってこない。その民宿の一室には包帯でぐるぐるぐちゃぐちゃ巻きの…大人の人が青ざめて唸りながら転がっていた。5人いるけどみんなぐるぐる巻きだ。
そのうちの人の包帯をラパードが「おりゃっ」と引っ張ると少し浮いたと思ったら包帯が全部巻き取られてパンイチになった。小太りおじさんのパンイチ。確かにあちこち…何かカスりまくったような跡のキズだらけだ。あんまり見たくない…
そして手早くキズにシュシュっと白い泡の薬をかけてから拭き取ったあと緑の軟膏を塗ってからまたシュッとキレイなぐるぐる包帯巻きに戻す。目元口元だけ隙間があって、顔色が普通にもどったおじさんが垣間見える。
?「わぁすごいですね!あっ!ついでに私達の島も取り返していただけませんか?」
サガ「は?」
もうなんだこの人は…大きい目がパッッちり開きっぱなしで、すきっ歯出っ歯の口も笑顔で開きっぱなしのおにいさんだ。よくわからんけどめっちゃくっちゃ図々しい。ラパードは聞いているのかいないのかほかのおじさんの治療にとりかかっている。
?「貴方様は我々島人をあっと言う間に治療していただいて…もう…神!神レベルですね!だから我々の神様が眠る島も取り返してください」
表情の変化なく黙々治療するラパードに向かって熱く語る変なお兄さんはとにかく…変だった。
ラパード「はぁ…とりあえず治療ももう終わるし…診てみますかね…サガ、メルト、すまん、礼の菓子は弾むから付き合ってくれ」
治療され穏やかな顔色のミイラ巻きおじさん5体が転がっている一室を、なんだか納得いかない困惑顔のまま後にした。
外へ出ると、木の屋根付き通路がカクカクと曲がりながら海の向こうの島へと繋がっていた。海が日差しでキラキラしていて、このまま遊びたいくらいの海辺だ。
両袖を破り捨てノースリーブになったスーツワイシャツネクタイグラサンオールバックのSPっぽいおじさんが、回廊の途中途中に3人、銃のようなものを持って直立不動で立っていた。いかにもな警備…
サガ「で、どうして欲しいんだっけ…銃とか無理じゃないかな?」
なんかもうめんどくさくなりながら変なお兄さんに聞いてみる。
?「私達の神の島を取り返していただきたいのです!神様がお怒りになる前に!」
サガ「銃持ってる警備の人?にどうしろと??」
と聞いても同じような話が続くだけだろうなと思っていたら
メルト「あ、あの!アレ!」
メルトちゃんが珍しく叫んで指差した先に
何か飛んでいた。
緑の長い長い髪をなびかせた美しい人が、竿2本を纏めたものに腰掛けて高い空を飛んでいた。
白いマントのような服をなびかせて悠々と空を滑っている。
その人はこちらに気がついたのかゆっくり降りてきた。
?「やぁ、何用かね?」
竿から降りてぼくの前に降り立った人はどこか神々しくて悠然としていて
サガ「こ、こんにちわ。神様とかですか?」
と思わず聞いてしまった。
「違うよぼくは神の使い。仮に…ドゥと呼んでくれ。この島に眠る神の面倒をみているんだ」
「なんと!!!神様に使いがいらっしゃるとは!では神が目覚められてお怒りになる前に島を取り返すのをお手伝いください!」
と変なお兄さんが熱く語るも
ドゥ「え?神は誰が住んでいようともなんとも思わないよ?ただ島の西側のしめ縄が少しかゆいから取ってほしいらしいよ」
と爽やかに答えている。
「え!!!あの欠かさず島人全員で全力で毎年結っているしめ縄が…いらぬと!!!」
ドゥ「うん」
「そんなぁぁあ…」
変なお兄さんは泣き崩れ落ちた。
でもすぐにスックと立ち上がって
「じゃあ取り返さなくてもしめ縄だけ片付ければ良いのですね!」
とまた笑顔になって言…いいんだ!?取り返さなくていいんだ?
ドゥ「うん。キミ。キミだねちょっと一緒にいこう」
神の使いの人はスーっと飛んびはじめたかと思うとぼくをひょいと小脇に抱えたまま竿にのった。ここでは子供は小脇に抱えて運ぶのが普通なんだろうか。
風が体全部をビュウビュウと吹き抜け海の波の揺れがきらめいている。
風になったかのように心地いい。お腹が少し締まって髪が鼻をくすぐるのさえ我慢…がまんだ…
ドゥ「しめ縄は君が切るんだ」
サガ「えっぼくが??何も切れそうなものは持ってないよ?」
監視?の黒服は飛ぶ僕らに気づかない。周りのなにかキラキラしたものの効果だろうか。
木の葉の間を抜け鳥居が木陰に現れる。ぼくの胴くらいの太さのしめ縄が掛けられていた。そのしめ縄の前で竿が止まる。
ドゥ「その髪に付けている石」
サガ「えっ、これ?」
言われて反射で触る。
ドゥ「それで切って」
サガ「????」
これで??と思っていると3つのうちひとつが髪を通り抜けたかのように取れる。髪をくくっていたはずなのに穴は無く半透明の乳白色で中に虹色に細かい粒子が浮いている。
これで?切る?
形でも変えられるのかな?
と思っていると小刀の形に変わる。
よくわからないけれどしめ縄をくくっている腕くらいの太さの縄に刃を立てる。プツツとあっさり切れる。
支えを失ったしめ縄が片側だけドズンと落ちる。
反対側のくくってある縄へ竿がとぶ。
ドゥ「さ、切って」
サガ「うん」
またプツリと切るとしめ縄全体がドズンと落ちる。
ドゥ「これから君は沢山の切り難い何かと沢山出会うだろうけれど君の思うように切ったり切らなかったりするんだ。君のしたいように。なに、それで壊れるものがあればそれはそこまでだったのだと思って、自分を責めてはいけないよ」
遠くでもう一度ドズンと音がしたかと思うと既にラパード達の前に帰ってきていた。
ドゥ「これであと10年ほっといて大丈夫だよ」
もう見てるのも考えるのも疲れた。
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!我々は今後もこちら側の島で生活します!」
ラパード「…じゃあ俺ら帰りますんで」
ラパードも疲れた顔でそう言うので、ぼくはその辺にパカっと診察室行きの扉を開いた。
ラパード「???」
サガ「あいたよー」
メルト「えっ???…えっ???」
ぼくもなんで急にこんな便利なことできるのかわからないけれど、もう疲れたのでとっとと診察室に帰ったら、あっという間に眠くて倒れた。
ひざからゆっくりあんぜんにたおれ
ドズンとぼくから音がした。
夢で見たとき飛ぶのホント気持ち良かったデス。
海の匂いも波しぶきも…回廊にいるおっさんもほぼ夢のまま書いてから話を繋げております。。




