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別れは唐突なんです。

今思うとかなり勢いで書いている、この小説。


さてどうした事か。

依頼者様が何故か開業時間二時間前に無断で入って来たこの謎の二人組。


見た目は綺麗な見た目をしている。この町、東京にはスラム街が東京都の所々に点在する、その際収入が政府の提示する収入の20パーセントにも満たない者には各月にわずかだが生活保護の処置を施されるはずなのだが。


最近の状勢ではこの法案を受ける為のハーードルが高くなってしまい様々な理由で生活保護を受けられずにスラム街での生活を余儀なくされている、と言うのが今のこの時代に置かれる者たちの環境なのである。


何故この様な状況が生じたのかと言えば、仕事の数が人口に割りあってないのだ。


機械・・・・・・・。そんな物がこの御時世にはたんまりとありふれる程にありふれている。

十年前までやっていた力仕事や簡単な作業はみな機械任せになり昔よりも人手が必要無くなってしまったと言うのがやはり大きいのだろう。


そこで何をどうして稼ぐか・・・・・。

賢い奴は何か新しいビジネスで稼ぎ始める、そんな奴らはやはりこの苦しいご時世でも金持ちなのだ、さも当たり前のように。そこが腹が立つ。


まあ、腹が立つと言うのもきっと俺自身志之寺という人間が前者の人間なのだからだろう。スラム街での暮らしを余儀なくされるまでではないが決して生活は裕福な方ではない。嫉妬心である、それがそう思わせる。


だがその金持ちが客とあらば話は別だ、少しばかり妬ましくは思うものの商売柄お客様は神様なのであるから。逃がすわけにはいかない、三週間・・・・・・依頼が来ない日数である。


ちょろちょろちょろー・・・・。

先ほどまでケトルの中で煮立っていたお茶をお客様用のカップに注ぐ。何がお客様用なのかと言うとしっかりと洗剤で洗ってある物がお客様用、水でちょちょいと洗った物がお客様以外用。ただそれだけの違い、されどそれだけとも言う。


「お待たせしました、当店オリジナルのRグレイでございます」

底の方が灰色に濁ったオリジナルティーだ。緑茶を節約すするために事務所の壁に生えているつた類の植物を乾燥させ玉露のお茶っ葉とブレンドしたオリジナルティーだ。味も保証できる、ただ先ほども言った道理玉露の節約手段だ、その割合は7:3だ、勿論玉露が3。


そしてその灰色の当店自慢のRグレイを見た二人は嫌そうなしかめっ面でテーブルに置かれたカップの中に並々と注がれたお茶を視黙する。


「あの、これはいったい・・?」

「この店最高峰のRグレイだ」

「お嬢様、こんなもの飲んではいけません」


そう言うと言うが早い、この『お嬢』と呼ばれた娘の手から素早い手つきで茶を奪い捕るとすぐさま飲み干した「こんなもの、こんなもの」と呟きながら・・。

こんなもの呼ばわりされた茶をこんなものと言ったこの付き添い人風の男は飲み干すといつの間にやら飲み干された自分のカップの上に重ねた。


ふぅ・・・・と息を吐く付き添い人風の男。


「ふぅ・・・じゃねーだろがぃ!」

すぱぁん!っと涼しい顔をしている男の後頭部をテーブルの上に置いてあった新聞紙で殴ったのはそのとなりに座っていたお嬢様と呼ばれていた少女だ、以外にアグレッシブなお嬢様である。

だがお嬢様と言われてもそう言われなければそこら辺にいる女子高生の中にいれば紛れてしまいそうな恰好だし何よりそこまでお高くとまってはいないように見える。有いつ何が違うと言えば顔はこのおっさんからしても中々上々のモノに見える。道端ですれ違った後ふと可愛かったなと印象に残るくらいだ。

ただそれだけ、可愛いというだけで他は一般人と大差ない様に思われた。今も付き添い人を丸めた新聞紙がヨタる程に殴り続ける姿を見てもただの頭のネジが一本飛んじゃってる女子高生ぐらいにしか見えない。

