はじめての、園外遠足
朝の光が差し込む保育園――
「……本日、我が魔王力を園外で発揮すべき日……」
泥だらけで紙吹雪まみれのマオは、リュックを背負いながら独りごちる。
今日は保育園初の遠足だ。園児たちは朝から大興奮。
「園長ー!今日は遠足だよ!」
リナが元気いっぱいに駆け寄る。
ユウトはリュックを背負って大きくジャンプ。
ハナはまだ抱っこ紐の中で眠そうだが、目をこすりながらキョロキョロする。
「……リュック?おやつ?地図……全てを管理する……」
魔王にとっては未知の任務。支配よりもはるかに難易度が高い。
サクラとケンジが指示を出す。
「園長、園児たちのリュックの中身を確認してください」
「バスに乗る前に水筒とおやつの数を数えましょう」
マオはぎこちなくリュックを開ける。
中にはお菓子、タオル、絵本、そして小さなぬいぐるみ。
「……戦略……というより……雑多……」
小さな戦場の準備に、魔王は頭を抱える。
バスに乗る段階になると、園児たちの興奮はさらに加速。
「園長、見て見て!」
「滑り台みたいにバスで走りたい!」
手を振るリナ、ジャンプするユウト、バスの座席を占拠するミオ――
魔王は座席を確保し、園児たちを静めるために魔力を使おうとするが、
サクラに即ツッコミされる。
「園長!魔法は禁止です!」
結局、マオは自力で園児たちを座らせることに。
だが、バスが動き出すと窓の外の景色に夢中になり、園児たちは大騒ぎ。
「園長ー!あれなにー!」
「木が動いてるー!」
魔王、ため息混じりに呟く。
「……世界征服より……ずっと忙しい……」
公園に到着すると、園児たちは一斉に駆け出す。
砂場、滑り台、シーソー――あっという間に園庭は園児の嵐に。
魔王も少しずつ魔力を使って遊びを盛り上げる。
積み木を浮かせたり、紙吹雪を舞わせたりすると、園児たちは大喜びだが、近所の子どもや保護者に少しびっくりされる。
「……恐怖で支配するのではなく……楽しさで導く……」
魔王は静かに悟る。
今日の任務は、園児たちの笑顔を守ること――
そして泥まみれになりながらも、それができた瞬間、心に小さな充実感が芽生える。
遠足初日――
園児たちの大騒ぎ、魔王の奮闘、保育士の指導。
すべてが入り混じった混沌の中、マオは初めて“外の世界での戦い”を経験する。
「……なるほど……これが、園外活動……戦場……」
笑顔と混乱に満ちた一日――
魔王マオのゆるふわ保育園生活は、ここでも爆笑と成長の嵐で彩られたのだった。




