小さな園内トラブル
午前の自由遊びも終わり、少し落ち着いたかと思われた保育園――
しかし魔王マオの心は油断できなかった。
「……この小さき人間ども……油断ならぬ……」
まさにその瞬間、園庭で騒ぎ声が響く。
「園長ー!タクミくんがいないー!」
なんと、5歳のリーダー格タクミが迷子になったらしい。
園児たちは泣き出し、サクラは指示を出す。
「園児は落ち着いて!園長、タクミくんを探してください!」
魔王、心の中でため息。
「……支配ではなく……探索か……」
呆れながらも魔力を使い、園庭全体を上空からチェック。
しかし魔法を使った途端、砂場の砂が空中に舞い、園児たちは歓喜の大混乱。
「園長ー!砂が飛んできたー!」
「紙吹雪もー!」
ケンジは呆れ顔で叫ぶ。
「園長、制御してください!」
魔王は仕方なく、直接歩いて捜索することに。
タクミは園舎の隅にある小さな絵本コーナーで見つかり、泣きそうになりながらも絵本を抱えていた。
「園長……怖かった……」
魔王、思わず頭をかく。
「……すまぬ……」
心の中で、小さな後悔と少しの優越感が混ざる瞬間だった。
その直後、リナとユウトが積み木タワーで喧嘩を始める。
「リナが積み木を壊したー!」
「違う、ユウトが押したんだ!」
マオは魔力で瞬時に積み木を修復しようとするも、またもやバランスを崩して崩壊。
園児たちは大喜びで笑い、サクラは冷や汗をかきながら片付ける。
「園長……魔王力を少し抑えてください……」
午後は室内滑り台でトラブル。
滑り台を滑ったミオが給食の準備中に大暴れ、給食の道具や食材が空中を舞う。
ケンジは必死で拾い、サクラは園児を慰める。
「園長、見て見ぬふりは禁止です!」
魔王、泥だらけで紙吹雪まみれのまま、深呼吸。
「……これは……修行……いや……戦い……」
しかし、トラブルの中でも園児たちの笑顔は絶えない。
「園長、楽しいね!」
「もっとやろう!」
マオはその無邪気さに、思わず小さく微笑む。
「……なるほど……この世界……恐怖で支配するよりも……笑顔を守る方が……はるかに大変……だが……面白い……」
こうして魔王マオの保育園生活は、迷子騒動やいたずら、予想外の暴走を乗り越えつつ、少しずつ“笑顔守護の戦い”として進化していくのだった。
世界征服を極めた者が、泥まみれの園庭で奮闘する姿――
それは、誰も予想しない爆笑の日常だった。




