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ヘンゼルとグレーテル
ヘンゼルとグレーテルはお菓子の家の中で、魔女を釜の中に閉じ込め、焼き殺しました。
そして、家に帰りました。
意地悪な継母はなぜかもういません。二人はお父さんと幸せに暮らしました。
そう、もう意地悪な継母は家にはいません。もう二度と帰ってくることはないでしょう。
彼女はヘンゼルとグレーテルに騙されて呼び出された家で焼き殺されてしまったのですから……。
二人は楽しそうにお父さんに話します。
「僕たちが道に迷っていたら、お菓子の家があったんだよ。そこにはこわーい魔女がいてねえ……」
物語は勝者が創るのです。
敗者は死に、何も語ることはないのですから。




