第三話 「異世界の呼び声」
女神さまと友達になってみたものの、私には、なにをどうすればいいのかさっぱり分からない。
女神さまは友達が出来れば問題は全て解決すると思っているらしく、実際にどうしたいのかはイマイチ分かっていないようだった。
やだ、ボッチ女神さま天然。
「じゃあ、何か遊んでみる?」
「良いですね!どうしましょうか」
「し、しりとりとか?」
とっさに思いつく遊びが、しりとり。こりゃあ私がモテないのも納得だぁ。
もう少し気の利いた事を思いつかないものかと自己嫌悪に陥っている私を、女神さまはきらきらした目で見上げてくる。
そんなきれいな目で見ないでください、情けなくて泣けてくる。
「いいですよ!言っておきますけど私凄い強いと思います。一人しりとりなら、いくらでも出来ますから」
「やっぱりやめよう、哀しすぎる」
あらいやだ、女神さまったら一人上手なのね。
何も理解していない表情が可愛らしくて、余計に泣ける。
だれか、『手加減しますか?』とか言ってる、この子を幸せにしてあげて。ここには私しかいないですけれど。
「じゃあどうします?」
それは私が聞きたい。
まあ、女神さまはすでに楽しそうであるから、とりあえず問題はないように思える。
だが、それは罠である。
所詮私は二十九年しか生きていない、どこにでもいる童貞クズ野郎であるから、万年億年生きている可能性のある女神さまと会話を続けても、すぐにネタが切れるにきまっていた。なにせしりとりがとっさに出てしまう男である。
冷めきった熟年夫婦みたいな未来が透けて見える。つらすぎ。
根本的な解決が必要だった。
「ねえ、女神さま。女神さまは何が出来るの?」
「神階に行ったり、世界を作ったり、普通の神に出来る事は出来ますよ?こう見えて同世代の中では凄く優秀だったんです」
ふんす。と両手を握り自慢げに言う女神さま。
でもボッチだったんですよね。とは言わなかった自分を褒めてあげたい。
守りたい、その笑顔。私にできるかなぁ。自信ないです。
「もう少し詳しく」
「えと、そうですね。私はルデンツァが他の神よりもかなり太くて、スープラ、ミデュム、インフラの全てのアースが使えます。スープラはクレアトゥラとムターレどちらも使えますし、ミデュムもユンゴ、カート、スビージドが使えます。インフラはエレメントゥム、ポタシウム、デレンス、フューゾヌが使えます」
「なるほど、分からん」
何語だ。
分かったのは何かを自慢している、という事だけだ。
「えーと、魂とか、物質とかを作ったり、それをくっ付けたり離したりいろんな事が出来ます。この宇宙も私が作ったんですよ!今ある宇宙の中では一番大きいんです」
「宇宙作るって、語感がすごい」
ビックバンとかブラックホールとか、そんな感じなのだろうか。
スケールが大きすぎて、なんかすごい、くらいしか感じない。
宇宙関係はあまり興味がなかったので知識は人並み以下の私である。
「まって、それなら人間のいる星とかもあるの?」
「ありますよ?」
最高にクールな思いつきが頭をよぎる。
一部の棚で大流行中のアレである。
「異世界転生いけんじゃないのこれ」
「出来ますよ?」
「よし、じゃあ一緒に行こうか。あ、いや、ダメか。宇宙を管理している女神が居なくなったらまずいか」
「いえ、出来ますよ?」
話を聞くと、宇宙というのは、生み出す切っ掛けを神が作り、後は勝手に広がって多様に深化していくらしく、特に管理する必要はないらしい。
ざっくり言えば神様用の自動娯楽製造機らしいことが分かった。
言葉を選んでくれよ、夢もへったくれも無い。
「じゃあなんで今までやらなかったの?異世界とか凄い楽しそうじゃない?」
「私は全ての世界が見れますから、それに私は転生しても神なので」
「おう、そうだった」
そう言えばこの人女神だった。
いまさらながら驚かされる。
「でも友達と一緒なら楽しいかもしれません!やってみましょう!」
女神さまは、とても楽しそうに言った。
くすぐったくて死にそうだ。
名前 「私」 男性 年齢 享年29歳
STR 10 DEX 8 INT 11 発想 55
CON 9 APP 10 POW 12 幸運 60
SIZ 10 SAN 60 EDU 17 知識 85
「地球人」「日本人」「一般人」
「学士」「オタク(広浅)」「貞操観念」
「童貞」「処女」「現実主義者」
「無神論者」「人嫌い」「執着(強)」
「理性的」「保守的」「精神安定」