第四話 「キャラクターメイキング」
「ところで女神さま」
と前置きして、女神さまに疑問をぶつけてみる。
まず私が女神さまの作った世界に入って問題はないのか。
「特に無いと思います」
どんな方法で転生するのか。
「今の私たちは魂だけの存在ですから、これから生まれてくる人間の体に入れてもらう。という形になりますね」
その体に入る予定だった魂はどうなるのか。
「別の肉体に入る事になるでしょうね、特に問題はないと思います」
前にいた世界と、これから転生する世界でどのくらい違うのか。
「人間とそっくりな生き物がいる世界はいくつかあります。好きに選んでいいですよ?」
女神さまがそう言うと、たくさんの風景が頭の中に流れ込んできた。
映画を幾つも同時に見ているような感覚だった。
凄まじく文明が発達した世界。
地球とそう変わらない世界。
自然豊かでのどかな世界。
どこまでも荒野が続く世界。
無数の風景が浮かんでは消える。
数があり過ぎて、正直言って判断に困る。
という事は、やはりここは王道を攻めるべきだろう。
「その世界は魔物とかいますけど、良いんですか?」
「中世ファンタジー物こそ王道。ここにしよう」
「分かりました。ではここで」
じゃあ早速、と何やら神々しく発光し始めた女神さまを慌てて止める。
「まって、まって」
「はい?」
なぜ止められたのか分からない。
という顔で首をかしげる女神さま。あざと可愛い。いや天然か。
「こういう転生って、特別な力をもって生まれたりするの?」
女神さまは、意味が分からないと言う顔のままだ。
いや、あれですよ。
私の知っている異世界転生は、どれもフィクションだから現実とは違うかもしれないけれど、チートとセットな所があるでしょう?
無双とか、俺ツエェとかありますけれども、あんまりチート臭いのは正直言って好みじゃなかったりするのです。
読むのは好きだけどね。気分爽快だ。
TRPGのキャラメイクでも、完全無欠に強いキャラよりも、平均よりちょっと上とか、強いけれど何かしら弱点があるとか、弱いけれどこれだけなら超一流とか、そういう感じが好みというか。
呂布より周泰が好きなんです。ツンデレヒロインより大人し目のヒロインが好きなんです。
業が深いのは自覚してる。
異論は聞こう。
意見は変えないが。
「いえ、特には。才能はある程度遺伝する世界なので運次第、としか言えませんね」
そいつは願ったり叶ったりです。
「何か要望があれば、出来るだけそれっぽい所に転生する事も出来ますよ?」
いや、私はキャラメイクでサイコロを振り直さない男。プレイヤーはやった事ないけど。
まあ、弱くてもどうにかなるでしょう。
別に世界を救う訳でもないし。
女神さまと楽しく遊ぶのが目的ですし。
「あ、記憶は?転生したら女神さまの事忘れてたりします?」
「っ!それは、悲しいですね……。じゃあ記憶ごと新しい肉体に定着してもらいましょう」
女神さまも気付いていなかったらしい。意外と抜けている所ありますよね。
「じゃあ、先にお送りします。私もすぐに追いつきますから」
女神ダイスが神々しい光を纏って私に向かって手をかざすと、その光が私の体をゆるゆると覆っていく。
その光が私の全身をくまなく覆うと凄まじい速度で後ろに吹き飛ばされる。
あまりの速さに目がくらむ。
意識が、暗闇に、飲み込まれる。
名前 「まだない」 男性 年齢 0歳
※ステータスは成人時の予想値
STR 10 DEX 15 INT 15 発想 75
CON 6 APP 16 POW 12 幸運 60
SIZ 12 SAN 50 EDU 12 知識 60
HP 9/9 MP 12/12