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【Rhapsodie en rouge】 1
俺が目を覚ましたのは、薄暗い洞窟のようなところだった。洞窟というより、遺跡か何かなのだろうか。寝転がっていた地面は平らにならされ、壁には等間隔に松明が掲げられている。そんな空間が、ずっと永遠のように続いていた。
なんで、こんなところにいるんだっけ。
意識がなくなる前に何をしていたかと記憶をたどろうとし、
『 』
広がる赤。
伸ばした手の赤。
白を染めていく赤。
歪む紅からこぼれた雫。
頭痛とともに駆け抜けた気がした、そんな記憶の欠片は。
頭痛とともに消え失せて。
「彼」はそれを見たことすら、忘れた。
自分の記憶がまっさらなのに気づく。
何をしていたのかどころか、自分がどこから来た誰なのかもわからない。
しかし、ただ唯一覚えているのは、
「いかなくちゃ」
〝彼女〟のところへ、行かなければと。
ただ、それだけで。
〝彼女〟が一体誰なのか、どこにいるのか。
それも思い出せないのに、ただ行かなくてはという思いだけが体を立ち上がらせる。
その思いのまま、俺は延々と続く廊下を走り始めた。
その先に何があるのかも、思い出せないまま。