今はたかれてる付き添い人だって中々高身長で顔も整っている、この二人がただ単に二人並んで歩いていればかなりのスッペクの高いカップルに見えるのは間違いないだろう。


ただ、今はこの二人は狂気に身を任せひたすら殴り続ける変態と殴られても全く動じない変態にしか見えないのだけれど。

「ちょっと、ちょっと、お客さん。あんたらここに何か用事が有って来たんでしょうが。いつまでよろしくしてんのよ、いちゃつくなら他所でやって頂戴」


するとお嬢様と呼ばれる少女は手を止め元の席に戻り、変態かとあと数秒で思われる所まで来ていた付き人らしき男はあらたまってこちらに体を向けた。


その姿勢にこちらも自然と姿勢を正す。


「先ほどは御見苦しい所をお見せしてしまいました」

「あ、いえいえ別にかまいませんよ」

「そう言ってもらえるのなら幸いです」

そう付き人風の男はふふ・・・、と笑いながら続けた。こうやって喋ってみると礼儀正しいただの紳士だ。イケメンだ。


「それでは我々がここに来た理由と経緯についてお話させていただきましょう」

「ふむ・・・それではお話を聞かせてもらいましょうかね・・・それで?」

「はい、実の所先ほどとある飲料を服用しまして・・」

「ほうほう・・・それで?」

「お恥ずかしい話・・・おかわりをもらっていいですか?美味しかったので」

「美味しかったんかい!!」

スコーンと隣に座っていたお嬢が遂に沈黙を破り今度は灰皿で頭を殴りつけた、よく火曜サスペンスとかで使われるあの陶器の奴である。

流石に前のめりにテーブルにひれ伏すと頭から血がどくどくとテーブルに流れ始めるのなんのって・・・死んだのではないだろうか、流石に。


「あの、お嬢さん・・・・お茶・・・・いる?」

「・・・・・いる・・・」


こちらを目だけで睨むとゴトリと灰皿を元の位置に戻すと再び自分の定位置へと戻っていった。

「あ、私ももらっていいですか?それとおみあげに少し包んでもらえると嬉しいですね」


「え!?・・・あ・・・はい・・」


なんなんだこいつらは、訳が解らない・・・こいつら俺の事務所に何しに来たんだ。茶をすすりに来たのか?だとしたら場違いにも程がある!ここは探偵事務所だぞ!!喫茶店じゃないんだぞ!!!


「おまたせしました~当店自慢のRグレイでございま~す」

出してしまった・・・何も言えずにまた茶を出してしまった・・・何よりこいつらおかしいんじゃねーか?一人は平気で人を死に追いやる様な事をするし、もう一人は頭から血を流しながら茶なんてすすってやがる・・・こいつら・・本当に何しにきやがったんだ。こいつら頭のネジが崩壊する直前まで抜けてるんじゃないか!?残り一本で支えられてるんじゃないか!?もしこいつらに依頼なんかされたら俺は死ぬんじゃないのか!!??。

「あの、そういえば・・・依頼の事なんですけど」

いやあああああああああああああああああああああああああ!!

と言う所をダンデイな俺は落ち着いたそぶりで振り返り物静かに声を落ち着かせてこう言った。

「どどどどど、どうしたんですか・・・・あああああのっよよろしければ茶菓子なんかも」

「あっ、結構です。私たち依頼に来ただけなんで」

なんでさっきまでこいつら茶にはがっついてたのに急に真面目になるんだよ!これはやばいお?志之寺の本能が赤信号だお?なんだこの口調、きもいお?おちつけー、おちつけー・・・・よし活路見えたり!!。

「お客様ぁ・・・・うち、開業一時からなんですよねぇ」

「?、いや。もう一時廻って三十分ですが?」

そう言うとお付き人らしき人物が懐から懐中時計を取り出しずずいと差し出してきた。

「いや、そんな時間立ってないでしょ。あなたたち来てから30分ぐらいしか経ってないでしょうに、なんなら家の時計見てもらいましょうか?うちのはねぇ、衛星からの電波で動いてるんですよ。だからそんなアナログみたいに時間がずれたりしないんですよ」

そう言うと寝室の時計を取りに行く、そして客であるはずの二人の前にその時計を置き袴の袖から電池を二本取り出す、そう朝取り出した単三の奴だ。

そして時計を二人に向電池を入れた、すると液晶に数字が浮かび上がり朝見たまんまの十一時四十二分五十六秒が映し出された。


それを見た付き人風の男はテーブルに置かれていたそれを探偵デスクと方へと蹴り飛ばした。

『ゴッ、ガラゴトン』

時計は探偵デスクの奥の壁に勢いよくぶつかり地面に落ちた。

はっきりいって訳が解らない、何故そんな事をするのか、そんなに十一時四十二分五十六秒が気に食わないかったのだろうか。それにしてはいささか過剰に反応しすぎである、俺だってここまでの反応を示さない。ますます訳が解らなくなった上にこんな事されりゃ腹が立つ。いや、誰でも腹が立つだろう、こんなに腹が立つのはいつ以来だろうか、考えてみりゃあああ・・そうだ、子供ん時プールの中で誰かが放尿してそれが前日にビタミンCを採りすぎたのだろうか、色で見てもごまかしきれないくらいの黄色を俺の近くでした奴がいてそいつが事もあろうにその罪を俺に擦り付けた時ぐらいの怒りだ。確か名前は遠藤だったか。


「てめぇっ」

「お嬢様、お車にお戻りを」

志之寺の言葉をまるで聞えなかったかのようにソファーでくつろいでいるお嬢に指示を飛ばす、それを訊くと彼女は特に焦る様子も見せず無言のまま部屋を後にした。


「ほぉうう・・俺らの戦いに彼女を巻き込まない様に配慮するたぁ中々ジェントルメンじゃぁねぇかあ・・・・だがな俺はもうキレちまったぜ、もうおつむの血管がぷっつんこしちまったんだよ!」

