はっぴーえんどへの予兆
一週間が過ぎ、保育園での魔王マオの初日々は文字通り戦場だった。
泥だらけの砂場、崩れた積み木タワー、空中を舞う紙吹雪――
園児たちの無邪気な笑い声は、まるで嵐のようにマオを翻弄した。
「……この小さき人間ども……手ごわい……」
魔王はまだそう思うが、同時に心の奥底で少しずつ変化が芽生えていた。
園児たちは元気いっぱい、保育士たちは指導とツッコミを交え、
そして魔王は泥まみれになりながらも、彼らの笑顔を守るために奔走する日々――
この一週間で、マオは初めて“世界征服以外の達成感”を味わった。
給食タイムの混乱、迷子騒動、滑り台の暴走――
すべてが魔王の試練であり、笑いと学びに満ちた経験だった。
サクラとケンジは今日も「園長、大丈夫ですか?」とツッコミを入れつつ、魔王を見守る。
園児たちは今日も笑顔で「また遊ぼう!」と手を振る。
マオは心の中で小さく呟いた。
「……支配ではなく、守る……か……なるほど……」
魔王としての威厳はまだ残るが、笑顔の前では少しずつ柔らかくなっていく自分を認めざるを得なかった。
そしてその時、園の外で保護者たちや近隣の人々がそわそわしているのに気づく。
「……次は、こやつらも……守る対象……か……」
魔王の瞳が鋭く光る。
だがその光は、以前のような恐怖ではなく――
小さな笑顔と楽しさを守るための、決意の光だった。
こうして、第1章は幕を閉じる。
泥まみれで紙吹雪だらけの魔王が、笑顔と小さなトラブルに翻弄されつつも、
保育園という新しい戦場での生活に一歩踏み出した――
次章では、さらに多彩な園児の挑戦や、保護者との騒動が魔王を待ち受けることになるだろう。
魔王マオのゆるふわ保育園経営日記――
まだ始まったばかりの、爆笑と成長の物語である。




