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息子
息子の運動会を見て感動していた時に思いついたものです。
「おかあさ〜ん!一等賞だよ〜!」
リンが嬉しそうに駆け寄ってくる。
あんなに弱かったあの子が…。一時は命さえも危うかったあの小さかった子が…。
私は泣きそうになりながらリンを抱きしめた。
その瞬間リンの姿は消え、私はどこか見知らぬ場所に寝かされていた。身体は満足に動かないが、側には見知らぬ中年の男性が立っている。私は現実を把握するよりも夢の続きをみようとした。
あぁ…、リン…。私の可愛いリン……。
夢を邪魔するかのように男の野太い声が頭上から聞こえる。
「母さんまた昔の夢を見てるんだね。ほら、幸せそうに笑ってる」