「何言ってんですか、あなたも早くここから出て行きなさい」

「まだ言うかこの野郎!俺の若い頃のあだ名を知ってるか!?キレたナイフって呼ばれてたんだぜぇ!来るなら来いよぉ!俺はここから一歩も動かないぜ!」

「ふうぅ・・・そうですか・・・」

「なにスカしてんだよ!!」

「ほら、お逃げなさい」

「うぐう!」

蹴られた。

何故か蹴られた、意味が解らないぞ何故『お逃げなさい』と言った人間が言われた人間を全力で蹴るのだろうか。体が宙に浮き探偵デスクを飛び越えその奥のビルに面している窓ガラスを背中から突き破ると激痛の次に待ち受けていたのは何とも言えない浮遊感だった。そうここは二回、落ちているのだ。下へ下へと、恐らく次に来る地面との接触から来る痛みにそなえて身構える、だが違った、痛みなど無い。

いや、有るとすれば腹にはまだ蹴られた時の激痛が残っているのだが、予期されていた背中への激痛が無いのだ。

死んでしまって痛みすら感じないのではないかと思い恐る恐る目を開けてみる。

そこには先ほど自分を蹴り飛ばした男がいた。いた、と言うには余りにも近い。

ここで少し自分のまわりを見てみる、足は地面に着いていない、激痛も無い、何故か男が近い、背中には抱えられる感触。


謎は解けた

今、俺はお姫様抱っこをされている。

なんとも汚い絵だ、誰もこんなもの見たがらない。

お前!何のつもりだ!人の事蹴るわ事務所ぶっ壊すわ!・・・・・・と言ったつもりだったが腹を殴られて声が言葉にならない。

「あ~、あ~あ~。」

「?、何を言っているんです?」

「あ~ああ~~あ~あ~アヴウエェ~」

とっさに地面に落とされる、そうださっき腹をおもいっきし蹴られたのだ、胃の中のモノが逆流してくる。だが生憎まだ前日の夜にもんじゃ焼きを食べたっきり何も食べてはいなかったので出てくるものは無い、もしもんじゃ焼きが出てきたとしてもそれはきっとただのもんじゃ焼きのままだろう。

「ヴエェ~、もんじゃ焼きが・・出る・・・」

「貴方もんじゃ焼き馬鹿にしてるんですか」

「いや、昨日の喰った奴が・・・・何で馬鹿にしてると?」

「・・・・・・・・・・・何してるんですか、ほらあなたも車に乗って下さい」

「おい、何で無視するんだよ」

目を何故か逸らすこの男わけわからん、これも謎だが他にもわからない事はコレ以上にある。

まず、何故この男はさっき俺を蹴ったのに下にいる?次にそこまでキレる理由も解らない、それに何故頑なに俺を車に導くんだ。

そんな事を考えながら先ほど落ちた路地から肩を担がれながら表道に出る、そこには真っ黒の黒光りする車が停められていた。

この事務所の前に置かせておくのがこっちが逆に申し訳なくなってしまう様な高級車だ。

そんな高級の塊の中に詰め込まれる自分。

詰め込まれた中に先ほどの灰皿殺人事件の主犯者事お嬢が座ってこっちを横目で見てくる。

そしてそこにはいじゃまじゃま、と付き人風の男が入ってくる。

「おい、暴行犯こりゃあどういう事だ。拉致監禁で法に訴えるぞ」

「え?僕に?やめて下さいよ。僕は何もしてません」

「お前俺にあんな酷い事しといて責任取らないつもりか」

「そんな誤解を招くような言い方やめてくださいよ、それにそれやったの全部あいつでしょ」

そういって運転席を指さす。そこには同じ顔があった、ただ頭から血を流している。

「え?ドッペルゲンガー?」

「なんでそうなるかな、普通兄弟とか親子でしょ」

「いや、親子は無いと思うけど、・・・お前ら兄弟なのね」

「まあ、そう言う事ですんでよろしくお願いします。あ、兄さんそろそろ車出した方がいいかも」

「了解」

「あっちょっと、俺まで連れて行こうとするな。こんな失礼な奴らとは行動できん、できる大人ってのはなぁ、ちゃんとビジネスパートナーは選ぶもんだ」

「じゃああなたは僕達についてきてできる大人だ」

「は?何言ってんだ?」

「ほら」

ほら、と言われて指を指されたのは志之寺探偵事務所が入ってる二階だ、意味が解らん、何を指さしているのか、そこにはいつもの何の変哲もない志之寺探偵事務所が有るだけだ。

ズドン

重く激しい轟音が響き渡る。そして志之寺探偵事務所が火を噴きいく数の破片へと姿を変えた。言葉が出てこない何がおきたかもよくわからないただ確かに今解ることはいつもの職場と自宅を一瞬で失ったという事だ。



全国のっもんじゃ焼き好きな人たちごめんなさい。私ももんじゃ焼き好きです。

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