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カチカチ山
おとぎ話シリーズ その8
僕はお婆さんを殺した。ずっと悩んでいた。生きる為とは言え、本当に正しい選択だったのかを…。でもウサギはこんな歪んだ僕にカチカチ山で薬を塗ってくれ、そして今、魚釣りに誘ってくれている。
僕は許された気がした…。
奇妙な事だが…
タヌキを騙し続けた「嘘つき」が、彼の心をまっすぐにしてくれたのだ
もうイジけた顔はしていない。
彼の心には、爽やかな風が吹いた…。
二艘の舟の前で、友が手を振っている。
僕は、晴れ晴れとした気持ちで走り出した。
タヌキは友の元へ走ります。そこにどんな残酷な運命が待ち受けているとも知らずに。




